満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

        MASSACRE    『Lonely Heart』

2007-10-24 | 新規投稿
 

直角ビート系ジャズロックドラマーとはチャールズヘイワードの事で、その一音のインパクトたるや並でない。実際、ディスヒート(79~81)をロンドンで観た記者の当時のレポートでは、その出音の衝撃、凄まじさに観客がビビッてしまう程と書かれてあったと記憶する。レコードでも充分、衝撃受けたけどね。しかしディスヒートだけは生で観た人は幸せだ。
ディスヒートでのチャールズヘイワードは多分、イメージとして<脳天からたき割り!(誰のワザだっけ)>といった感じのドラムだったのだと思う。斧で巨木をダーッと叩き割る感じ。薩摩示現流のような一瞬の切れ味。そんな感じだったんだろうな。

そんなチャールズヘイワードがソロで初来日したのは96年。彼の来日は多くの日本のミュージシャンやファンが待ち望み、注目した。私が観たセットは山本精一(g)、吉田達也(ds)も競演。実に良かったのだが、ヘイワードと吉田のバトルは吉田の勝ちという感じはした。私の印象ではヘイワードのドラミングがかなりスウィングしており、直角ビートとミックスされた重量感があった。
ディスヒートの後、チャールズヘイワードはキャンバーウェル・ナウやソロ活動を経てマサカーに入る。マサカーはビルラズウェルがマテリアルより先行してフレッドマーと結成した最高のバンド。ファーストの『killing time』(81)は聴きまくった一枚だった。フレッドフリス(g)のニューヨークデビューのバンドでもあった。(左翼イデオロギーのヘンリーカウでヨーロッパ歴史主義に絡め取られていたフリスが垢抜けるきっかけになった。と思う。)

『Lonely Heart』はマサカーのライブ音源。
この凄まじさは一体、何ですかという感じ。最高。ヘイワード、これは巨人のリズムですね。鉈(なた)を振り下ろしているよう。しかもナイフでスパスパスパっと細かくも切る。フリスはテクを捨てないとテンションでヘイワードに対抗できないので、ある意味、ワンパターン。刺激音に走っている感は否めない。でもリズム感はいい。実験!リフ!ノイズ!もう一回!実験!リフ!ノイズ!と繰り返す。でもこのバンドは誰もギター聴いてないね、多分。リズム、若しくは全体の圧力の流れみたいなものを体感するのがマサカーの聴き方でしょう。ラズウェルはいつもの重低音電流ベース。時々、ワウワウでワカッワカッとやったり、ディストーションでブーンブーンと唸っている。センスがいい。ラズウェルによるギタートリオは大友、芳垣によるSOUPもあるが、対バンするべきです。ラズウェルDAYとして。

ノイジーなのに飽きないのは演奏がいいからか。それとも単純に私の好みだからか。
ヘイワードの可愛いメロディカをフューチャーしたスローテンポの曲でストンと唐突にアルバムが終わるのはご愛敬か。味があります、どこまでも。

チャールズヘイワードの破格のパワー。私はエネルギーをもらった感じ。心臓に響きます。元気が出ます。ありがとうございました。

2007.10.24
  

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