尋・邑兵卻。諸部共乗之。連勝遂前。無不一當百。秀與敢死者三千人、衝其中堅。尋・邑陣亂。漢兵乗鋭崩之、遂殺尋昆陽。城中守者、亦鼓譟出、中外合勢、呼聲動天地。莽兵大潰、走者相踐、伏尸百餘里。會大雷風。屋瓦皆飛、雨下如注。虎豹皆股戰、溺死滍川者萬數。關中聞之震恐。海内豪傑響應、皆殺莽牧守、自稱將軍、用漢年號。旬月徧天下。
尋・邑の兵卻(しりぞ)く。諸部供に之に乗ず。連(しきり)に勝って遂に前(すす)む。一、百に当らざる無し。秀、敢死(かんし)の者三千人と、其の中堅を衝く。尋・邑の陣乱る。漢兵、鋭に乗じて之を崩し、遂に尋を昆陽にころす。城中の守る者、亦鼓譟(こそう)して出で、中外、勢を合わせ、呼声、天地を動かす。莽の兵大いに潰(つい)え、走る者相践(ふ)み、伏尸(ふくし)百余里。会々(たまたま)大雷風有り。屋瓦(おくが)皆飛び、雨の下(ふ)ること注(そそぐ)が如し。虎豹皆股戦(こせん)し、滍川(ちせん)に溺死する者万数なり。関中之を聞いて震恐(しんきょう)す。海内(かいだい)の豪傑饗応し、皆莽の牧守(ぼくしゅ)を殺し、自ら将軍と称し、漢の年号を用う。旬月(じゅんげつ)にして天下に徧(あまね)し。
王尋・王邑の軍勢が退却した。漢の各部隊はこれに乗じて、連勝を重ねて進撃した。一騎が敵兵百人当たる奮戦を繰りひろげた。劉秀は決死の兵三千人と供に、敵軍の中核を衝いた。王邑と王尋の陣は乱れ、漢の兵は勢いに乗じて敵を切り崩し、遂に王尋を昆陽で殺した。城中で守備についていた者も太鼓を打ち声を挙げて撃って出た。内と外と勢いを合わせ、その喊声は天地を揺るがすばかりであった。王莽の軍は総崩れとなり、潰走する兵は践(ふ)みつ践まれつ、たおれた屍骸は百里余りも続いた。折りしも雷と暴風が起こり、屋根瓦は吹き飛び豪雨は滝のようであった。そのため敵の猛獣どもは、震えおののき、滍川に溺死する者万を数えた。関中一帯がこの敗報を聞き震えあがった。天下の豪傑はこれに呼応して立ち、王莽の任命した地方長官を次々に襲って殺し、自ら将軍と称して、漢の年号を用いるようになった。わずか一箇月で漢の威令が天下にあまねく行き渡った。
股戰 戦はおののく、足が震える。
尋・邑の兵卻(しりぞ)く。諸部供に之に乗ず。連(しきり)に勝って遂に前(すす)む。一、百に当らざる無し。秀、敢死(かんし)の者三千人と、其の中堅を衝く。尋・邑の陣乱る。漢兵、鋭に乗じて之を崩し、遂に尋を昆陽にころす。城中の守る者、亦鼓譟(こそう)して出で、中外、勢を合わせ、呼声、天地を動かす。莽の兵大いに潰(つい)え、走る者相践(ふ)み、伏尸(ふくし)百余里。会々(たまたま)大雷風有り。屋瓦(おくが)皆飛び、雨の下(ふ)ること注(そそぐ)が如し。虎豹皆股戦(こせん)し、滍川(ちせん)に溺死する者万数なり。関中之を聞いて震恐(しんきょう)す。海内(かいだい)の豪傑饗応し、皆莽の牧守(ぼくしゅ)を殺し、自ら将軍と称し、漢の年号を用う。旬月(じゅんげつ)にして天下に徧(あまね)し。
王尋・王邑の軍勢が退却した。漢の各部隊はこれに乗じて、連勝を重ねて進撃した。一騎が敵兵百人当たる奮戦を繰りひろげた。劉秀は決死の兵三千人と供に、敵軍の中核を衝いた。王邑と王尋の陣は乱れ、漢の兵は勢いに乗じて敵を切り崩し、遂に王尋を昆陽で殺した。城中で守備についていた者も太鼓を打ち声を挙げて撃って出た。内と外と勢いを合わせ、その喊声は天地を揺るがすばかりであった。王莽の軍は総崩れとなり、潰走する兵は践(ふ)みつ践まれつ、たおれた屍骸は百里余りも続いた。折りしも雷と暴風が起こり、屋根瓦は吹き飛び豪雨は滝のようであった。そのため敵の猛獣どもは、震えおののき、滍川に溺死する者万を数えた。関中一帯がこの敗報を聞き震えあがった。天下の豪傑はこれに呼応して立ち、王莽の任命した地方長官を次々に襲って殺し、自ら将軍と称して、漢の年号を用いるようになった。わずか一箇月で漢の威令が天下にあまねく行き渡った。
股戰 戦はおののく、足が震える。