大学の後輩からコミックマーケットに行くよう勧められ、今日、初めて「コミケ」に行ってきました。最近、母校のキャンパスには、「SOS団」なるものが結成され、そこからの出店もあるということだったので、ご挨拶を兼ねての初コミケでした。
いろいろと感じることがありましたが、特筆すべきは、以下の三点です。
①コスプレの親近感
コミケでは、アニメに纏わる諸々のグッズ販売が行われていますが、それらとは別にコスプレを楽しむ広場があります。ここで、知っている衣装のコスプレイヤーがいたりすると、かなり嬉しくなってしまいます。
そもそも、コミケには実に大量のアニメタイトルが溢れています。これらのタイトルを全て網羅している人など、まずいないのではないかと思います。そんなかで感じるのは、知らないキャラクターに混じって、知っているキャラクターのコスプレをしている人がいると、「おぉ、○○だぁ!」などと感激してしまうのです。
ところでコスプレについて、一方で残念なのは、現代社会において、こうしたコスプレを楽しめる場所が、極めて限定されているということです。これは既に、別の記事でも述べているところ(「別世界の演出ができる国」参照)ですが、日本は多くの良質なコンテンツを有しているにも関わらず、それを気軽に楽しむための空間をファンに提供しきれていないのです。今回は、コミケという一種のお祭りだからこそ、堂々とコスプレが許されています。しかし本来は、せっかくのこうした楽しみ方を、もっと気軽にできなければなりません。例えばディズニーランドで、「ちょっとミッキーマウスの耳をつける」といった感覚で、コスプレを楽しむことができないというのは、非常にもったいないところです。
②「礼儀正しさ」という貴重な文化
コミケに行くことを勧めてくれた後輩からは、「初めて行くのなら、ひとまずインターネットで心得を眺めておいてください」というアドバイスを受けました。以下は、一応アドバイスに従って、インターネットで入手したコスプレに関する注意事項の一部抜粋です。
■コミックマーケットでは、以下の行為を禁止しています。
-相手の許可がない撮影、決められた場所以外の撮影
-アクションを行う、アクションをさせる
-ポーズや撮影の強要、長時間の拘束
-更衣室以外での着替え、コスプレのままでの帰宅
-周りに迷惑のかかること
言ってみれば、どれも当たり前のことですが、びっくりするのは、現地でのこれらルールに対する徹底ぶりです。コスプレをしている人々を目の前にして、サッサと撮ってしまえば済むものを、コスプレをしている人が、諸々の準備をしているときなど、皆さん、けっして撮ろうとしません。もちろん、その広場以外での撮影など、絶対になさそうな雰囲気です。
撮影をするときは、「すみません、撮らせてください」と声をかけ、撮影が終わると、「ありがとうございました」と言って、立ち去っていくというのが、基本的なやり取りで、それらがそこらじゅうで行われているのです。この言葉のやり取りは、極めて簡単なことながら、こうしたことを集団できちんと実践できるということは、なかなか難しいことだと思います。私はむしろ、こうしたことが集団で行えるということ自体、そこに集う人々が持つ、かけがえのない財産であるとすら感じました。
アニメは、日本が世界に誇る文化であるとは思っておりましたが、そのアニメを支えるファン文化までをも含めて、その水準は、十分に世界に誇れるものではないかと考えます。
ちなみに、本日撮影したコスプレの写真については、本ブログに掲載したいところですが、被写体の方に断っていないため、以下の注意書きに則り、涙を飲んで、掲載を諦めたいと思います。
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営利、非営利にかかわらず、不特定多数へ配る行為をする場合は、必ず被写体の方に、目的、掲載方法、掲載メディアなどを伝えて承諾を得てください。
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③氾濫するコンテンツと品切れ
コミケには、企業ブースもあるのですが、ここはいろいろなアニメやゲームタイトルで、溢れかえっています。とにかく、ものすごいボリュームなのです。
以前、仲間と日本のアニメコンテンツについて話をしていたときに、「いろいろとアニメを見ようとしたら、とても1日24時間では足らないよ」などというやり取りをしたことがありましたが、その言葉をあらためて思い出しました。これだけあると、どこに行ってよいのかすら、よく分からなくなってしまいます。
企業スペースの様子 |
かんなぎグッズ完売 |
Fateグッズ完売 |
そんななかで、ようやくたどり着いた先では、ほとんどのグッズが完売状態という具合です。あれだけ、多様なタイトルがあるのだから、多少はバラけるだろうなどと思いたいところですが、私ごときが知っているタイトルで、しかもそれなりに好きだったりするものは、当然、人気も高いわけで、ほとんど目も当てられないほどの完売の嵐だったりするのです。
ここで思うことは、今回のような「お祭り」であるが故の限界です。もし、これが「お祭り」ではなく、日常的に営業をしているようなショップである場合、このような在庫切れという事態は、まずあり得ないことです。
端的な例として、ディズニーランド内のグッズショップでは、たとえそれがどんな人気商品であろうとも、簡単に在庫を切らせるということはあり得ません。ショップ側は、売り上げを伸ばすために、きちんとそれらの人気商品の在庫を確保していくし、また来週、来月の売り上げに備えて、継続的な補充をしていくはずです。
しかし、コミケでのグッズ販売は、そうした日常的に営業をしているショップとは、まったく性格を異にするのです。それは、コミケが「お祭り」であり、わずか3日間という限られた期間のなかで行われるということから、そこでのグッズ販売の目的そのものが、通常のショップでの販売と、大きく異なってくるという可能性があるということでもあります。
私は、このこと自体、コミケというイベントの性格上、致し方ないことなのだろうと思います。ただ一方で、一人のアニメファンとしては、そうしたイベントの性格上、お目当てのアニメのグッズを購入する機会を根こそぎ奪われるというのは、非常に残念なことだと思わざるを得ません。
ディズニーランドにできて、日本のコンテンツでできないはずがありません。ファンが、好きなタイトルのグッズを心置きなく買える環境を整えるということは、コンテンツ産業の隆盛のために、絶対に必要なことです。これはこれで、自らが解決すべき課題として、考えておきたいと思いました。
以上、本日のコミケに関する感想でした。