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寡黙堂ひとりごと

詩吟と漢詩・漢文が趣味です。火曜日と木曜日が詩吟の日です花も酒も好きな無口な男です。

史記 刺客列伝

2009-03-11 18:23:23 | Weblog
ここでちょっと寄り道をして史記を覗いてみます。十八史略よりかなり詳細に書かれており解り易いと思います。
史記 刺客列伝 軹に聶政の事あり 
聶政は軹(し)の深井里の人なり。人を殺して仇を避け、母・姉と齊に如(ゆ)き屠(と)を以て事と為す。之を久しくして濮陽(ぼくよう)の嚴仲子、韓の哀侯に事(つか)え韓の相(しょう)俠累(きょうるい)と郤(げき)あり。嚴仲子、誅せられんことを恐れ、亡(に)げ去りて游(たび)し、人の以て俠累に報ゆべき者を求む。齊に至る。齊の人、或いは言う、「聶政は勇敢の士なり。仇を避けて、屠者の間に隠る」と。
嚴仲子、門に至りて請い、数(しば)しば反(かえ)る。然る後、酒を具(そな)え、自ら聶政の母の前に暢(すす)む。酒酣にして、嚴仲子、黄金百鎰(いつ)を捧げ、前(すす)みて聶政の母の壽を為す。聶政、其の厚きに驚き怪しみ、固く嚴仲子に謝す。嚴仲子、固く進む。而うして聶政、謝して曰く、「臣、幸いにして老母あり。家貧しく、客游して以て狗屠(くと)と為り、以て旦夕に甘毳(かんぜい)を得て以て親を養うべし。親の供養(きょうよう)備われり。敢えて仲子の賜に当らず」と。嚴仲子、人を辟(さ)け、因って聶政の為に言いて曰く、「臣、仇ありて、諸侯に行游すること衆(おお)し。然れども齊に至りて、窃(ひそ)かに足下の義の甚だ高きを聞けり。故に百金を進めしは,将に用(も)って大人の粗糲(れい)の費と為し、以て足下の驩(よしみ)を交えんことを得んとす。豈に敢えて以て求め望むことあらんや」と。聶政曰く、「臣、志を降し身を辱め市井に居りて屠する所以のものは、徒(た)だ以て老母を養うを幸(ねが)えばなり。老母在(いま)せば、政が身は未だ敢えて以て人に許さざるなり」と。嚴仲子、固く譲る。聶政、竟(つい)に受くるを肯(がえん)ぜざるなり。然れども嚴仲子、卒に賓主の礼を備えて去る。
謝 謝絶  狗屠 食用の犬をする仕事 甘毳 美味く柔らかいもの   粗糲 糲は玄米
以下つづく

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