晴耕雨読 in 神鍋高原

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経営の本棚(24) 「上杉鷹山 リーダーの要諦」 佃律志

2016年07月17日 | 経営の本棚(2)

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 第297回記事(2016年7月18日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
 経営の本棚(24) 「上杉鷹山 リーダーの要諦」 佃律志
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今回ご紹介する本は、佃律志(つくだりつし)先生の書かれた、「上杉鷹山 リーダーの要諦」(日経ビジネス人文庫)です。
約20年前くらいでしょうか、「上杉鷹山」公がブームとなり、沢山の本が出版され、私も2~3冊読んだ記憶があります。
しかし、この本が他の本(小説が多い)と違うのは、
 ①上杉鷹山公の行った改革を現代の(中小)企業の経営にどのように活かしていけばいいか、対比しながら書かれており、
 ②豊富な(中小)企業のコンサルタント経験からのアドバイスがある、
点です。
特に、現場の人の”モチベーション”をどのようにアップし維持するかの点で大変参考になると思います。
ぜひ読んでいただきたい、お勧めの一冊です。(私は、たいへん歴史好きという点もあり、1週間で3回も通読してしまいました。)

上杉鷹山公をご存じない方もおられるかもしれませんので、まずそのご紹介を簡単にして、
その後にこの本のポイントを数点ご紹介します。

上杉鷹山公は、江戸時代中期の人で、山形県の米沢市にあった米沢藩の第9代藩主です。
米沢藩は、かつては120万石の収入があったのですが、関ヶ原の戦いに敗れ30万石に減額されます。その後、後継者を決めていないために、15万石まで減額されます。
ところが、武士の数は減らしていません。
現代の企業経営でいえば、売上が1/8になったのに、リストラを実施していない会社と同じです。
そのため、藩の財政は大赤字で、借金の利子の返済ができないので、商人からの新規の借り入れもできません。
赤字の会社が、借金とその利子が返せないので、銀行から新規の融資をしてもらえない、泥沼状態です。
上杉鷹山公はそんな状態の米沢藩の藩主になり、改革をされ成功に導かれた方です。

「為せば成る為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」(262p)
この言葉は有名ですので、ご存知の方も多いと思います。しかし、私には精神論のように聞こえてこの本を読むまでは嫌いな言葉の一つでした。
しかし、208pの図表7-2「鷹山の改革は動機付けと効率化の繰り返し」を見ていただくとわかるのですが、
 ①人のマネジメント(動機付け)
 ②仕事のマネジメント(効率化)
の改善サイクルを回し続けた結果、改革に成功したのであり、改善サイクルを回し続ける気持ちを持つことが大事なことが分かつてきました。
①人のマネジメント(動機付け)については、現代では、「ハーズバーグの動機付け・衛生理論」(103p)や「マズローの欲求5段階説」(115p)や「マクレガーのY理論X理論」(160p)がありますが、そのような理論の知られていない中で、常に考えて良い方向に改善して行く案を実行されています。その案が現代の理論とも一致しているので、改革は良い方向に転がりました。
②の仕事のマネジメント(効率化)については、225pの図表8-1「財政16カ年の組立」と問題解決の手順との関係 も参考になります。とにかく、短サイクルでPDCAのサイクルを回すことがたいせつです。

PS
現代企業経営では、戦略の立案が最重要視されている(と私が勝手に思い込んでいたのでしょうか。)。
従業員の方のモチベーションをどうアップさせるかがより大切だと思い込んでしまいそうなほど、
”モチベーションアップ”の重要性を痛感させられる本でした。

                                     井上 三右衛門(記)

外観


データ
タイトル:上杉鷹山 リーダーの要諦
著者:佃律志
出版:日本経済新聞出版社
ページ数:297p
大きさ:文庫本タイプ
出版年:2016年

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