上越・町家暮らし

主に新潟県・上越市の自然、文化、風土、そして町家暮らしについて書いていきます

早川谷 高倉の春

2015-05-16 15:24:11 | 瞽女街道を行く

 

高倉集落は県道に沿って走る早川谷から逸れ,山間部にある。この集落は奥まった山間部に有りながら,ある程度の戸数を保っている。下倉から急な坂道のつづら折を上り終えると,開けた大きな谷の縁に高倉集落はある.ただ残念なことに,瞽女宿は全て消失してしまった。4月の初め,集落入り口の建家の壁に祭りの告知があった。

          下倉から高倉に向かう,棚田の背後に権現岳と鉾が岳

  高倉集落入り口から,東面に広がる高倉の棚田 桜がちらと咲き始めた 5月9日

   名前はあるが,知らないという 大滝

    熊野大神宮・春季大祭 4月19日

私は観光や,設えられたお祭りやイベントは好まない。とはいっても,脈々とかろうじて残ってきた祭りは今や,風前の灯火ではあるが,時代の必然の中で翻弄され,消えて行くのは自然の姿だと理解しているから,生活や文化形態の変化に連動し,存在していると考えている.だからこそ手を加えることも無く,存続しうる文化,祭りほど貴重であり,存在価値があるとおもっている。高倉の春のお祭りはそんな意味では貴重であるから,日を改めて訪れてみた。

 

集落はずれのこんもりとした森の中に,熊野大神宮は有った.急な坂道を上ると,地元の方が,急ごしらえの神楽堂の屋根に,防水のシートを張っていた.頭上には今にも降りそうな危うい空があった.

境内には露天の店が一張り,たこ焼きの店が一軒,本社の横に設えてあった.子供達の一番人気は露天にもうけられた,金魚掬いである.子供達は先を争って,金魚プールの前に立ちはだかるが,この子達のほとんどがお祭りで帰ってきた,外に出ていた身内の子供達だ.したがって高倉にほとんど子供はいないそうだ,としきりに話しかけて来たのは,地元のカメラ好きの50代の男性だ.「糸魚川でも,神楽を舞う地域は,2カ所しか無くなってしまった」とのこと.

心配していた,雨が本降りになるころには,春の山里の神楽の舞の終焉は近かった。

 

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿