晴耕雨読 in 神鍋高原

~ものづくり・工場改善の本の紹介を中心に~

ものづくり・工場改善/財務・原価(4) 人事屋が書いた経理の本 協和醗酵工業(株)

2018年11月04日 | ものづくり・工場改善 財務

はじめに、
ミスター半導体と呼ばれた元東北大学学長の西沢潤一先生が、
10月21日にお亡くなりになったそうです。
ご冥福をお祈りします。

私が学生の頃、既に多くの成果を挙げられておられ、
特に、電気信号を光信号に変更する素子と、
光信号を遠方に伝える光ファイバーと、
光信号を電気信号に変換する素子を全て発明されており、
「光通信の父」と呼ばれる私にとっては雲の上の方でした。



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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第377回記事(2018年11月5日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 ものづくり・工場改善/財務・原価(4) 人事屋が書いた経理の本 協和醗酵工業(株)
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まず、データと目次を示します。
データ
 著者  :協和醗酵工業(株)
 出版社 :ソーテック社
 出版年 :1978年
 定価  :1165円+税(当時)
 ページ数:226p

目次
 第1章 財務会計の眼
 第2章 採算の眼
 第3章 採算戦略の眼
 第4章 B/Sの眼
 第5章 B/S戦略の眼
 第6章 資金繰りの眼
 第7章 マトリックス会計の眼

この本の概略と本を読んでの所感ですが、
はじめに
 「会計はむずかし?」と質問されたら、「いいえ、むずかしくありません!」と回答したくて、
 過去にベストセラーになった分かりやすい本を紹介しています。
 今回は人事屋さん(というより研修担当者)が書かれたたいへん分かりやすい本です。
 前回同様に、仕分けや簿記のことは出てきません。
 サブタイトルにあるMGとはマネジメントゲームのことで、
 研修ではこのゲームをやりながら財務を覚えていきます。

本の中心ポイント
 財務3表のP/LとB/SとC/Sを読むポイント(著者はこれを「眼」と言っています)と、
 それらを改善する戦略が書かれています(著者はこれを「戦略の眼」と言っています)。
 (C/Sがまだ財務3表に入らない時代のことなので、C/Sは資金繰り表と書かれています。)
 
その結果、
 
いろんな眼と戦略を整理すると以下になります。
 ①財務会計の眼:P/LとB/Sの眼を合わせたもの(5p)
 ②採算(P/L)の眼:固定費F対付加価値mPQの動きを見る眼(29p)
 ③採算(P/L)の戦略:2つあり、一つがmPQ戦略で、もう一つがF戦略(71p)
 ④B/Sの眼:左側にある「目に見えるもの」(カネの運用の姿)と
  右側にある「目に見えないもの」(カネの出どころ)を同時につかみとる眼(109p、149p)
 ⑤B/Sの戦略:2つあり、一つが目に見える方の「回転をあげる戦略」で、
  もう一つが目に見えない方の「自己資本をふやす戦略」(149p)
 ⑥資金繰りの眼:前期B/Sと当期B/Sの差(比較B/S)を見る眼(明記されていないので推定)
  
さらに、書かせていただくと
 これらの見る眼をもって財務3表を見て、
 経営改善のための戦略を決めることで、
 具体的な活動・行動に落としていけます。
 つまり、するべきことの具体化ができます。

最後に
 178pの「なぜ利益と現金はイコールにならないのか?」と
 206pの「黒字倒産のメカニズム」
 は絵になっており、分かりやすいので、一度眺めるだけでも、
 必ず参考になりますので。

井上 直久

外観
 

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ものづくり・工場改善/財務・原価(3) 財務3表一体分析法 國貞克則

2018年10月14日 | ものづくり・工場改善 財務

忙しくしていると、2週間というのはあっという間ですね。
その忙しい中で、簡単ですが記事を書きました。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第376回記事(2018年10月15日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 ものづくり・工場改善/財務・原価(3) 財務3表一体分析法 國貞克則
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まず、データと目次を示します。
データ
 著者  :國貞克則
 出版社 :朝日新聞社
 出版年 :2009年
 定価  :780円+税(当時)
 ページ数:263p

目次
 第1章 財務分析の基本ポイントを知ろう
 第2章 まず会社の状況をザックリつかもう ~基礎編
 第3章 多くの財務3表を見てセンスを磨こう ~ドリル編
 第4章 実際に図表を作ってみよう ~作図マニュアル編
 第5章 より理解を深めるための補足

この本の概略と本を読んでの所感ですが、
はじめに
 この本は前々回の記事で取り上げた「財務3表一体理解法」の続編です。
 会計の仕組み=財務3表のつながりがわかったうえで、
 財務3表のどこをみればポイントが押さえられるかを、
 大変分かりやすく書かれています。

本の中心ポイント
 財務3表の中の損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)のポイントを抜き出して、
 分かりやすい図に書く方法が書かれています。
 抜き出すポイントは、利益剰余金と有利子負債です。
 損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)は同じ縮尺を用います。
 同じ縮尺を用いるので、他社比較や期間比較がやりやすくなっています。
 具体的には216pからの作図マニュアルを参照ください。
 
その結果、
 
図で損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)の高さと構造を見るだけで、
 全体像をとても簡単に把握することが出来ます。
 具体的には39pのマツダ2007年度の例を参照ください。
  
さらに、書かせていただくと
 これらの図を見ることで、
 ①どのようにお金を集めてきて、
 ②それを何に投資して、
 ③その投資した資産をいかに効率よく活用して売上高を作っているか
 ④その売上高をどのように利益に変えているか
 が分かります

最後に
 財務3表関係の図を書くことで、経営の状況の理解がすごく進みます。進むはずです。
 この本の一読をお勧めします。

井上 直久

外観
 
手持ちの本はかなり汚れており、掲載しませんが、
 外観は「財務3表一体理解法」にほぼ同じです。

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ものづくり・工場改善/財務・原価(2) 財務3表一体理解法 國貞克則

2018年09月17日 | ものづくり・工場改善 財務

今回は記事の公開がたいへん遅くなってしまいました。

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 第374回記事(2018年9月17日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 ものづくり・工場改善/財務・原価(2) 財務3表一体理解法 國貞克則
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今回はまず、データと目次を示します。
データ
著者  :國貞克則
出版社 :朝日新聞社
出版年 :2007年
定価  :720円+税(当時)
ページ数:238p

目次
第1章 会計は難しくない
第2章 財務3表の構造を知ろう
第3章 財務3表一体理解法~基礎編
第4章 決算書を読み解くツボ
第5章 新会計基準もわかる 財務3表一体理解法~発展編

この本の概略と本を読んでの書感ですが、
会計はむずかしい?
 会計は難しい!!そう思われている方が多いのではないでしょうか。
 私も会計の苦手意識からなかなか脱却できずにいます。(最近は部分的には脱却できていますが。)
 著者の國貞先生も会計に苦手意識を持ち、自社の財務3表を表計算ソフトでシミュレーションすることで、
 財務3表間の「つながり」をつかまれて、会計の仕組みを理解されました。

本の中心ポイント
 損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)キャッシュフロー計算書(CS)を、
 具体的な会社の事業活動を通して同時に作り、
 どのようにこの3表が繋がっているかが分かりやすく書かれています。
 このことが書かれているのが、第3章 財務3表一体理解法~基礎編です。
 仕分けや簿記の知識は不要です。

その結果、
 会計への苦手意識のある方も、仕分けや簿記の知識は不要ですので、
 (かなり)すらすらとこの本が読めて理解できると思います。
 実際私も読み返す中で、いくつもの発見がありましたし、
 理解も進みました。
 かなり財務への苦手意識が克服できたと確信できました。

さらに、書かせていただくと
 中小企業の財務3表は「正しい」と思いこまないこととが大切です。
 企業さんを診断する中で、見せてていただいた貸借対照表や損益計算書などの辻褄が合わないように思われ、
 苦情を言ったところ、
 「それを見破り、どのくらいのウソ(差異)があるのか見極める実力をつけろ。」と言われてしまいました。
 ウソを見破る件等については、178、179pを参照ください。

最後に
 財務3表間の「つながり」がわかれば、会計の理解がすごく進みます。進むはずです。
 この本の一読をお勧めします。

井上 直久

外観
 

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ものづくり・工場改善 / 財務・原価(1) はじめに

2018年03月18日 | ものづくり・工場改善 財務

暖かくなってきましたね。
会社への道で、梅の花がきれいに咲いていましたので、思わず
「パチリ!」
と写真を撮ってしまいました。



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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第364回記事(2018年3月19日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 ものづくり・工場改善 / 財務・原価(1) はじめに
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ものづくり・工場改善の新しいシリーズとなる「財務・原価」を思い切って始めることにしました。
中小企業の経営者の方が、あの難しい財務諸表をどれだけ見られているのだろうかと疑問を持っています。
もしかして、損益計算書(P/L)の利益の欄だけを見ておられるのでは。
それだけ、財務諸表は難しいと思いますし、
私も好きにはなれないものです。
ただし、財務諸表は経営の通信簿なので経営者の方は決して避けて通ってはいけないものであり、
経営改善の糸口にもできるものだと思います。

このシリーズに敢えて取り組もうと思ったのは、京都の中小企業診断士の12月の勉強会の講師の方の本を読んでいて、
その表紙の下記の言葉に感じるものがあったからです。
  今こそ、
  ”状況定義能力”を鍛えよ!
  あなたの言葉は、社長に届いていますか?

詳細等は次回以降の記事に譲るとして、
記事にすることを考えている本を列挙しておきます。
  (1)財務3表一体理解法 國貞克則 朝日新書
  (2)コストに「時間」のモノサシなし!だから製造業はもうからない 小山太一 日刊工業新聞
  (3)トップコンサルタントの計数力 船井幸雄×山本純子 同友館

また、記事の中で製造業の原価計算は、わざわざ工業簿記があることからも、一般の(?)簿記とは別種のもので
なぜか難しいものと思ってしまうことがありますが、そんな点にも切り込めたらと思っています。

井上 直久

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