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「ダブっぽいです」とCDを貸してくれたのは廣川君。たいして期待もせず、何の予備知識もなく聴くとそこに驚きのサウンドがあった。ニックケイブ、トムウェイツのような野太い声。語りかけるようなポエトリーリーディング的な歌い方、あるいは原曲のメロディの輪郭を想像させるような崩したような歌い方はディランのようでもある。そして深遠なサウンドプロダクションの妙。ダブ的だがフォーキーでジャジーですらある。聴き終わってからYOUTUBEなど検索すると、そばかす顔の痩せっぽちの白人だった。しかし引き籠りのようなその相貌と相反するようなKING KRULEのボイスの確信性は本物の匂いがする。どんなアーティストに影響を受けたかは知らない。もうそんな情報は要らない。ただ、感じるのはKING KRULEの意識下にある伝統継承の感覚だろうか。様式美ではない精神的な継承というか。個性的である事と伝統的である事は矛盾しない。逆にこれくらい個性的でなければ個性などと言うべきでない。まだたいした世界観もなく自己確立もおぼつかない蒼白いイギリス人による内的発露な音楽世界。プロフィール見たら19歳だった。30歳以上くらいの声だと思った。ひたすらパーソナルだが、それが普遍性を帯びてしまうこともある。いわゆる‘いまどきのカッコイイ’サウンドの範疇にも‘入ってしまっている’のでi-podで聞き流せるようなアシッド的快楽志向という外郭に覆われているが、その核心はハイレヴェルな歌世界そのものだと感じる。何を歌っているか知らないが、詩人の様相である事はそのボイスで分るだろう。
2013.11.18
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