晴耕雨読 in 神鍋高原

~ものづくり・工場改善の本の紹介を中心に~

「なぜなぜ分析」の進め方 浅川 富昭 / ものづくり・経営改善 品質管理(5)

2019年01月13日 | ものづくり・工場改善 品質管理

全豪オープンテニスが開幕しています。
家内がかつてテニスをやっていた為、あの試合は・・・という話をよく聞かされます。
その中でやはりすごいと思ったのは、錦織選手の2回戦でしょうか。
もう一歩で試合終了というところに何度も何度も追い込まれながら勝利されました。
以前に書いた「まだいける そう思えるか」(2016年8月17日の記事)の実践そのもので、あきらめず常に前向きな気持ちであることが大切と思います。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第382回(2019年1月21日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 「なぜなぜ分析」の進め方 浅川 富昭 / ものづくり・経営改善 品質管理(5)
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皆さんは「なぜなぜ分析」をご存知でしょうか?
皆さんの会社では「なぜなぜ分析」を業務で活用されているでしょうか?
私は「なぜなぜ分析」の研修講師をしていたことがあり、
会社の業務で使用していますが、
私自身もう一つ「なぜなぜ分析」の適切な進め方が納得できず、
「なぜなぜ分析」で会社の業務上の成果を出す自信が湧いてきませんでした。
この本はそんな晴れない気持ちを、晴れ晴れとするものにしてくれました。
「なぜなぜ分析」に興味のある方にはお勧めの本です。

◎ポイントは
この本の一番のポイントを一言で言うと、
 「なぜなぜ分析」は”事前の情報整理が大切”
ということになるでしょう。詳細を以下に記載します。

「なぜなぜ分析」は、「なぜ〇〇なのか、なぜならば△△だから」を繰り返すことで、現象・不具合などの真因に迫るものです。
QC手法的には、系統図法になります。
しかし、これをやった結果に対して、(私自身が自信をもって)これが真因ですと言えない。
なぜだろうかと考えている時期にこの本を読み、これだと思いつくことがありました。
それは、実際のなぜなぜ分析をする前の、真因の目途付けが大切である、もっと言えばデータの整理や見える化が大切であるとの指摘でした。

◎具体的には
(以下では、技術的問題のなぜなぜ分析の進め方が記載されている、22p~48pから具体的に記載します。)
著者の言う「なぜなぜ分析手法」は、第一段階のメカニズム分析と、第二段階の系統図法に分かれます。(P24の図2.2)
従来のなぜなぜ分析は第二段階に相当すると考えてください。
第一段階のメカニズム分析においては、「現象の発生するメカニズム」をつかむことが効率的になぜなぜ分析をすることの一番のポイントになります。(P23の図2.1)
このメカニズム分析において、①発生現象を調査しまとめ、②発生の性質を調査しまとめ、③構造図を描きメカニズムを推定する。①のポイントは不具合品と良品の比較をすること、②のポイントは発生の傾向を掴むこと、③のポイントはメカニズムが推定できる絵になっていること、と私は思います。(P36の図2.8。P38の図2.10。P40の図2.11。P43の図2.15。)
第二段階の系統図法では、メカニズムから掘り下げた要因を推定し、事実かどうか確認します。(P33の図2.6)実際には、推定メカニズムを出し、事実かどうか確認します。事実でないならば、次の(別の)メカニズムの推定に進み、事実ならば、なぜなぜをすすめ要因を検証します。(P39の図39。P41の図2.13。P43の図2.15。)

図を載せておらず言葉だけの説明になっていますが、大切なポイントは
 事前のデータ等の情報整理と
 仮説を事実で確認すること
であることが、本の中の絵を見て頂くと理解が進み、わかっていただけると思います。

◎目次
第1章 分析の基本と基本的な分析手法
第2章 効率的な真因追求のための「なぜなぜ分析」の進め方【技術的問題編】
第3章 効率的な真因追求のための「なぜなぜ分析」の進め方【ソフト課題編】
第4章 原価改善における分析の進め方
第5章 それぞれの部門における「なぜなぜ分析」活用事例

井上 直久

データ
タイトル:効率的な真因追及のための「なぜなぜ分析」の進め方
著者  :浅川 富昭
発行  :ブイツーソリューション
発売  :星雲社
出版年 :平成21年
定価  :本体2000円+税(当時)
外観  :B4


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「作業の出来映え」で品質管理 遠藤勇 /ものづくり・経営改善 品質管理(4)

2019年01月06日 | ものづくり・工場改善 品質管理

2019年になりました。皆さんは正月をどのように過ごされましたか?
私は母親に付き合いのんびりとTVを見ている時間が多かったです。
その中で感じたのは、「スポーツでの連覇は難しい!」ということです。
大学ラグビーでは帝京大の連覇が、箱根駅伝では青山学院大の連覇が止まってしまいました。
今まで連覇をされていた学校の継続的な努力も素晴らしいですが、
連覇していた学校を破るように新たな取り組みをされて勝利を得られた学校も素晴らしいですね。

2019年は、この部分のコメントは、スポーツ関係を中心に、作成したいと思います。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第381回(2019年1月7日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 「作業の出来映え」で品質管理 近藤勇 / ものづくり・経営改善 品質管理(4)
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私の勤める会社の所属部門の品質不具合は、再発が実に多いと私は思っています。
皆さんの会社ではいかがですか?
再発が多いと思われている方で、製造関係の不具合が多い会社・部門の方には有益な本だと思います。
ご一読をお勧めします。

まず不具合が再発する理由はと考えると、①真因を掴んだ対策がされていない。②対策自体があいまいであったり徹底されていない。③対策が横展開されていない。などが主な理由ではないでしょうか。
この近藤先生の本では、従来から用いている出来映え品質の代わりに、行為保証(聞きなれない言葉ですが、著者の近藤先生の造語で、目的意識を持った動作の保証)について書かれています。出来映え品質とは製品の出来映えを検査する方法ですが、検査の前の工程となる製造工程での製造・確認に関する動作を100%確実に行うことで不具合が低減されます。実際に不具合件数を十分の一まで低減された事例があるそうです。

本来、作業者は不具合を作りたいわけでもなく、不良を流したいわけでもありません。たまたま不具合の状態が見えていない瞬間や状態が存在し、このことが不具合につながることがありえます。例えば、作業の途中で管理者・監督者が声を掛けたので確認がおろそかになったり、目線が離れたりすることが考えられます。また、昼休みのチャイムが鳴り作業が途中で中断されれなどの例も考えられます。それは、何かの外乱で意識が目線がどこかに行っている状態です。

著者は行為保証をするための7つの原則を上げられています。(28p)
 ①管理者は守ることを決める
 ②管理者は守ることを伝える・教育する
 ③作業者は守ることを、意識をもって守る
 ④管理者は守っているか確認する
 ⑤管理者は(作業者が意識なく)守っていれば叱り、守らせる
 ⑥管理者は、守れない決まり事であれば守れる決まりに変える
 ⑦管理者は、守れない環境であるなら環境を改善する
そして、この行為保証をする7つの原則を理解したうえで、
原則に基づく(不具合発生の)真因6つのパターンを認識する必要があります。(97p)
 「①、②、③、④」暗黙知の形式化(が不足)
 「②、④」管理監督者の決まり事の管理・運用徹底(不足)
 「③、⑤」作業者の意識向上+管理監督者の看過防止(が必要)
 「②、③、④、⑥」机上で書いた製造技術標準の運用(不足)
 「①、②、③,④、⑦」守れない環境の改善(不足)
 「⑦」決まりを守る環境の確保(不足)
(不具合の発生の真因とするため、井上がカッコ内の文字を追加しています。)

では、具体的にはどんなことをすればよいのでしょうか。その点は3ステージで考えられています。(170p)
Ⅰ.ステージが「仕組み」をつくる、Ⅱステージが「運用する土壌」をつくる、Ⅲ.ステージが「文化」をつくる になります。
それぞれを少し具体的に説明していきます。
Ⅰ.ステージ 「仕組み」をつくる
 まず、作業に関するノウハウ(「何を、どこで、どんなふうに、どのタイミングで、どんな基準で」)をインデックスシートにまとめます。ネジ締め作業について具体的に書くと、「ネジの着座を、目視で、45度の角度から・・・」となります。それから、製造技術標準にまとめます。この時、文字による説明文がないことと、良い見本と悪い見本を絵で示すことがポイントです。
 また、行為保証の考え方が従来からある出来映え管理の考え方から大きく異なりますので、行為保証の考え方を管理監督者者や作業者が理解し、考え方のパラダイムシフトすることが大切です。
Ⅱステージ 「運用する土壌」をつくる
 Ⅰステージで作製した製造技術標準を用いて工程の品質パトロールを行います。品質パトロールが中止されたり、形骸化する可能性がありますので注意が必要です。品質パトロールは対策の徹底にあたる部分になるかと思います、真因の追求については真因究明ストーリーが準備されています。
 このステージではノウハウが共有され、不良を造らない環境に変えていきます。
Ⅲ.ステージが「文化」をつくる
 最後のステージでは、不具合品をつくらない環境を文化のレベルまで上げることになります。そのためには、(思想がずれた時に注意を喚起する)トレーナーの育成や協力・関係会社への横展開が必要になります。また、トレーナーがさらにトレーナーを育成することと、新たに異動してきた工場長が行為保証の考え方を理解することも大事です。

井上

データ
著者  :遠藤 勇
タイトル:「作業の出来映え」管理で品質管理
    (サブタイトルは、作業標準では表せない動作・ノウハウの伝え方
    また、表紙の一番下には、曖昧な表現や指示を廃して不良の再発を防ぐ との記載あり)
出版社 :日刊工業新聞社
出版年 :2015年
定価  :2300円+税
大きさ :A5
外観  :

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