第171回記事(2013年11月25日(月)発行)
(次回12月2日(月)発行予定)
今回は5Sに関する5回目の記事になります。本としては4冊目になります。
企業の成果・利益に繋がる5Sの視点で本を選択しています。この本を選択した理由は、表紙(ブックカバー)の中に「●利益が増える!」という言葉が入っているからです。だだし、この言葉はタイトルの「5S導入ハンドブック」の下にある大きな赤丸の中の「職場の乱れに5S」とある下に3項目が記載されており、その1項目として「●利益が増える!」があります。そのため、どれだけ「5S」と「会社の利益」の関係が書かれているのか、繋がりが強いのか、心配をしながら読みました。
<外観>
<データ>
著者:西沢和夫(中小企業診断士。技術士(経営工学部門)。コンサルティングファームのチーフコンサルタントして5Sなどの数多くの指導経験を持つ。)
出版社:かんき出版
出版年:2007年
ページ数:207p
価格:1500円+税
<章構成>
序章 現場の乱れは5S導入による人づくりで解決する
第1章 本物の5Sで現場のムリ・ムラ・ムダをなくす
第2章 5S導入は事前準備で決まる
第3章 本物の5Sを効果的に導入する
第4章 オフィスに5Sを導入する
第5章 5Sを定着させる対策をとる
第6章 5Sでカイゼンできる職場をつくる
第7章 5Sで見える化で高収益企業をつくる
<利益が増える(出る)ステップ>
利益が増える(出る)ステップは以下になります。
本物の5Sの実施・徹底 → ムダ取り → カイゼン効果が出る → 利益が増える(出る)
明確になっています。
<5Sの目的と定義><本物の5Sと見せかけの5S>
5Sの定義はどの本にも書いてありますが、目的については記載が少ないように思います。以下のように記載されています。「日々の5S活動によって社員全員がカイゼンの種を見つける目を養い、ムダを省いてカイゼンできる職場をつくり、利益を生み出す活動を続けること」(4p)
5Sの定義は以下のようになっています。これについては、最後のところでコメントさせていただきます。
整理 職場のムリをなくす
整頓 職場のムラをなくす
清掃 職場のムダをなくす
清潔 整理・整頓・清潔を継続させる
躾 人づくりをする
従来の5Sは誤解をされている方がいて、単に捨てたり並べ替えたりすることと思われているが(これを「見せかけの5S」という)、それに対して著者は「本物の5S」(トップが先頭に立ち、ムダを省いて、カイゼンを行い、付加価値を生み出す5S)を提唱されています。
この件についても最後のところでコメントさせていただきます。
<参考にしたいポイント>
134pで「あじかげん運動」について書かれています。
あいさつ(挨拶)運動
じかん(時間)を守る運動
かんがえる(考える)運動
さんげん(三現)主義の導入
それぞれに大切なことであり、「本物の5S」を支えるものであり、参考になると思います。
<ちょっと、2点言わせてください>
まず、5Sを清掃と片付け・美化運動と誤解している方や「見せかけの5S」運動が多いように記載されていることですが、結果的にそうなってしまっているというではないでしょうか。それは、5Sの定義に注目が行き、目的は何なのか忘れてしまっていたり、活動がマンネリ化してより上のレベルである利益を出すという目的に繋ぐことが出来ていないからではないでしょうか。また、成果・利益に繋がるストーリーも十分に出来ていないのではないでしょうか。
5Sの定義は、一般的な定義とは異なります。それぞれに定義されることは悪くは無いのですが、清掃の定義を「職場のムダをなくす」こととすると、清掃をすればムダがなくなることになってしまいます。ムダとは、193pにあるように、取り置きのムダ、歩行のムダ、などでこれらをカイゼン活動で知恵を出してなくすことで利益が出るわけで、5Sの定義としては適切かなと思ってしまいます。
<最後に>
本のタイトルの中にも「導入」とあるように、「導入」の本を考えたらよいと思います。
その観点から一度読まれるのはいかがですか。
第169回記事(2013年11月11日(月)発行)
(次回11月18日(月)発行予定)
突然ですが、タイトルのこの本はいつの出版と思われます?
10年前の2003年11月15日です。
著者は名前からすぐにわかりますよね。
ユニクロ(会社名ファーストリテイリング)社長です。
(ただし、当時は社長職を譲って会長をされていました。)
これだけ環境変化が激しい中で、企業の浮き沈みは激しいものがあります。
一時的な脚光を浴びて本を書かれるような方もおられるのでしょうが、
その後経営がうまく行かなかった方も多いのではないでしょうか。
この本が書かれ、社長に復帰され、その後のユニクロの躍進を見ると、
本の中に書かれていることがすごく的確と思われてなりません。
本の中に書かれていることを実行されたこそ、現在のユニクロがあります。
失敗を恐れてはいけない。失敗にこそ成功の芽は潜んでいる。
データ
①タイトル:一勝九敗
②サブタイトル:ユニクロも失敗ばかりだったーーー。
③著者:柳井 正
④価格:980円(税別)
⑤出版社:新潮社
⑥ページ数:236p
⑦出版:2003年
PS(2013年11月23日記載)
上記の本の出版の後に、同じ著者で、
「成功は一日で捨て去れ」
という本が2009年に出版されています。
また、2013年11月17日にNHKスペシャルで、
ユニクロのバングラデシュへの進出
の話が放映されていました。
ユニクロの過去・現在・そしてこれから向かう将来について理解が深まりました。