満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

The Psychedelic Furs 「Made of Rain」

2021-12-22 | 新規投稿

バウハウスの「go away white」での復活・再解散の醜態はパンク/ニューウェーブの悪しき延命行為の典型だったが、そうでない例外の一つとしてアルバム「Made of Rain」は異彩を放つのではないか。サイケデリック・ファーズの約30年振りとなるニュー・アルバムがとんでもなく素晴らしかった事に驚いた。と言っては失礼か。ファーストアルバム「The Psychedelic Furs」(80)

を買って感動し、「このバンド知ってるか?」と周りに聴かせた記憶がある。『World Outside』(91)という最高傑作を残して事実上の解散。典型的な80‘sバンドの潔いその軌跡に私は生涯ファンを自覚したのであったし、ファーズの色褪せない楽曲の数々は実際、私にその後もずっと聴き続ける音楽として常に手の届く所にLP、CDを置いておくグループだった。

再活動など期待せずとも良い。いい音源がたくさんある。しかもその後の物語を私は知らなかった。ヴォーカリスト、リチャド・バトラーの新たなグループLove Spit Loveも全くスルー。

いつしかファーズとしてライブ活動だけ再始動させていたのだと言う。その助走期間があって今作「『Made Of Rain』は生まれたのか。全ての曲が素晴らしい。驚きだ。

思えば80年代、活動半ばでPOP化するバンドが続出したニューウェーブ勢の中でそのPOP化が全くマイナスにならなかった数少ないバンドの一つがファーズだった。楽曲の説得力が圧倒的でしかもバトラーの歌声が曲のスタイルに左右されない唯一性を持っていたからだと感じる。今となっては来日公演に行けなかった事が悔やまれ、今作「Made of Rain」の話題性の無さから再来日など望むべくもないが、アルバム制作の継続は切に望むところです。

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