鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

静岡県と台湾の関係を支える組織

2018年06月04日 | 議会活動

平成30年6月4日(月)

 

 静岡県と台湾の関係を支える三つの組織関係者との意見交換が行われました。

 

 静岡県台湾駐在員事務所は、平成25年4月に富士山静岡空港への台湾からの直行便の就航など、様々な分野で交流拡大が図られるとして設置したもので、今年で5年目を迎えました。事務所には専従の職員が2名滞在し、現地スタッフとともにその任を果たしています。

 駐在員事務所長からは、この事務所が設置以来果たしてきた取り組みや、今後の課題などについて詳細な報告を受けました。

 静岡県は台湾側から見ても相互交流に積極的な県として評価され、全国でも5指に入るといいます。台湾では日本との交流プラットフォームを検討中で、その候補に静岡県と千葉県が挙がっています。観光を始め、教育、防災などはさらに伸びることが予想され、交流窓口として積極的に取り組まねばなりません。

(県駐在事務所入り口の看板)


(県駐在事務所を訪れた訪問団)


(所長から課題に関する資料を提示して説明)


(静岡県内の市町を紹介する棚。残念ながら地元の資料はなし)


(お茶のポスターの背景は地元富士市)


 

 そのような状況において、富士山静岡空港と台湾を結ぶ直行便が減便されることになり、その噂が広まった昨年冬から今春までの数ヶ月間は、この路線を扱う旅行者がキャンセル負担の可能性も懸念し、旅行客の斡旋を止めたことから、この時期の搭乗率がかなり低下したといいます。

 航空会社は経営陣が大きく入れ替わり、就航方針に対する考え方が変わったともいわれています。また、その背景には台湾の政権が変わったことによる政治的な影響があるかもしれないということでした。

 しかし、これらはビジネスであるため、採算が難しくなる路線の撤退はあり得ることで、それに対する対策は急務ですが、そのためには現状を正しく認識し、とるべき方法を見つけなければなりません。世界的に航空業界を揺るがすLCCの台頭も人ごとではないようです。

 台湾の旅行者もかつての団体旅行から個人旅行が増え、受け入れ側もこれまでのような取り組みでは客が集まりません。

 

 さらに指摘されているのは、インバウンドとアウトバウンドのバランスの悪さで、日本からの利用客を増やす必要が強く求められています。特に、地元の空港を活性化するためには、相手だけに要求するばかりでなく、地元の人達がもっと空港を利用することが重要といいます。双方の理解が進むよう何をすればよいのか、いくつかの事例で説明をしてくれました。私達が議会として取り組む中でもこの肝を十分に理解して取り組んでいかねばなりません。

 

 また、台湾事務所へ県の関係者がもっと足を運ぶことが重要といいます。本体自らが事務所を通じて台湾の各方面に重ねて熱意を伝えていくことも重要で、事務所だけでは対応に苦慮することも少なくないといいます。私達が今回、日華友好議員連盟として現地事務所とともに台湾各方面に直接働き掛けることは、相手も十分に好意的にとらえ、認識を深めることになるとの説明がありました。

 

 「台湾日本関係協会」は、日本との事実上の外交窓口です。1972年に中華民国(台湾)と日本の国交が断絶したことを受け、貿易、経済、技術、文化などの民間交流関係を維持するために同年12月に台湾側が設けた機関で、平成29年5月にそれまで「亜東関係協会」と呼ばれていたものを「台湾日本関係協会」に名を改めました。

 民間の組織となっていますが、中華民国外交部(外務省)の所管となっています。

 新たな名称に「日本」と明記されたことは国交が樹立されているわけではありませんが、台湾と日本の関係の深さを象徴するものといわれています。

 静岡県は、平成25年4月に台湾駐在員事務所を開設してから5年が経過しましたが、これを支えてきたのはこの台湾日本関係協会によるものが大きいといわれています。

(台湾日本関係協会の張秘書長と訪問団)


(張秘書長と)


(張秘書長は午前中に開催された日本台湾のAI、IOT関連会議を紹介)

 

 今回の訪問は、この組織のトップである張淑玲秘書長で、そのほか2名の担当者が同席されました。3人とも女性の外交官で、張秘書長は外務省の局長と同等の立場で、国会に相当する立法院では委員(議員)の質問の答弁に立つ立場で、30年もの長きに渡り日本外交に携わってきた方です。

 

 意見交換の中では、両国の観光交流や教育・防災など、あるいは微妙な課題ではありますが、台湾が現在の国際情勢の中で置かれている立場についてお話をうかがいました。また、それを静岡県に当てはめて、様々な課題と今後の交流推進について意見交換が行われました。

 昨年度の台湾と日本の交流人口は650万人を超え、そのうち台湾側から450万員で日本側からは200万人が双方を訪れています。台湾からの交流人口は東日本大震災以降に激増し、それまでは日本からの訪問者の方が多かったといいます。しかし、日本からの交流人口は大震災以前と比べ、大きくは変化していないということでした。台湾の人口は2400万人弱であることから、1年間に台湾人の5人に1人が日本を訪れていることになり、親日感はこれだけでも感じられます。

 パスポートの取得率はかなり高いということで、経済的にも所得が上がり海外に出かけていくことが増えたといいいます。一方で、日本ではまだ取得率が20%代というところは少なくないようで、台湾のパスポート取得率が大きいことに驚かされました。

 

 静岡県との関係では、富士山静岡空港へ就航している路線減便の背景についてと今後の見通し。台湾への日本からのアウトバウンドを増やすための取り組みなど、便数を元に戻すために本県側が対応すべきことなどについても意見交換をしました。

 

 台湾立法院は日本の国会に相当し、国民の代表である委員(議員)がいます。今回の台湾訪問では、富士山静岡空港への減便対策に立法委員にお力を頂くための訪問となりました。

(台湾立法院委員の陳明文氏と訪問団)


(私の地元、富士山と茶畑の写真で盛り上がる)


(陳明文氏は、本県と台湾の橋渡しのためにご尽力いただいていることを説明)


 静岡県は台湾の嘉義県と交流があり、前知事で現立法委員の陳明文氏が交通委員会に所属していることもあり、その縁で面会が実現できました。

 我々の訪問目的は先に知らされており、国土交通大臣や委員会でも減便の回復について働き掛けてきた取り組みについて説明していただきました。

 その中では、静岡便の搭乗率は往路では高い数字を示しながらも、復路では低くなっている。その理由では、静岡空港に到着し静岡空港から帰国するパターンが減り、別の空港から帰国するパターンが増えてきたこと。台湾人の平均旅行日数は5日から6日で、そのうち静岡県内滞在は2~3日間であり本県内でさらに長い滞在を可能とする受け入れ体制が求められている。また、静岡空港を利用して台湾を訪れる日本人数はあまり延びずその影響も大きい。台湾便の発・到着時間も利用者に合わせていないことも一つの原因かもしれない。

 このような指摘からわかるように利用者の利便性に対応していないことは大きな課題です。

 静岡空港は開港当時から国際線は1時間に1便しか対応できず、都合のよい時間の空きスロットが取れなかったことも原因の一つとなっています。このため、県では国際線ターミナルを改装しこの10月から時間あたり3便が処理できるようになります。

 

 静岡県は富士山の世界遺産をはじめとする観光資源が多く、また東京五輪で注目されている自転車競技は、台湾では国民的な人気があり、取り組み次第で交流人口は増えていく可能性はあります。

 委員からは、「今後も、機会ある毎に静岡空港の減便対策について公の場で働き掛けていくので、静岡県側も交流人口の拡大のために努力してほしい。」と結びました。

 

 本県の観光振興への取り組みは十分とは言えません。このような交流を高めるためには「ギブアンドテイク」による双方のメリットが得られることが重要で、我々がもっと努力しなければならないことを改めて認識しました。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 台湾との交流を深化させるた... | トップ | 台湾との青少年交流と防災交流 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

議会活動」カテゴリの最新記事