武元衡の詩 全唐詩より
嘉陵駅
悠々たる風旆(ふうはい)山川を遶(めぐ)り 山駅空濛として雨煙と作(な)る
路は嘉陵に半ばにして頭(こうべ)すでに白し 蜀州西のかた更に青天に上らん
次に劉禹錫の詩二編を序文付きで 吟剣詩舞道漢詩集より
元和十年郎州より召されて京に至り戯れに花を看るの君子に贈る
紫陌紅塵面を払って来る 人の花を看て回(かえ)ると道(い)わざるは無し
玄都観裏桃千樹 尽く是れ劉郎去って後栽(う)う
再び玄都観に遊ぶ
余、貞元二十一年(805年)屯田員外郎と為る。時に此の観に未だ花有らず。是の歳出でて連州に牧たり。尋(つ)いで朗州司馬に貶せらる。居ること十年召されて京師に至るに人々皆言う「道士仙桃を手植する者有り。満観紅霞の如し」と。遂に前編あり、以って一時の事を志す。旋(たちま)ち又出でて牧たり。今十有四年にして復た主客郎中と為り、重ねて玄都に遊ぶ。蕩然として復た一樹無し。唯兎葵燕麦、春風に動揺するのみ。因って再び二十字を題し以って後遊を俟(ま)つ。時に太和二年(828年)三月也。
百畝(ほ)の庭中半ばは是れ苔 桃花落ち尽くして菜花開く
桃を種(う)うるの道士何れの処にか帰せる 前後の劉郎今独り来る
牧 州の長官。 玄都観 道教寺院の名。 司馬 州の刺史(ちじ)の次官