<斐伊神社 ひいじんじゃ>
出雲に伝わる神話と聞きますと、
『古事記』『日本書紀』『出雲国風土記』
などに記載された物語を思い浮かべますが、
実は、それ以外にも出雲では、「民間伝承」
とでも呼ぶべき「昔話」が数多く残されています。
こちらの斐伊神社にも、そんな独自の物語が存在し、
「スサノオがヤマタノオロチを退治した後、
再び蘇らないようオロチの頭を埋めた」
という話が言い伝えられていました。
ちなみに、そのときスサノオが詠んだのが、
「我たのむ 人を恵みの 杉植えて 八重垣かこみ 守る末の代」
という和歌だそうですが、「八雲立つ……」の歌に比べると、
どことなく語感が現代風のようにも感じられますね。
恐らく、記紀の時代から現在までの間に、
出雲の一帯では様々なスサノオ伝説が生まれ、
地域色の強い逸話として残されたのでしょう。
逆に言えば、それだけ「スサノオ」という神が、
出雲の人々の「心の支柱」であったことを、
これらの昔話が示しているのかもしれません。