満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

磯端伸一のレコーディングを開始

2013-01-30 | 新規投稿
   
2013年の私は、再びpro toolとの格闘によって始まった。
木村文彦のアルバム『キリーク』を昨年、制作した際、ゲストで演奏していただいたギタリストの磯端伸一氏に「次は磯端さんのアルバムを作りたい」と申し出て、1年後くらいにぼちぼち始めるつもりでいたのだが、磯端氏が春に演奏活動で渡欧すると聞き、それならヨーロッパにCDを持っていけるように、完成を間に合わせようと思い立ったのである。彼は以前にもヨーロッパでの公演を通じ、自身の音楽性の発揮の土壌たる場所をそこに見つけ、数々のミュージシャンとの共演が刺激物となって、表現の質的発展をみてきた。磯端氏が見せる自分への厳しさや他者の演奏への批評的観点などが、即興演奏に於けるヨーロッパの演奏者の反応の早さ、理解の深さ、表現力との比較においてその基準を自ら設けている事を私はしばしば感じていた。そして磯端氏は来日するヨーロッパの演奏家の多くから大阪でのライブ設定を依頼され、共演を申し込まれるほどに信頼されているのだ。本町にあるギャラリーカフェ、シェ・ドゥーブルはそんな磯端氏の活動拠点とも言えるスペースだが、そこで少人数のオーディエンスの前で磯端氏が行うソロ、あるいは来日したヨーロッパの演奏家と行う即興演奏の素晴らしさに私はしばしば感動し、それを広く伝えたいと感じていた。その機会が今、やってきたのだ。

しかし今回はpro toolとの文字通りの‘格闘’となった。
スタジオ・ユーで一回目の録音を終え、ファイルをpro toolで開いた私は焦った。アコースティックギターをマイクで拾う音のレヴェルが小さく、ノイズが混じっているのだ。もっともエンジニアの大輪氏から「かなりレヴェルを上げてますが、演奏の音が小さいので、いっぱいいっぱいです」と言われていたので、ある程度、覚悟はしていたのだが、やはり、磯端氏の微音の世界を収録する困難を改めて思い知らされたのである。悪戦苦闘しながらノイズを消す作業を試行錯誤していた私は、ベストの形をとろうと思い、WAVEファイルをスタジオ・ユーで全て、できうる限りの音に修正してもらってから、ミックスをやり直す事にした。
波乱含みとなった今回の制作。
しかし、来月の2回目の録音はなんと大友良英氏を迎えてのデュオの演奏収録となる。私の緊張はピークに達するであろう。

さて、磯端氏は今週の土曜日である2月2日、京都のHAWK WINDというライブハウスに向井千恵氏とのセットで出演するが、心なしか‘恐れている’様子であった。その理由の一端を下記の動画に求める事はあながち、間違いではない。だろうか。




向井千恵with宮本隆 duo improvisation


    

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