満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

mugamichiru<ムガミチル>解明その1

2018-02-05 | 新規投稿
今回のツアーはBirds Tour 2018と名つけられたツアーですが、そのアルバム「Birds」はライブ会場とネット(ナカコー氏のサイト)だけの販売ということで、まだ、聴いていない人も多いはずです。ただ前作「Poland」同様、どちらもミニアルバムの趣で、本格的なフルアルバムとは言えないのかもしれません。mugamichiruはネット上でもyoutube等でその音楽を事前に知る事ができず、アルバムを聴く以外に音楽性をチェックする術が今のところなく、今回のツアーでグループを目撃する人はおそらく初めてその音楽に触れる事になるケースも多いと思われます。私が二つのアルバムを聴いた印象は、グループ自らが<最深のダークロック>、<深海のロック>と形容する通り、暗い音像の反復をローテンポなリズムで構築する感じです。と言葉で言えば身も蓋もないですが、ここにはどこにもないロックバンドの音があると感じます。私は音の感触として初期のタンジェリンドリーム(virgin移籍前の)にはこんなドラムもあったなと想起しました。ドラムが遠く内奥から残響音を伴って、響くその質感が似ており、地の底に何かしら発信機があり、それが地上や宇宙にまで轟くような音を再現するかのようなミックスが施されています。ナスノ氏のリーダーグループであるTENELEVENに通じる世界観もありますが、もう一方のキーはナカコー氏のアンビエントにあると思います。ナカコー氏はnyantra名義で福岡在住のアンビエント作家、レーベルオーナーであるDuenn(ダエン)氏とユニットを組み、’ハードコア・アンビエント’なるジャンルを提唱し、その独特なダークなアンビエント作品を制作しています。私はDuenn氏に’ハードコア・アンビエント’というのはナカコー氏かあなたのどちらが命名したのか直接、尋ねると、それはドミューンに出演した際、宇川直宏氏が言いだしたのだと教えてくれましたが、歪みや暗さを表出するアンビエント、ドローンは正しくハードコア・アンビエントと呼ぶに相応しいと感じました。ナカコー氏はソロでもアンビエント、ドローンの作家として極めて多作ですが、私が聴いた限り、かなりメジャートーンなトラックも多いと感じます。しかしDuenn氏と組むユニットでは芯の太い、アンビエントと言うよりはダークな無機的エレクトロニカといった風情の興味深い作品を制作しています。そして驚いたのはnyantra-duenn名義のアルバム「086-087AREA」(写真右)に現れる鳥の鳴き声です。mugamichiruのアルバム「Birds」の冒頭に現れる鳥の鳴き声と同じではないが、同様の自然音、生物の音によるコラージュをここでもやっています。私はmugamichiruの事を以前からナスノ氏から聞いており、ナスノ氏の新たなリーダーグループと認識していましたが、ナカコー氏の影響、イニシアチブも最近、感じ始めています。

02.16 MUGAMICHIRU Birds Tour 2018 大阪 environment Og [zero-gauge]

MUGAMICHIRU
中村達也 ds、ナカコーg,sample、ナスノミツルb
Front act / Zero-Prizm (S-NOI / 宮本 隆)
大阪 environment Og [zero-gauge]
Open 19:00 / Start 19:30
前売 ¥3,500- / 当日 ¥4,000- (+drink order)
学生 ¥2,500- (+drink order)
予約・問合
environment Og
大阪市西区南堀江3-6-1 西大阪ビルB1F
nuthingsjajouka@gmail.com

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