モニボン通りとシーハヌーク通りの交差点にスズキの販売店があります。バイクの他にスイフトやVITARA(エスクード)が陳列されています。一度ショールームに入って値段を聞いたことがありました。輸入税等のためか手の届く金額ではなく、無駄な質問でした。
街を走っているスイフトはまだ殆ど見ません。サイゴンでは何回か目にしました。味の素とスズキは早くから途上国での市場開拓に力を入れてい日本企業とのイメージが残るもののカンボジアのスズキ四輪車は積極的な営業をしているとは思えません。
SUVなど高価な乗用車が多いプノンペンで多少とも身の丈に相応しいと感じられる車は日産マーチの中古。2代目マーチの右ハンドルをしばしば目にします。3代目マーチや三菱パジェロミニもたまには。
3代目マーチは隣国タイ生産のため日本で買うよりか物流コストも安そうなものですが、まだ一度も見たことがありません。小さい車は今は圧倒的に韓国車のようです。コーコン州には「現代自動車」の合弁組立工場もあるようです。
スズキが「アルト47」を日本で発売したのはいつ頃のことだったでしょうか?当時も47万円の現金など持っていない生活をしてましたが。デフレとは言え、日本で250CCの新車バイクを買おうとすれば50万円ほどは必要な現在。かつて軽自動車は「低価格」なものだったわけです。
中学生の頃には軽自動車が普及し、中学校の教師が軽で通勤する姿がありました。自転車にエンジンを取り付けた文字通りの原付自転車で通勤している教師もいましたが。中学の美術の教師には道で会い、乗せて貰ったこともありました。劣等生の身にはあまり有難くないことですが、断ることもできず。高校の頃になるとホンダのN360が発売され、同級生が学校に乗って来ました。然程裕福な家庭でもなかったと思いますが、それでも軽であれば普通に買えるような時代になっていたようです。
そんなことを思い出したのもベトナムの新聞にこの3月から韓国の低価格車がベトナムで販売される計画との記事を目にしたからです。普通の人が手の届く距離にある価格の自動車が話題になるのはかつての日本でも経験したことでした。
http://vneconomy.vn/2012021501458463P0C23/xe-gia-re-cua-hyundai-sap-cap-ben-viet-nam.htm
インドでは既に発売されているこの現代「EON」インドでの販売価格は5,515ドルだそうです。ベトナム・ホンダの高級バイクSH150以下の価格。
このインド、タタモーターの「NANO」よりはだいぶ高いことにはなりますが、800cc3シリンダーエンジンで燃費は4.7L/100km程だそうです。
インドでは3,300ドル程度のBajajRE60も今年発売されたとのこと。
日本メーカーはアジアの低価格車の開発競争には加わらないのかどうかは知りませんが、ホンダがナイジェリアで600ドルのアフリカ戦略バイクを発売することはベトナムでも報道されていました。
確か高校生の頃、50ccバイクの値段は5万円程度ではなかったかと思います。それよりも安く125ccのバイクを生産できるというのには驚きます。90年代の終わり頃ベトナムでは大卒で1年働けばバイクが買える給与、などと言われていた時代がありました。まだベトナムでの日本メーカーの生産が本格化する前のことです。
たぶん当時の大卒者、今は30歳を越えた少なくない人々にとっては月給でバイクが買える時代となっているわけですが、彼らが四輪車を買う日もそう遠くはないように感じられます。
しかし、ベトナムの工業団地で働く労働者の平均賃金は300万ドン(144ドル)程度とのこと。5,000ドルの車でも3年間の給与すべてをつぎ込まねばなりません。1967年にホンダN360が発売された日本では高卒初任給の1年分程度でしたが。