たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

製鉄集団

2019-03-07 09:07:55 | 出雲の神社

<伊和神社 いわじんじゃ>

 

播磨国に残る古い郷土史『播磨国風土記』の中に、

新羅系の渡来神とされる天日槍(アメノヒボコ)が、

伊和大神(大国主神)と土地を奪い合って敗北し、

但馬国の出石に撤退したという話が載っています。

一般的には、アメノヒボコが象徴する新鋭の製鉄集団と、

大国主神が象徴する古豪の製鉄集団との戦い、

などと解釈されることが多いようですが、

これを「生贄」を持ち込んだ部族と、

「生贄」を嫌う部族との争いと想定すると、

神話に潜む別の暗示が見えてきそうです。

 

ちなみにですが、先日の「みかん」の件と同様、

出雲および山陰一帯には、なぜかアメノヒボコに

縁する地名がほとんど見られないと聞きます。

もしかすると、スサノオがオロチを退治した一件は、

奥出雲の砂鉄を巡る攻防を表しただけでなく、

「播磨から来た神」が持ち込んだ生贄習俗を

淘汰するための戦いだったのでしょうか……。

仮に、奥出雲の人々が「新羅」に敵意を抱き、

「新羅」の習俗を遠ざけようとしていたなら、

クシナダヒメを救おうとするスサノオの行動が、

より深みを増すようにも感じられますね。