まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

事務次官の犯罪

2019年06月04日 | 日記

中央省庁の事務次官と言えば天皇である。
選挙や失言のたびにコロコロと首がすげ変わる大臣など
しょせんは単なるお神輿に過ぎないが
事務次官は実質ナンバーワンの最大権力者である。
数多いる霞が関の官僚の中でもエリート中のエリートである。
その事務次官が殺人を犯すなど誰が考えただろうか。



事件があったのは練馬区内の高級住宅地である。
町名を聞いてまずは驚いた。
息子がその昔通っていたピアノ教師の自宅のご近所である。
どこか排他的な雰囲気はあったけれど
閑静なお屋敷街でおよそ殺人事件などとは無縁に思われる界隈だった。
犯人が元農林事務次官と聞いてさらに驚いた。
すでに退官されてはいたが
功成り名を遂げた日々を静かに振り返る76歳の余生だった。
唯一の気がかりが44歳になる息子だった。
働きもせず家に引きこもってひたすらゲームに血道をあげ
その世界ではマニアに知られた存在だったらしい。
それでも鬱憤があるのか暴力をふるうこともあったらしい。
つい先日、世間に衝撃を与えた川崎の児童殺傷事件の犯人と同じ構図である。
実際、事務次官本人もあの事件にはショックを受けて
ひょっとして自分の息子もいつか・・・と危機感をつのらせていたと聞く。



このところ「ひきこもり」がキーワードになっている感がある。
それを安易に犯罪と結びつける報道も多く
いつしか「ひきこもりは危ない人」という先入観も芽生え始めた。
ひきこもりは今に始まった訳ではなく
その原因やきっかけも実情さえ多種多様でひとくくりにはできない。
それが暴力化する例は極めて希でレアケースと言っていい。
ひとつだけハッキリしているのは・・・
挫折を決して許さない現代の風潮の反映だということだ。
川崎の事件でも「死にたきゃ勝手に一人で死ねよ!」と怒る人がいるけれど
その発想自体がひきこもる人たちをますます追い込んでいく。
事務次官もなぜわが子を信じてやれなかったのかと残念でならない。
たとえ絶望感からの行為だったとは言え
人望も尊敬もあったかつてのエリート官僚が
わが子を刺し殺し自ら110番通報をする無念さはいかばかりだったか。
単なる殺人事件とは思えないのである。