晴耕雨読 in 神鍋高原

~ものづくり・工場改善の本の紹介を中心に~

ものづくり・経営改善 建設業 / 建設業 コスト管理の実践ノウハウ 中村秀樹他

2023年01月08日 | ものづくり・経営改善 建設業



(正月の食材購入に行った、豊岡市の「たじまんま」にて。
正月の飾りの葉ボタンのようです。)

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

                              井上直久

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第468回(2023年1月9日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 ものづくり・経営改善 建設業 / 建設業 コスト管理の実践ノウハウ 中村秀樹他
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いつもより1週間予定がずれていますが、早速、本の紹介を。

はじめに

この本の著者の一人が中村秀樹先生なので、以前紹介した本と内容がダブるところがありますが、複数の著者の中の一人なので、ダブル量は少ないと考え敢えてご紹介します。
タイトルは既にご紹介しているとおり「建設業 コスト管理の実践ノウハウ」ですが、サブタイトルや表紙の下部に内容に関する文章がありますのでご紹介しておきます。
「どんなに現場ががんばっても利益が出ないのはなぜなのか?」
購買活動変更提案で利益を回復!」
購買活動変更提案に必要な折衝力 洗練された施工改善力 など、いま、現場代理人が身につけておきたい利益獲得のための極意を解説!」
これらから、購買活動と変更提案の大切さを感じていただけたらと思います。

目次

著者が言いたいことやストーリーが目次にちりばめられていますので、いつものように目次からご紹介します。

第1章 本当のコストダウンとは
第2章 コスト管理の知識・能力
第3章 コストダウンの実践手法
第4章 コストダウンを目指すための購買のあり方
第5章 変更提案と利益確保

内容1

基本的に企業が利益をアップしようとすると、売り上げをアップさせるか、購買費用・外注費・社内経費をダウンさせるという2つの方法があります。
購買費用・外注費・社内経費をダウンさせる方法としては、建設工事の下請けへの発注時に購買折衝により(これが購買行為ですが)ダウンさせる方法があります。第4章に記載。ただし、本当のコストダウンは請負金額を元請け力でダウンさせることではなく、標準工数を知ったうえで、交渉することになります。また、工事の最中の適切な管理により予定金額をオーバーしないようにするだけではなく、VEの手法を用いてコストダウンする方法があります。第5章に記載。
売り上げをアップさせる方法としては、元請けに対して設計変更の可能性が出た場合に自社に有利な変更提案をすることです。第5章に記載。

内容2

建設関係では、元請け→業者→下請けと建設関係の仕事が下りてゆき、最初に金額が決まります。つまり請負金額や取極め金額になります(126p:請負は先に決めて、後から作り出す)。その後の実行では金額内に収まるようにして利益を出すしかありません。工事原価の70%から80%は外部調達費ですし、販売費・一般管理費は最初から差っ引かれる前提になっていますから。結局、協力業社と共に取り組むコストダウン(93p)やコストダウンは現場で実現すること(105p)が大切です。そのためには、現場代理人が、折衝力施工改善力を身に付けて磨き、購買活動変更提案利益を獲得するしかないように思います(赤字の部分は「はじめに」の部分で赤字にしているキーワードと同じです。)。そのための企業の支援も大切ですが。

おわりに

この本では、26pからコスト意識の自己チェックテストが6問入っています。本を読み返すたびに点数が伸びているのですが、なかなか思う点数にはなりません。皆さんもチャレンジされたらいかがですか。私はテストを繰り返すたびに新たな気付きがありました。

また、重要な用語についても説明が付いている場所があります。ご参考に記載されていない用語まで説明を記載しておきます。
歩掛り(ぶがかり):単位当たりの作業を完了するのに標準的に費やされる労務費、材料数量を示したもの。32p。
損料(そんりょう):投資した機材に対して、使用日数(時間9によって回収していく単価と考えられる。社内資機材の単価を社内損料と呼び、リースやレンタル会社から機械を借りれば賃料と呼ばれ区別される。

データ
著者  :中村秀樹、石原勝信、齋藤修
出版社 :清文社
出版年 :2013年
ページ数:182p
価格  :1800円+税
大きさ :B5サイズ
外観  :

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ものづくり・経営改善 建設業/ 建設業利益を上げる現場運営/ 鈴木正司 経済調査会

2022年12月04日 | ものづくり・経営改善 建設業



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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第465回(2022年12月5日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 ものづくり・工場改善 建設業/ 建設業利益を上げる現場運営/ 鈴木正司 経済調査会
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建設業関係の経営改善関係の本の3冊目になります。
業種が違うため、知らない言葉である「積算」「歩掛り」といった言葉が出てきて、読み切るのになかなか苦労する点がありました。

はじめに
本の中に「できる所長」という言葉が何回も出てきます。敢えて一言でいうと、現場で会社の利益を上げることができる所長ということになるでしょか。できる所長はどんなイメージで、どんな行動をしているか、どんな考え方を持っているか、どんな勉強をしているかが書かれていると思っていただけたらよいかと思います。できる所長の思考・行動などをすれば、会社の利益が自然に上がることになります。

目次とポイント
まず目次は以下のようになります。
1章 できる所長への誘い
2章 実行予算の作成手順
3章 実行予算の管理手順
4章 設計変更に必要な積算スキル
5章 設計変更を成功に導く提案スキル
6章 できる所長の現場管理スキル
よく見ていただくと分かりますがキーワードは3つ、「できる所長」「実行予算」「設計変更」になります(下線は私が引きました)。それぞれ2回出てきます。できる所長が、適切に実行予算を組んで、設計変更を適切に行うことができれば、会社の利益が自然と上がることになるということです。
以下では、①できる所長のイメージと現場管理スキル、②実行予算の作成と管理、③設計変更を成功に導く提案スキルの3点についてまとめてみました。

できる所長のイメージと現場スキル
①イメージ:「明るい」「前向き」「声がでかい」を意識して、そのように行動し振る舞うことが大切です。そのような方ばかりが建設業界に入られるわけではないので、あくまでも3点を意識して振る舞うことが大切です。(1p)
②現場管理スキル:現場管理のための複数のスキルが必要ですが、一つだけ挙げさせていただくと、(正しくはスキルではありませんが)2ケ月に1回程度はチーム全員で問題解決会議を開催して、想定外を排除するようにし、チーム全員で情報を共有することが大切です。問題が起きた場合には、ある程度の準備ができている状態になります。(187p)

実行予算の作成と管理
①実行予算の作成:請負工事費の構成を理解し、どのような内容があり、どのように金額が決まってくるのかを知ったうえで実行予算を作成するべきです。請負工事費の構成については102pのツリーや59pの実行予算書の例(鑑)を参照ください。共通仮設費が、官積算では直接工事費に対する率で決まってくるが、実行予算は費用項目を出して金額を拾う必要があることを理解することが必要です。積算では現場管理費や一般管理費も率で決まってきます。
また、積算データに計上されていない隠れた数値というものがありますので、これを拾うことも大切です。(55p)
②実行予算の管理:歩掛かりのデータを集めて整理しておく必要があります。歩掛かりとは合計人員数(大工、鉄筋工、土木作業員など)/出来高数量です。(81p)
また、セオリーとして、「仮設に金をかけるなら、最初から金をかけろ」、「施工手順は、奥から下から」の2つが書かれています。(89p)

設計変更を成功に導く提案スキル
①提案の前に:積算基準を理解して、設計変更が認められるかどうかを理解の上で交渉するようにします。設計変更になるものとならないものがあり、ならないものの場合は、発注者から「率に入っている(関節工事費で率計上している)ので、設計変更はできないと言われます。(97p)積算基準の理解していると、共通仮設費、現場管理費、一般管理費等の合計金額と直接工事費の関係を導き出せ、発注者が算定する変更金額を予測することができます。
②提案スキル:設計変更できるネタがないか常に考えたうえで、上手くいく提案方法(3案以上をまとめて相談する)を実施するようにします。それは、相手の立場を考えたうえでの提案になります。(170p)

最後に
まとめると、積算を理解し、請負工事費のツリーとそれがどのように決まってくるか理解の上で、自社の利益を生む設計変更提案をすることが大切になります。

データ
タイトル:建設業利益を上げる現場運営
著者  :鈴木正司
出版社 :経済調査会
出版年 :2020年
定価  :3850円(本体3500円+税)
ページ数:202p
外観  :写真省略

井上 直久

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ものづくり・工場改善 建設業 /建設業コスト管理の極意 /中村秀樹他

2022年11月06日 | ものづくり・経営改善 建設業

秋めいてきました。
今回は、花の写真ではなく、色づいた柿の葉にしてみました。
とってもきれいです。


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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第463回(2022年11月7日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 ものづくり・工場改善 建設業 /建設業コスト管理の極意 /中村秀樹他
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最近の物価高で建設資材の値上がりが激しいようです。そんな中でどのようにして建設業者は利益を出していったらよいのか。答えの1つがこの本の中にあるように思い熟読してみました。
また、建設業界用語がよく分からなくて困ることもありましたが、この本は用語についても説明していますので。

はじめに
建設業で利益を上げるにはどうしたらよいのか。コスト管理(コストダウン)をするのにはどうしたらよいのか。この本はサブタイトルが「利益アップの近道はコスト削減にあり」でコスト削減にもついても書かれています。コストダウンにより利益をあげる答えはいろいろあると思われますが、
 どの工程(ステップ)で、
 だれが、
 何を(どのような項目を)、
 どのように、
下げたらよいのか。その点に関する答えが書かれているところを書き出してみました。

どの工程(ステップ)で
どの工程(ステップ)については、目次に書かれている内容に関係しますので、目次を書き出してみます。
目次
 第1章 原価管理の基礎知識
 第2章 営業と積算における原価管理
 第3章 実行予算作成と原価管理
 第4章 施工中の現場の原価管理
 第5章 購買における原価管理
 第6章 工事収支と経営・利益確保の関係
 コストダウン10カ条
工程(ステップ)については、営業、積算、実行予算作成、施工、購買になるでしょうか。

だれが
誰がについては、営業工程は営業担当者が、積算工程は積算工程担当者が、実行予算作成工程は実行予算作成チームが、施工工程は施工責任者が、購買工程は購買担当者がになるでしょうか。

何を(どのような項目を)
何をについては17pに表がありますが、材料費、労務費、外注費、現場経費、一般管理費(及び会社経費)という切り口があります。また、62pにツリーがありますが、現場経費、共通仮設費、建築工事費、設備工事費といった切り口もあります。

どのように
どのように下げるのかは、各工程での具体論になりますので、まとめるかたちで記載するのは難しいですね。
まず、施工工程においては、3ム(ムダ・ムラ・ムリ)をなくすことでしょうか。65pに記載があります。具体的には、材料に荷下ろしの場所や運搬帰路などちょっとした判断ミスによりムダが生まれるので注意が必要です。また、IEで生産性アップとも書かれています(66p)。
また、購買工程では、集中購買と分散購買の切り分けによる購入価格のを下げることが大きなポイントになりそうです(89p)。
各工程におけるコスト管理(ダウン)のテクニックについてはまだまだ記載がありますので、実際に本を読んでいただけたら、多くの気づきがあると思われます。

その結果が、コストダウンに繋がるかと思います。

データ
著者  :中村秀樹、志村満、降籏達生
出版社 :日刊建設通信新聞社
出版年 :2011年
定価  :1600円+税(当時)
外観  :


井上直久

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ものづくり・工場改善 建設業 /建設業のための経営改善バイブル /中西宏一 幻冬舎

2022年10月02日 | ものづくり・経営改善 建設業


実家の裏庭にてきれいに咲いていました。
アヤメかカキツバタの花ではないかと思いますが。
私のカメラでは、紫が綺麗に出ないのですが、とってもよく撮れています。
時期を外していますが、写真集に残っていましたので。
今年度の半分が終わり、整理をしていました。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第461回(2022年10月3日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 ものづくり・工場改善 建設業 /建設業のための経営改善バイブル /中西宏一 幻冬舎
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最近は、建設業関係の本を読んでいます。
製造業に近い業界ということが理由なのですが、
建設業は建設業独特の問題がありそうです。

紹介する本としては、唯一手元にある、購入した、
「中西宏一」先生の「たった1年で利益を10倍にする 建設業のための経営バイブル」になります。



1.はじめに
 建設業の独特の体質が出てくる理由は「経審」と言われるポイント制度にあるように思われます。公共関係の仕事を受注するために、経審のポイントを高くする必要があり、ためには売上高を上げることが一番大切になり、会社として一番大切な利益がなぜか置き去りにされているようです。

2.目次
 まず、目次を示したいと思います。
 第1章 低利益率の改善が建設業の急務
 第2章 経営改善の前にまず認識すべき5つの課題
 第3章 経営改善に絶対必要な4つのルール
 第4章 たった1年で利益を10倍にする経営改善の8ステップ
 第5章 永続的に自社を発展させる経営改善の”仕組み”を作る
 第6章 短期間で抜本的な改革を成し遂げた企業のケーススタディ

3.ポイント
 第1章で低利益率を指摘し、第2章で業界の課題を指摘し、第3章で経営改善のルールを示し、第4章で経営改善のための8ステップを示し、第5章で継続的な改善をする方法が掛かれています。
 課題と経営改善のルールを以下に記載しておきます。(ただ、ごく一般的な項目になっていますので。)
 課題
  1 会社の純利益が著しく低い
  2 利益が出ない年度には利益操作を行う
  3 会社全体で利益を上げる意識が薄い
  4 社内のコミュニケーションが取れていない
  5 余計なことに時間と手間をかけすぎる
 経営改善のルール
  1 正しい経営データを把握する
  2 年間の「必要粗利益額」を全社の重要目的とする
  3 「必要粗利益額」を達成するため組織改革を断行する
  4 コミュニケーションの仕組みと社風を根付かせる
 著者の中西さんが何度も書かれているポイントは、
  1 売上高より純利益
  2 そのためには、必要粗利益額を認識し活動
  3 コミュニケーションも大切
というところでしょうか。より詳細は実際に本を読んでいただけたらと思います。

データ
著者  :中西宏一
出版社 :幻冬舎メディアコンサルティング
出版年 :2016年
ページ数:181p
定価  :1500円+税
外観  :先頭部分に掲載

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