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晴耕雨読 in 神鍋高原

~ものづくり・工場改善の本の紹介を中心に~

「一倉定の社長学」 / 作間信司 / 経営の本棚(2)

2024年12月15日 | 経営の本棚(2)


今年最後のブログ記事ですが、まだまだこんな紅葉が残っていました。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第507回(2024年12月16日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 「一倉定の社長学」 / 作間信司 / 経営の本棚(2)
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以前ご紹介している伝説のコンサルタント一倉定先生の関係の本をご紹介します。

◆まず、本の表紙の写真を見ていただくと一倉先生がどんな方だったのかよく分かるのではないかと思います。
眼光鋭いですね。
社長を叱った時はとても怖かったそうです。


◆社長専門コンサルタント。
「世の中に、良い会社とか悪い会社なんてない。
あるのは、良い社長か悪い社長だけである。
会社は社長次第でどうにでもなるんだよ。」
と言っておられたそうです。

◆さて、いつもは本全体の紹介をしていますが、
今回は、6章 「資金」こそ事業の命 ~長期目標バランスシート経営~
の中身についてのみご紹介したいと思います。
表題のように、会社は資金が大事、会社は資金がショートしたらつぶれる、ということでしょう。
章の中は3つに分かれて
 ・一番大切な資金運用とは何か?
 ・貸借対照表(BS)とは社長の意思でつくるもの
 ・資金運用計画と資金繰り計画の相互チェック
となります。

◆内容は、会社が資金不足でつぶれないようにするために、
期初に期末のBSの現金流動預金を推定し、もっと必要と考えるなら対策をするといことになるでしょうか。

資金繰り表というものがありますが、資金繰り表は個人的には受動的なもので、
今回紹介する資金運用計画は能動的なものになるように思います。

受動的なものと言った資金繰り表では、お金が足りないということがある時にわかると、
それをトリガーに銀行などから借り入れることになりますが、
ご紹介する方法は、期初に期末の現預金残高を予想して、不足であれば対策を講じます。
事前に予想して対策を立てて実行するという点で能動的と言えます。

◆進め方のステップは以下になります。
 ・期初に前期の貸借対照表を確認し、
 ・今期の損益計画書計画を作成し、
 ・前期の貸借対照表と近畿の損益計算書計画から、今期末の貸借対照表を予想し、
 ・現金流動預金を確認し、問題無いと考えればそれで終了。
 ・問題があると考えれば、事前に対策を考えて、対策を今期末の貸借対照表に反映し、
 ・問題ないレベルまで現金流動預金が増えればそれで確認終了になります。

◆「売り上げをどんどん伸ばせ。」という売上至上主義の社長さんの場合、
黒字であっても資金不足で倒産の可能性がありますが、
それを回避することができます。

◆以下に具体的な進め方を帳票を示しながら記載します。
・前期が終了し結果が出て、前期の貸借対照表がわかっています。
この数字を下記の目標 2期比較B/S(貸借対照表)にまず入れます。
当期利益も入れておきます。
(目標 2期比較B/S(貸借対照表)は、前期B/S、今期の資金の使途(増加)、今期の資金の源泉(減少)、今期B/S予想の順に列が並んでいます。ただし、資産の部の場合。)


・そして、今期の売上利益計画を作成します。


・これから、下表の資金運用計画を作成します。
資金運用計画は4つのブロックに分かれていて、固定資金使途、固定資金源泉、運転資金使途、運転資金源泉です。
固定資金使途→固定資金源泉の順番に作成し、固定資金余裕を出します。
この固定資金余裕を運転資金源泉にある欄に書き込み、運転資金源泉→運転資金使途の順番に作成し、最後に期末現金流動預金を出します。


・期末現金流動預金が少ないと思えば、借入や資産売却等の対策を立てて、
再度、現金運用計画を作成のうえで、2期比較B/S(貸借対照表)を作成します。

・その結果、現金流動預金が十分だと判断したら終了となります。

◆データ
著者  :作間信司(日本経営合理化協会専務理事)
出版社 :プレジデント社
出版年 :2019年
ページ数:285p
定価  :本体1800円+税

井上直久




 
 

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経営の力と伴走支援 / 角野然生 / 経営の本棚(2)

2024年10月20日 | 経営の本棚(2)


シイタケが出ていないかなと探していると、
お菓子のマフィンそっくりのキノコを見つけました。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第503回(2024年10月21日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 経営の力と伴走支援 / 角野然生 / 経営の本棚(2)
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1.はじめに
最近、伴走支援関係の小冊子を作ることになり、「伴走支援」について勉強しています。
従来の伴走支援は、経営者と支援者が登場人物で、課題を支援者が中心となり決めて、対策を支援者が提案して、課題解決を共同で進めるという状態でした。
この本では新しい伴走支援について書かれています。新しい伴走支援は、経営者と支援者が話し合いをしたうえで真の課題を選定し、経営者が腹落ちしたうえで、改善を主体的に進めることになります。
この本は、新しいタイプの伴走支援について書かれたものです。

2.目次
 はじめに
 第1章 復興の現場から
 第2章 対話と傾聴
 第3章 潜在力を引き出すメカニズム
 第4章 伴走支援の全国展開
 第5章 地域再生と伴走支援
 第6章 企業と人の潜在力を引き出す社会
 あとがき

3.伴走支援の8つのプロセス
従来の伴走支援とは異なる、新しい伴走支援について、8つのプロセスが108pに記載してあります。新しい伴走支援の8つのプロセスを書き出してみますと、以下になります。
 ①会社の状況把握
 ②信頼関係の構築
 ③対話と傾聴
 ④敬意、共感と問いかけ
 ⑤裏課題の把握と従業員の巻き込み
 ⑥変曲点ー気づきと腹落ち
 ⑦内発的動機付けと「潜在力」の引き出し
 ⑧自己変革と自走
また、経営力再構築伴走支援モデルを図に表したものが123pに記載されており、わかりやすいので参照ください。

4.ポイント
いつものようにポイント(キーワード)を整理して記載したいと思います。
抽出したポイントは4つ、対話と傾聴、裏課題、腹落ち、潜在力になります。以下にそれぞれのポイントについて記載します。
対話と傾聴:対話と傾聴に関する構成要素としては、対話、(心からの)傾聴、共感、問いかけ、提案などがあり、経営者と伴走者の信頼の醸成が目的となり、成果としては経営者の気づきや腹落ちに繋がるようにしなければいけない。また、経営者と伴走者の対話の概念図が85pに記載されており、「具体と抽象の往来の中で、経営者が自己を客観化し、内省の質を上げ、新たな自己発見に導ていくプロセスこそ「対話と傾聴」の本質」との記載が有ります。
裏課題:裏課題に対する言葉は表課題になります。表課題は、伴走支援の最初に上がってくる課題になります。例えば「人が足りない」「新しい工場を建てたい」などです。しかし、対話と傾聴を重ね、伴走支援が進むにつれて本質的な課題、これが裏課題ですが、見えてきます。74pには、「裏課題は、経営者自身が気がづかなかったか、漠然と課題だと気づいてはいても向きあってこなかったものが多い印象です。」との記載があります。
腹落ち:このキーワードはなかなか難しいです。本の中にも明確な記載のようなものは無いように思われます。しかし、気づきだけではだめで腹落ちまで進まないと、それ以降の行動の活発化や行動の変容に繋がらないし、最終的な成果の大きさが変わってきます。個人的な意見としては、本質的な課題を解決するぞという強い決心と言えるのではないでしょうか。
潜在力:3pにこんな記載が有ります。「経営者の方々が、より本質的な経営課題に気づき、納得し、主体性を持って自己改革に取り組み始めたのです。そして、社員にもその動きが伝わったとき、企業組織が持っている潜在的な力(潜在力)が発揮されるようになっていきました。」。潜在力は、経営者だけでなく、従業員を含めた、組織自体が潜在的に持つ力と言えるかと思います。詳しくは記載しませんが、潜在力を閉じ込めるものとして3点の指摘が75pにあります。
8つの各プロセスに対して上記の言葉がどのプロセスで出てきて、その言葉がキーワードになることを確認いただけたらと思います。

5.おわりに
新しいタイプの伴走支援について書かせていただきました。まだ世の中に普及していない伴走支援ですが、今後の日本の活性化などの為にも、ぜひ普及させることが必要な伴走支援と考えます。
なお、この新しいタイプの伴走支援につきましては、「経営力再構築伴走支援ガイドライン」が中小企業庁から出ています。

井上直久

データ
著者  :角野然生(かどのなりお)・・中小企業庁の長官をされていました
出版社 :光文社
出版年 :2024年
ページ数:234p
定価  :本体860円+税
外観
     

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風船会計 / 松本めぐみ / 経営の本棚(2)

2024年07月14日 | 経営の本棚(2)


散歩道にて。だいぶ前に撮影したと思います。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第498回(2024年7月15日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 風船会計 / 松本めぐみ / 経営の本棚(2)
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はじめに
今回は財務の本をご紹介したいと思います。
財務はなかなかわかりずらいという印象を持っておられる方が多く、
私もその一人です。
過去にも、「ものづくり・経営改善 財務」の中で、
人事が書いた経理の本
財務3表一体分析法 
財務3表一体理解法
等をご紹介していますが、どの本も「分かりやすく」「使いやすく」を目指しているように思います。
今回ご紹介する松本めぐみ様の風船会計の本も「分かりやすく」「使いやすく」を中心に置かれていると思います。


松本様は、結婚された関係で製造業の会社の取締役になり会計担当になったが、
会計がわからないので一から勉強をされ、
会社従業員にわかりやすく使いやすいたとえを用いた会計・財務の説明をされています。
正式は本の名前は、「知識ゼロでも分かる 風船会計メソッド」です。
また、本の帯には「数字が苦手な人でも理解できる!会計をビジュアル化」とあります。

目次
いつものように目次を書き出します。
0章 会計を俯瞰で見る「風船会計メソッド」【入門】
1章 貸借対照表と豚の貯金箱【貸借対照表】
2章 現金とお化け【運転資金】
3章 損益計算書と風船【損益計算書】
4章 キャッシュ・フロー計算書と豚の顔【キャッシュ・フロー計算書】
5章 会計と風船会計メソッド【まとめ】

ポイント
ポイントはやはり、会計・財務関係のいろいろなものを、ユニークなものに例えられている点と思います。ここでは、例えられたものが何なのか想像いただいて、実際に本を読んでいただけたらと思います。
 豚の貯金箱
 お化け
 ラッキー・アイテム
 風船
 気球
 豚の顔
それ以外にも、
 3匹の子豚のカフェ
 子豚のスタイル
 豚レンジャー
等の楽しいお話も出てきます。

データ
著者  :松本めぐみ
出版社 :幻冬舎
出版年 :2023年
ページ数:110p
定価  :本体1500円+税
外観


井上直久

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1年で結果を出す経営改善のツボ / 野村宜功 丸山直明 / 経営の本棚(2)

2024年06月16日 | 経営の本棚(2)


タチアオイの花。神鍋高原にて。目に染みるような赤です。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第496回(2024年6月17日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 1年で結果を出す経営改善のツボ / 野村宜功 丸山直明 / 経営の本棚(2)
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1.はじめに
 久しぶりの「経営の本棚」での投稿になります。
 京都の診断協会の事業承継研究会でご一緒させていただいている、丸山直明が本を出されています。「ツボ」と「1年で」というキーワードが入ったタイトルが興味が沸き、興味深く読ませていただきました。
 結果として、そのとおりですねという点が多く、皆さんのご参考になる点が多いと思い、ご紹介させていただきます。

2.目次
 いつものように、他の本と同様に、目次から入ります。
 第1章 お金と時間をかけても結果が出ない
     経営改善が頓挫する理由
 第2章 急所をつけば一気に変わる!
     経営改善には「ツボ」がある
 第3章 ツボを押さえた対策を講じれば企業経営は
     1年で立て直せる

3.ポイント
 読ませていただいて、ご経験からくる中小企業の経営改善のポイントを的確に抽出し書かれているように思われます。ポイントとしていつものように3つに絞らせていただきました。
 ひとつ目のポイントは、経営改善の内容を探すときに、便宜的に分けたととのことですが6つのジャンルに分けておられます。①社長、②戦略・ビジネスモデル、③経営管理・マネジメント、④人と組織、⑤営業、⑥財務。この6つの分野に、全部で35項目のツボが書かれています。30pのツボ探しのチェックリストを使い各項目が該当するか否かを明らかにすることで、自社の問題点のありかを明確化できます。
 さらに各項目にはA、B、Cの優先順位が付けられていて、優先的に取り組むべきものが明らかになります。
 ポイントの2つ目として挙げたいのは、「大企業とは勝手が違う「中小企業の経営改善」」でしょうか。14p。中小企業であるだけに、経営改善の成果が出にくい点がある点は認識しておくことが必要と思われます。
 ポイントの3つ目として挙げたいのは、記載されているいくつかのツールです。私が知らなかったために気になります。1つ目のツールが「年計グラフ」(114p)です。月次単位で過去1年間の売上を集計して、その推移をグラフにすることで純粋に売上高の上昇や下降のトレンドを知ることができます。2つ目のツールが(というより、やり方に近いですが)、営業関係のプロセスを顧客のリストアップ→訪問→情報収集→提案→クロージング→受注と分けて、それぞれのステップで行うべきことや注意すべきことが違いますので。153p。収集すべき情報や整理すべき情報や営業ノウハウについてのまとめ表(いわいるツール)は162pや164pにフォーマットの記載が有ります。

4.最後に
 読ませていただいて、いくつかの気付きを得ました。皆さんも読まれれば必ずいくつかの気付きを得られる本であると思いますので、ご一読をお勧めします。

データ
著者  :野村宜功 丸山直明
出版社 :幻冬舎
出版年 :2018年
ページ数:226p
定価  :本体1500円+税
外観

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経営の本棚 / 社長が戦わなければ会社は変わらない 金川千尋 

2023年01月22日 | 経営の本棚(2)



 1月5日の新聞に、信越化学工業の社長・会長を33年間されていた 金川千尋 様が亡くなられたとの記事がありました。
ご冥福をお祈りします。合掌。

 かつて信越化学工業の業績が良いということで理由を調べている中で、今回ご紹介する本に巡り合いました。過去にご紹介をしていなかったので、この機会に是非ご紹介したいなと思い本を何度も読み返しました。

 正直、この本を手にしたときタイトル中の「戦わなければ」という言葉にびっくりした記憶があります。今もウクライナで戦争をしていますが、「戦わなければ」という言葉が戦争を思い出しますので。
本自体は、2002年12月の出版で既に20年を経過していますが、内容的には決して古いわけでありません。それは、会社経営の原理原則に基づいているからだと思います。

 また、この本を取り上げさせていただいた理由は、私も観察が大切だと考えていますが、金川様も大切だと強調されている点、歴史研究会に入っておられて歴史の話が出てきて歴史好きな私も興味をそそられ、近親感を持ったからです。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第469回(2023年1月23日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 経営の本棚 / 社長が戦わなければ会社は変わらない 金川千尋 
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はじめに
 まず「戦わなければ」についてですが、何と戦うかということがポイントになります。戦うのは、①社内の陋習や官僚主義、②競合、③お客様の需要の波、特に谷にあたる不況です。(この点は筆者の内容を整理したうえでの独自解釈です。)これらとどう戦うかについては以下の内容の項目で説明したいと思います。

目次
 いつものように、目次を記載します。
序章  成功体験には引きずられない
第1章 ”自分流の経営”で戦う
第2章 会社を変革するために戦う
第3章 少数精鋭でムダと戦う
第4章 世界を舞台に戦う
第5章 戦うトップの条件
第6章 日本企業よ共に戦おう
金川様は独自の経営を追求されていました、それが”自分流の経営”の言葉に表れているように思います。

内容
 まず、信越化学工業についてご説明しておきたいと思います。会社の設立は1926年で大変歴史のある会社です。事業は多岐にわたりますが塩化ビニル、シリコーン樹脂、半導体シリコン、合成石英などです。それぞれの分野で高いシェアを持たれています。事業内容からわかりますように材料メーカさんで、オールドエコノミーな事業とニューエコノミーな事業が混ざっています。
 何と戦うかについては、既に①社内の陋習(※)や官僚主義、②競合、③お客様の需要の波と書きました。これらとどう戦うかについて、これから書いていきます。①社内の陋習や官僚主義に対しては、陋習については「体を張って陋習と戦う」(65p)、官僚主義については「あえて蛮勇を振るう」(73p)ということになるでしょうか。陋習と官僚主義で組織運営が硬直化し非効率な仕事のやり方が無批判にまかり通っている中で、社員に常識を疑うようよう促されています。悪い常識を覆すのが社長の仕事で、合理的な仕事のやり方を全社に広められました。結果、とっても合理的な経営となり、コストも下がりました。
 ※陋習:いやしい習慣、悪い習慣
 また、②競合に対しては、「スピードが市場を制する」(41p)ので、スピードで勝つようにする、スピードを武器に戦うと考えていただけたら良いと思います。(170p「スピード経営」も参照。)具体的には、300mm口径シリコンウエハは信越化学が世界で最初に市場投入して成功し、シェア60%を獲得できたそうですが、シリコンウエハの市況を見て判断され、工場の建設などは3カ月以内の完成を命じられたそうです。また、市場投入の速度を上げる方法をいろいろと工夫されています。結果、他社に先駆けること約10カ月早かったそうです。
 ③お客様の需要の波に対しては、「市況商品の場合、データのチェックポイントは、相場の変わり目を確実にとらえること」です。具体的には、需要家が製品のオーダーをキャンセルしてきたり、「すぐ出してくれ」と言っていたものを「1カ月延ばしてくれ」と言い始めたりしたとき(169p)注意しなければいけません。市況は減速を始めていると考えられ、不況への対策を実行開始することになります。競合が手を打ってくるのは、信越化学工業で手が打たれてから2~3カ月後のことがよくあったそうです。とにかく市況をよく観察することが大切になります。

最後に
 最後に、私が気に入った部分を4カ所抜き出してみました。
①「不況を言い訳にしない」(本のカバーのサブタイトル)
②「一生懸命やる必要はない。・・・ただし、勝たなければ困る。要するに勝てばいいんだ。」(63p)
③「元気のない日本経済でも、いろんなところにチャンスがあります。ただし、それはだれにも見える形で転がってはいません。それを見えるようにするには、普段から目の前の課題を寝ても覚めても考え抜いて、現状を深く遠くまで見通せる目を鍛えておかなければならない」(197p)
④「そして、楽しく仕事をすることを忘れないでください。」(209p)

大変参考になる部分がありました、一読をお勧めします。

データ
著者  :金川千尋(かながわ・ちひろ)
出版社 :東洋経済新報社
出版年 :2002年
ページ数:214p
外観  :


                              井上直久

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