趙廣漢腰斬さる
元康元年、殺京兆尹趙廣漢。初廣漢爲潁川太守。潁川俗、豪傑相朋黨。廣漢爲缿項筩、受吏民投書、使相告訐。姦黨散落、盗賊不得發。由是入爲京兆尹。尤善爲鉤距、以得其情、閭里銖兩之姦皆知、發姦擿伏如神。京兆政清。長老傳、自漢興、治京兆者、莫能及。至是人上書言、廣漢以私怨論殺人。下廷尉。吏民守闕號泣者數萬人、竟坐要斬。廣漢廉明、威制豪強、小民得職。百姓追思歌之。
元康元年、京兆の尹(いん)趙廣漢を殺す。初め廣漢、潁川(えいせん)の太守と為る。潁川の俗、豪傑相朋黨す。廣漢、缿項筩(こうこうとう)を為(つく)り、吏民の投書を受け、相告訐(こくけつ)せしむ。姦盗散落し、盗賊発するを得ず。是に由(よ)って入って京兆の尹と為る。尤も善く鉤距(こうきょ)を為して、以って其の情を得、閭里(りょり)銖両(しゅりょう)の姦も皆知り、姦を発し、伏を擿(てき)すること神(しん)の如し。京兆政(まつりごと)清し、長老伝う、漢興ってより、京兆を治むる者、能く及ぶ莫(な)しと。
是(ここ)に至って、人上書して言う、廣漢、私怨を以って人を論殺(ろんさつ)す、と。廷尉に下す。吏民、闕(けつ)を守って号泣する者数万人、竟(つい)に坐して要斬(ようざん)せらる。廣漢、廉明にして、豪強を威制(いせい)し、小民職を得たり。百姓(ひゃくせい) 追思(ついし)して之を歌う。
京兆の尹 京兆は首都のこと、兆は衆と同じ人が多い所、長安、尹は長官。 潁川 河南省の郡名。 缿項筩 缿筩で目安箱、項は誤って入った文字か。 告訐 訐はあばく、そしる。 鉤距 かぎで引っ掛けて引き出す、内情を探り出す。 銖両 わずかな目方、軽微なもののたとえ。 発も擿もあばくこと。姦は悪事伏は隠し事。 論殺 罪を調べ論じて死刑にすること。 闕を守って 宮門を囲んで。 要斬 腰斬りの刑。
以下次回に
元康元年、殺京兆尹趙廣漢。初廣漢爲潁川太守。潁川俗、豪傑相朋黨。廣漢爲缿項筩、受吏民投書、使相告訐。姦黨散落、盗賊不得發。由是入爲京兆尹。尤善爲鉤距、以得其情、閭里銖兩之姦皆知、發姦擿伏如神。京兆政清。長老傳、自漢興、治京兆者、莫能及。至是人上書言、廣漢以私怨論殺人。下廷尉。吏民守闕號泣者數萬人、竟坐要斬。廣漢廉明、威制豪強、小民得職。百姓追思歌之。
元康元年、京兆の尹(いん)趙廣漢を殺す。初め廣漢、潁川(えいせん)の太守と為る。潁川の俗、豪傑相朋黨す。廣漢、缿項筩(こうこうとう)を為(つく)り、吏民の投書を受け、相告訐(こくけつ)せしむ。姦盗散落し、盗賊発するを得ず。是に由(よ)って入って京兆の尹と為る。尤も善く鉤距(こうきょ)を為して、以って其の情を得、閭里(りょり)銖両(しゅりょう)の姦も皆知り、姦を発し、伏を擿(てき)すること神(しん)の如し。京兆政(まつりごと)清し、長老伝う、漢興ってより、京兆を治むる者、能く及ぶ莫(な)しと。
是(ここ)に至って、人上書して言う、廣漢、私怨を以って人を論殺(ろんさつ)す、と。廷尉に下す。吏民、闕(けつ)を守って号泣する者数万人、竟(つい)に坐して要斬(ようざん)せらる。廣漢、廉明にして、豪強を威制(いせい)し、小民職を得たり。百姓(ひゃくせい) 追思(ついし)して之を歌う。
京兆の尹 京兆は首都のこと、兆は衆と同じ人が多い所、長安、尹は長官。 潁川 河南省の郡名。 缿項筩 缿筩で目安箱、項は誤って入った文字か。 告訐 訐はあばく、そしる。 鉤距 かぎで引っ掛けて引き出す、内情を探り出す。 銖両 わずかな目方、軽微なもののたとえ。 発も擿もあばくこと。姦は悪事伏は隠し事。 論殺 罪を調べ論じて死刑にすること。 闕を守って 宮門を囲んで。 要斬 腰斬りの刑。
以下次回に