鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

中山間地の土地改良への期待

2017年06月14日 | 議会活動

平成29年6月14日(水)

 

 改正土地改良法が本年5月28日に公布されました。

 農業者の高齢化や後継者不足などにより、今後、耕作ができない農地(耕作放棄地)がますます増えることが予想されることから、その農地を優良農家などに安心して借りていただくための、橋渡しとなり得る農地中間管理機構があります。この農地中間管理機構が借り入れた農地については、今後、県営事業においては、農業者(地権者)の費用負担と同意なしに農地基盤整備事業が実施できる制度が創設されることとなりました。これにより農地の集積・集約と併せ、農地の基盤整備が進めやすくなるとのことです。

 

 富士市の東部地区にある愛鷹山南麓は、茶畑が広がる農地ですが、単体の畑面積は小さく、形状も不定、場所によっては傾斜角がきつい農地もあり、機械化には困難な状況で作業効率は決して良いとは言えません。最近は、茶価の低迷や担い手不足などから、茶農家が茶の栽培を止めるところも出てきました。一方、他の農産物へ転作しようにも、担い手不足と適当な品種が見つからないと言います。トウモロコシや豆類、果樹などは、鹿などの鳥獣被害の対象になりやすく、結果として耕作放棄地になることが懸念されています。

 

 私は県政報告会などを通じて、古くから農業を営む農家の皆さんからは、数年前からこの問題が指摘され、作業効率の良い農地への改良などの対策が求められてきました。これらの実情を学ぶために、これまでに幾度となく勉強会を開いてきましたが、大きな投資を伴う土地改良は、個人レベルではとても実現できるものではありません。一部の茶農家では、耕作放棄地を借り受けて茶畑として活用していますが、先ほど触れたような立地環境なので、耕作面積は増えても効率の良い農業はできません。競争力を高めるためには農地を集積・集約化し、機械化して生産コストを下げていかねばなりません。

 その実現のためには、大規模な土地改良を行政支援のもと進めていくことが期待されていました。

 

 土地改良には莫大なコストがかかることも事実であり、国や県などの地方自治体の助成の支援となれば、公費の支出ですからその是非については様々な意見も多く、前政権の時には土地改良費が大幅に削減されたこともありました。しかし現政権に移り、世界の食糧事情の変化に対応するための「食の戦略」を描く上では、日本の農業の使命や国際競争力を高めるなどの必要性から、削減前の土地改良費に戻りつつあります。

 公費の投入があってもそれだけの効果が生まれるのか、かつての時代には土地改良された農地が期待通りの効果を発揮していなかったこともあり、それを反省として検証も行われてきました。

 

 公費を投入する以上、担い手がいる「やる気のある農家」が、農業経営体として事業化が可能なのか、投資に見合うものなのかをしっかりと見極めていくことが求められています。改正土地改良法が公布されたことを受けて、これまで抱いていた懸案事項が解消されるきっかけとなりましたが、同時に、農家に求められる課題や責任も明確になり、今後は、行政やJA、農業が支える地域づくりに関連する周辺自治会、地元有力者、認定農業者等が一体となって、その実現に向け議論が始まります。

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