鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

原子力発電所再稼働に向けての現場視察

2017年06月12日 | 議会活動

平成29年6月12日(月)

 

 再稼働に向けて準備を進める、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の視察に行ってきました。日帰りの強行軍でしたが、現地では全行程約3時間に渡る視察となりました。

 最初に会議室で、「柏崎刈羽原発の概要」と、「新規制基準への対応および福島第一原発の事故の教訓を踏まえた危険に備える安全対策への取り組み」について、副所長から1時間半ほどの講義を受けた後、発電所内の様々な安全対策に取り組む現場と、6号機の原子力建屋ならびにタービン建屋の中に入り視察させていただきました。

(視察で提供いただいた資料)


(説明者)

 

 再稼働の是非は国民の注目するところであり、全国各地で沸き上がるその議論に注目が集まり現在進行中であると理解していることから、ここでは結論ありきの意見は差し控えたいと思います。

 静岡県内にも中部電力浜岡原子力発電所があり、5基の原発の内、1、2号機は廃炉が決定し、3、4、5号機が今後再稼働を目指して国の新基準に合わせ安全対策を実施中です。仮に国が再稼働を許可したとしても、現知事は「県としての独自の安全確認を行う」としており、さらに現在は県知事選の真っ直中で、浜岡原発の再稼働について候補者がどのように考えているのかに注目が集まっています。今回の視察では、柏崎刈羽原発も浜岡原発も新基準に合わせた安全対策や再稼働に向けた準備の中で、共通の課題を抱えていることに着目し、浜岡原発では我々も当事者として関わっていくことを想定し、情報収集することを目的としています。

 さらに、福島第一原発事故が発生する前には、日本海側にある柏崎刈羽原発で発電した電気は、静岡県の東部(富士川以東)にも供給されています。かつて、私の住む富士市は、1市の総消費電力量が山梨県全体にも相当するという一大電力消費地であり、その約8割が柏崎刈羽原発から送電されていたという話も聞いていました。私達は消費地の立場でも、遠く離れた電力供給源である原発とは無縁でないことを改めて自覚しなければなりません。担当者からは現在多くの原発は停止中ですが、それを補うために他の発電施設での稼働状況や発電能力などの説明を聞くことができ、原発を多角的に考える良い機会になったと思います。

 

 東京電力は福島第一原発事故を起こした企業ですが、私達が現場で会う職員や技術者達は、その大きな責任を背負って、国が示す新基準の達成はもちろんのこと、当事者としての教訓を生かした取り組みを進めていることは間違いありません。その思いは、彼らに直接会わなければ実感できないことです。

 

 視察者からの質問では、テロ対策のうち最近の北朝鮮の暴挙による懸念は、国が原発を守ることに踏み込まなければ民間レベルでは対応が取れない。「県としての独自の安全確認を行う」とする考えにどう対処するか。などが話題になりました。

 

 私は、これまでに中部電力浜岡原発、東京電力福島第一原発(事故後)、オーストリアにある原発、九州電力川内原発を視察してきました。一言で原発と言っても、原子炉の型式や設置環境などが異なり、それぞれに特色があり、個性があります。設置環境では、自然災害の発生原因となる活断層などは人の指紋と同じように、全ての施設で異なります。安全を評価するためには、きめ細やかな現地の環境を調べ上げなければならず、十分なシミュレーションも行わねばなりません。従って、専門家でなければ解析ができない、判断ができないということになるのでしょうが、国民は自分たちも納得できるような「安全の証」を求めていると思いますし、それに応える体制づくりは急がねばなりません。

 大きな原発事故が発生し、その被害も莫大で解決までには長年を要す状況から得た教訓は何なのか。私達の将来を決めるその姿はまだ見えてきません。

コメント
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