満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

ナスノミツル氏はmugamichill(ナスノミツル、中村弘二、中村達也)を〈アート・ロックユニット〉と名付けている。

2023-05-17 | 新規投稿
ナスノミツル氏はmugamichill(ナスノミツル、中村弘二、中村達也)を〈アート・ロックユニット〉と名付けている。嘗て60年代に登場したピンク・フロイドやヴェルベット・アンダーグラウンドが光と映像を音に融合させる試みをライブで行ったオリジナルを指す'古語’と言っても良い〈アート・ロック〉を堂々、名乗る潔さにバンドコンセプトの本気を伺う事ができ、言葉本来のアート性を追求する志向は今回のライブでのVJアーティスト、heaurexの起用で明確になった。
元来、ナスノ氏はProtoと言う映像作家ササキヒデアキをメンバーとするユニットを組む程、ビジュアルアートを重視する演奏家だが、それは音によって可視化できるイメージを、想像の中に収めるのでは無く、具体的に呈示する事で、ナスノ氏自身の表現の完成と成す方向を示すものであろう。彼はどこまてもイメージの住人であり、音楽表現とは内部イメージと言う抽象物の表出だと思われる。従って音列の組み合わせで成り立つ音楽のシンプリファイズ=単純化を図り、音階のバリエを最小限に抑えながら、寧ろ音色の多彩化と映像の融合による新しいビジュアル・ミュージックとでも言うべき境地を実現した。
事実、heaurexのビジュアルワークは色彩をモノトーンに抑え、イブ・タンギーの抽象画のような未知のイメージ溢れる一つ一つの形が変化、生成してゆく運動を映し出すもので、それはmugamichillのシンプルな形、契機を音階を抑えながら拡大して演奏する様式にぴったり符合するものであった。
聞けば、予めバンドの音は聴かず、曲のタイトルだけを把握して臨んだとの事で、ナスノ氏のビションの再生では無く、相互のコラボレーションであった事も即興性をも重視するバンドのカラーが現れた一面であった。
heaurexは私が企画したナスノ氏のソロライブでVJを担当し、その際、ナスノ氏の好感があり、今回のオファーとなった。今後も機会あれば、コラボして頂きたいと思う。
私は物販でmugamichillのLPを購入。
ライブで演奏した新曲を収録した新譜アナログです。4枚組CDも良かったけど、このバンドのアンビエンスの深い奥行きはアナログが相応しい。聴いて納得。やはりと言う感じです。

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