たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

砂鉄を守る砦

2019-03-25 09:41:50 | 出雲の神社

<佐世神社 させじんじゃ>

 

出雲をはじめとする山陰一帯で採れる砂鉄は、

真砂(まさ)砂鉄と呼ばれる不純物の少ないもので、

近隣の山陽地方などで採取される赤目(あこめ)砂鉄

などと比べると、鋼にするまでの行程が複雑なため、

扱い方が非常に難しいと聞きます。

 

恐らく、奥出雲の付近は良質の砂鉄が採れただけでなく、

高度な製鉄の技を持つ人々も数多く住んでいたのでしょう。

出雲に進出してきた異国人(越の八口)たちは、

砂鉄のみならず、優れた知識を有する技術者も含めて、

自らの所有物にしたかったのかもしれません。

 

アシナヅチ・テナヅチをはじめとする先住タタラ民たちは、

越の八口と呼ばれる異国人が侵略してきたことにより、

奴隷のような立場に置かれていたと思われます。

そして、土地の神に仕えていたクシナダヒメも、

異国人たちが信奉する製鉄の神への

人柱として要求されたのでしょうか……。

 

もしかすると、スサノオ・ラインと呼ばれる鉄の道は、

砂鉄を知り尽くした出雲のタタラ民と、

出雲のタタラ神に仕える巫女が集まる

「タタラの拠点」であったと同時に、

奥出雲の砂鉄を守るための「砦」を

築いた道だったのかもしれません。