<雲南市・八本杉>
オロチ伝説が伝えられる斐伊神社の八本杉は、
過去の洪水により土砂で埋まるなどした結果、
これまでに何度か植え替えられているのだそうです。
いくつかの川が合流する斐伊神社の一帯は、
古くから水害に悩まされたエリアだったのでしょう。
この地でスサノオが詠んだとされる
「我たのむ 人を恵みの 杉植えて 八重垣かこみ 守る末の代」
の「八重垣」も、もしかすると水害を防ぐための生垣であり、
八本杉という「碑」だったのかもしれません。
ちなみに、斐伊神社の旧社名「樋社(ひのやしろ)」の樋は、
砂と鉄とを分けるための「とい」を指す言葉だと聞きますが、
樋を「碑」と置き換えてみると、少々印象が変わりそうです。
恐らく、八重垣(八本杉)とはある種の「墓碑」であり、
過去に水害から村を守るために捧げられた人たち、
あるいはオロチ(鉄)との戦いで犠牲になった人たちを弔う
「碑」だった可能性もあるのではないでしょうか……。