晴耕雨読 in 神鍋高原

~ものづくり・工場改善の本の紹介を中心に~

ものづくり・工場改善 BSC ⑨ 実践バランス・スコアカード 柴山慎一

2013年07月07日 | ものづくり・工場改善 BSC

第152回記事(2013年7月8日(月)発行)(次回7月15日(月)発行予定)

 バランス・スコアカードの本の紹介も6冊目になり、今回が最後になります。
 前回の櫻井先生の本は約500ページもある大作でしたが、こちらの柴山先生らの本もかなりのページ数のある大作です。
 特徴としては、より実践的で、企業で実務関係をされる方・されている方にはとても参考になると思います。

タイトル
 実践 バランス・スコアカード
  ~ケースでわかる日本企業の戦略推進ツール~

著者
 柴山慎一
 正岡幸伸
 森沢 徹
 藤中英雄
 (既に本は手元にありませんので所属は不明です。)

出版社
 日本経済新聞社

定価
 2600円(出版当時)

目次
 
Ⅰ章 なぜ、いまバランス・スコアカードか
 Ⅱ章 進化するバランス・スコアカード
 Ⅲ章 日本的経営戦略との関わり
 Ⅳ章 導入の目的を明確にする
 Ⅴ章 クロスファンクション・チームで検討する
 Ⅵ章 ミドル・アップ・ダウン方式で導入する
 Ⅶ章 展開にあたってのポイント
 Ⅷ章 運用段階で大きく「発展させる」
 Ⅸ章 バランス・スコアカードの導入の実例

おすすめ度
 内容は大変重いです。ただし、柴山先生らは日本でのBSCの実務をBSCがブームになる前からされているようで、企業の実務に関わられる方には参考になると思います。
 読み込まれることを条件に、5段階中4.3。

おすすめポイント
 
目次を分類すると、
 Ⅰ章は序、
  Ⅱ章とⅢ章が基礎理論、
  Ⅳ章からⅧ章は導入の手順、
  Ⅸ章がケース
 になります。導入の手順に多くの章・ページが割かれているように、この部分がポイントになります。その中で、86pの図表Ⅲ-5日本企業への標準的な導入ステップと、導入におけるボトルネックが大変参考になるはずです。また、110pの図表Ⅳ-4典型的な経営管理上の問題症状と対処法も参考になると思います。
 さらにもう1点、最後の部分に「バランス・スコアカードFAQ」が入れてあり、よくある質問16とその回答が記載されていますので、バランス・スコアカードに関して疑問を持っておられる方は一度読まれたら思います。
  

外観
 現在無し

 
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ものづくり・工場改善 BSC ⑧ バランス・スコアカード 櫻井通晴

2013年06月16日 | ものづくり・工場改善 BSC

第150回記事(2013年6月17日(月)発行)

バランス・スコアカードの本の紹介も今回が5冊目になります。
今回の櫻井先生の本は約500ページもある大作です。
櫻井先生はキャプラン先生ノートン先生の著作の翻訳に関わられており、
私が知りたかったことに関して、細かな点まで記載があり、
大変参考になりました。

タイトル
 [戦略的マネジメント・システム]
 バランススコアカード
 理論とケーススタディ
著者
 櫻井通晴(城西国際大学客員教授。専修大学名誉教授。)
 (上記は現在の調査結果で、既に本は手元にありませんが、出版時は専修大学教授をされていたように思います。)
出版社
 同文館出版
定価
 4500円(当時)
おすすめ度
 内容は大変重いです。ただし、櫻井先生は日本でのBSCの研究の第一人者で、内容を読み解ければ役に立つ部分は多いと思います。読み込まれることを条件に、5段階中4.5。
 また、日本的経営の問題点とその解決の方向性についてもかかれており、参考になると思います。
おすすめポイント
 
この大作の本を読ませていただいた理由・目的は、
  BSCと経営品質の関係
 について知りたいと思ったからなのですが、読み進むにつれて
  日本的経営への失望を感じ
 読破する気持ちが次第次第に薄れてしまいました。
 その理由は、この本は2004年ぐらいに書かれている筈ですが、日本的な経営の欠点として、
  戦略の欠如
  あいまいな業績評価
  (製品自体の)クオリティ至上主義
 などがありました。しかし、約10年を経過してもそれが直っていない、修正できていないため、日本経済の停滞・後退を招き、中国・韓国企業の追い上げを受け、具体的にはシャープ社やパナソニック社などの経営問題を引き起こしているように思えてなりません。残念です。
 以上の点を認識(むしろ再認識)されたい方にはお薦めです。

 本の内容については、他の本ではあまり記載されていない
  バランス・スコアカード導入の留意点
  バランス・スコアカードとEVA、ABCとの統合
  企業価値創造のシステム
  経営品質の向上
 についても詳しく書かれています。

 特に私が参考になった点を2点挙げておきます。
 ①BSCは戦略の策定と実行のシステム、業績の評価システムとして認識がされていますが、そのほかに「企業価値創造の経営システム」としての認識が必要です。他の先生の本にはこの点の記載は無かったと思います。
 ②経営品質・TQMを実施している企業は
  戦術的で、
  内部プロセスの改善や既存の業務プロセスの改善が中心で、
  資源配分に戦略的な優先順位が付けられていない、
 点に関して、BSCを一緒に実行することで改善できる可能性があり、より大きな効果を発揮できると書かれています。BSCとの両立と補完が可能との事です。この内容も他の本にきさいされている方は無かったと思います。
 これらの2点は読まれたら参考になると思います。
外観
 現在無し

 
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ものづくり・工場改善 BSC ⑦ 会社がみるみる変わる戦略マップ 澤根哲郎

2013年06月02日 | ものづくり・工場改善 BSC

第148回記事(2013年6月3日(月)配信)

バランス・スコアカードの本の紹介も4冊目になります。
前回の松原恭司郎先生の本があまりにも重たい内容でしたので、今回は軽い内容の本にしました。(著者の澤根哲郎先生すいません。)

タイトル
 会社がみるみる変わる戦略マップ バランス・スコアカード実践活用法
著者
 澤根哲郎(税理士。米国税理士)
出版社
 PHP研究所
定価
 1500円(当時)
おすすめ度
 軽い読み物として読んでもらうことを条件に、5段階中4。
 この本は、戦略マップのことしか書いていないので、ご注意ください。ただし、中小企業の中にバランス・スコアカードの考え方を広めていけそうという、私の初期の目的にあっていますので高い点数になっています。
おすすめポイント
 他の本の紹介では、<構成><他の本との違い>はなどといろいろ項目を並べていましたが、今回の紹介は簡単に済ませます。
 「中小企業・小規模企業の社長さんが読まれて、これならわが社でも出来そうだなと思っていただける点です。」特に、
 松花堂弁当にたとえた戦略マップ
 第5章 もっと引っ張り出す と
 第6章 戦略マップと暮らし、戦略マップで経営する の中の なし崩し法
が参考になると思います。
 とにかく戦略マップの良い点は、
 ・持って歩ける
 ・一瞬で戦略の全体を見ることができる
 ・改良が簡単
であることを強調しておきます。
外観
 現在無し

 
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ものづくり・工場改善 BSC ⑥戦略マップ/BSC実践教本 松原恭司郎

2013年05月19日 | ものづくり・工場改善 BSC

第146回記事(2013年5月20日(月)発行)

バランス・スコアカードの本の紹介の3冊目になります。
この本は大変良いと思いますので、難しい内容が多数ありますが、読み込んでいただけたらたいへん力がつくと思います。
先にこの本の<おすすめ点>(良い点)を挙げておきます。
 ・守・破・離の3レベルに分け、基本(守)から実践(破)・応用(離)までを網羅している。
 ・著者のノウハウが惜しげもなく公開されている。(その点はすごいです)
 ・2004年ごろのBSCブーム後のBSCの進歩を反映している(ほとんどの本は、BSCブーム時の出版で改定されていない)。ブームでない今敢えて出版される点に、著者の意気込みが感じられます。

<タイトル>
 松原流 戦略マップ/BSC<バランス・スコアカード>実践教本
<著者>
 松原恭司郎(公認会計士。中央大学専門大学院特任教授。キュー・エム・コンサルティング有限会社取締役社長。BSCフォーラム顧問。)
<出版社>
 
日刊工業新聞社
<定価>
 2200円
<お薦め度>
 
内容を読みこなしてもらうことを条件に、5点満点中4点。
 最後の、応用の部分は読みこなせませんでした。それが-1点の理由です。しかし、たいへん重い内容を読みこなせば、たいそう力のつく本だと思います。
 表紙にも「バランス・カードを極める一冊」とあります。
<参考になった点>など
 <概略>
は、
 戦略マップ+バランス・スコアカード+アクションプラン の3点セットについて記載されています。この3点セットである点が重要です。
 <構成>は、
 「守」の部で基本が、「破」の部で実践が、「離」の部で応用が述べられています。
 <参考になった点>は、
 「極意伝授」のページが多数あり、全ての部分が参考になります。とにかくいっぱいです。その中で特に1つ挙げるとなると、142pの
 「戦略策定はアート(芸術)である」
という点でしょうか。アート(芸術)であると言われるとつくづく難しいと考え込んでしまう部分がありました。
 また、私がそれまでに知らなかったために(認識不足もありますが)大変参考になった点は、
 ・戦略マップにテンプレートがある
 ・戦略目的の数におすすめの数がある
 ・顧客への価値提案に3つのタイプがある
です。さらに、戦略策定関係の情報もいっぱいで、参考になる点が多数です。
 さらに、親しみを持って読めた点はp37他の「戦略キャンバス・バリューカーブ」でしょうか。既に品質管理・TQM関係でQFD(品質機能展開)を知っており、スット頭の中に入ってきました。この部分は、ご存知ない方は飛ばして読まれたら良いのではと思います。
 他の本との<相違点>は、
 ・戦略目標の替わりに戦略目的を使用している
 ・CRSなどの扱いなどで、視点の数は4つを推奨している
 ・戦略キャンバス・バリューカーブについて説明がある
などです。違いが多くあるからこそ (松原流) といえるのです。
 
 
<外観>
 
Photo

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ものづくり・工場改善 BSC ⑤バランス・スコアカードの知識 吉川武男

2013年05月05日 | ものづくり・工場改善 BSC

第144回記事(2013年5月6日(月)発行)

今回はバランス・スコアカードの本の紹介の2冊目になります。
著者の吉川先生は、バランス・スコアカードの日本での第一人者ですが、日経文庫として出来る限り初心者にもわかりやすく書かれています。

タイトル
 バランス・スコアカードの知識(日経文庫1063)
著者
 吉川武男(横浜国立大学経営学部および大学院教授。エジンバラ大学客員教授 (いずれも出版時))
出版社
 日本経済新聞社
定価
 830円(購入当時)
私のおすすめ度
 初心者向けの本と位置付けた上で、5ランク中の4とします。
 減点理由はポイントと感想のところに記載しています。
参考となるポイントなど
 <おすすめ対象>
は、
 バランス・スコアカードの初心者
 <全体の構成>は、
  ・バランス・スコアカードの基礎
  ・バランス・スコアカードの成功事例
  ・バランス・スコアカードの構築ステップの説明
  ・バランス・スコアカードの特徴と効果
からなっています。
 特にバランス・スコアカードの構築ステップでは、どの本も同じなのですが、
  ・プロジェクトチームの編成
  ・ビジョンと戦略の策定
  ・視点の洗い出し
  ・戦略マップの作成と戦略目標の設定
  ・戦略目標に対する重要成功要因の洗い出し
  ・重要成功要因に対する業績評価指標の設定
  ・業績評価指標に対する数値目標の設定
  ・数値目標を実現するアクションプランの作成
になります。
 読んでみて特に<認識が深まった点>は、
  ・戦略を具体的な行動に落とし込むこと
  ・その時に、因果関係が存在するようにすること
  ・作成した戦略マップは、みんなが見て理解できること
  ・行動の結果を、数値で必ず評価すること
が大変重要であることです。

 本の中で特に<参考になる点>は、
 良くないバランス・スコアカードの例です。
  ・業績評価の寄せ集めとなっているもの
  ・戦略が組織に浸透していないもの
  ・目標や要因や指標間に因果関係がないもの
  ・視点間の繋がりがないもの
が、「バランス・スコアカードの特徴と効果」の章に図で紹介されており、わかりやすいものとなっています。
 また、あまりにも4つの視点が有名ですが、この4つの視点にこだわらなくても良いのだそうです。ただし、自治体関係のバランス・スコアカードでは、財務の視点と顧客の視点の位置が逆転していますので。
 <残念な点>(わかりにくかった点)は、「バランス・スコアカードの構築」の説明が大変複雑な構造になっています。各ステップの中が
  ・〇〇分析のワークシートと、
  ・戦略マップのテンプレート(テンプレートがあると初めて認識しました)
の並列記載になっている上に、テンプレートの説明では
  ・モービル石油のバランススコアカードと
  ・テンプレートのバランス・スコアカード
の並列記載になっています(さらに、見開きの右と左のページになっていないところがあり、比較がやりにくい)。そのため、今読んでいるところはどこかを認識しながら読まれると理解が促進されると思います。本当はもっと書きたいのですがこのくらいで。
外観
 Photo




  

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