晴耕雨読 in 神鍋高原

~ものづくり・工場改善の本の紹介を中心に~

「品質管理がわかる本」 佃律志 / ものづくり・工場改善 品質管理 (2)

2017年12月17日 | ものづくり・工場改善 品質管理

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第360回記事(2017年12月18日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 「品質管理がわかる本 佃律志」 / ものづくり・工場改善 品質管理 (2)
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はじめに
前回は、坂田慎一先生の「品質管理の仕事」がわかる本を紹介しました。
今回は、佃律志先生の「品質管理」がわかる本の紹介になります。
品質管理関係の本では、難しい統計的な理論が出てきたりする本がありますし、
この本でも統計的な理論に関しても書かれていますが、そんなところは飛ばして、
私が常日頃の仕事の中で感じていることが、そのものずばり書いてある2か所について紹介し、
その後で不具合の原因究明について私の仕事の仕方等をご紹介します。

現場主義QC
一つ目は8-1(220p)に書かれている、現場主義QCについてです。こんなことが書かれています。(分かりやすいよう構成しています。)
 品質管理は事実に基づく管理です。このことはわかっていても、「事実はデータをとること」と錯覚している人が多いようです。事実を何らかの形で伝えようとすると、それは情報になります。データは情報を記録化したもので、情報のすべてを数値で示すのは困難です。
 このように見ていくと、データは真実のすべてを伝えることはできないことがわかります。現場主義QCとは、真実(問題発生箇所に存在する)を観察等で把握することです。
 真実は、伝わった真実=情報と、知りたい真実(情報化により欠落してしまう真実)からなり、情報のさらに集約されたものがデータです。①真実をすべてデータ化することはむずかしく、②真実が伝わらなかったら、情報、データとも意味ないことになります。
 現場主義QCでは、不良が発生したら、①迅速に不良発生現場に行く、②不良品を目で確かめる、③不良発生状況をよく観察する、④作業者の意見をよく聞く、以上現場主義の4原則で(行動することが大切です。)

 私も現場主義QC信奉者です。しかし、大きな問題があります。それは、製造現場が国内に無く海外に有る点です。そのため、製造現場を見に行くこともできませんし、作業者の意見をよく聞くこともできません。その代わりに以下のようなことを実行しています。
①お客様から返却された不具合(不良)製品を徹底的に現物を観察します。何回も何回も。また、縦横斜め(比喩的なたとえです)からも観察します。そうすると思いもしないしないことが多々見つかります。
②また、良品(と思われる)製品と徹底的に比較をします。良品は倉庫に保管されている数年前に製造された製品であったり、別の原因で返却されてくるほぼ同時期に生産された製品です。これらの比較から思わぬことが見つかることがあります。
③また、とにかく測定できるものは徹底的に測定してみます。
④さらに、不具合の程度、例えば破壊の程度が違う製品を、それを破壊の大きなものから小さなものの順番に並べてみて、観察をすると、破壊がどこから始まりどのように破壊が大きくなったのかがビデオの巻き戻しを見るように推定することが出来ます。
こんな方法を、現場が無いという障害を乗り越えて、不具合品の現物が自ずから語り掛けてくれるようにしています。

データのウソを見破ろう
二つ目は6-4(148p)に書かれている、データのウソを見破ろうについてです。こんなことを書かれるのは、佃先生はきっと現場でさんざんデータに騙されたことがおありで、本当に現場で苦労をされているなと強く感じました。以下のようなことが書かれています。
 製造現場の情報にも同じようなことが言えます。情報やデータには必ず、ある程度のウソがあるということをわきまえておいてください。製造現場でのウソの情報は、やっかいなことに結果がその場で出にくいため、一度整理されたものはウソが隠れてしまうことがよくあるのです。データに含まれるさまざまなウソには以下のようなものがあります。
①測定値には必ず誤差が含まれる。
②中途半端な経験者が記録をとる時、データに正確性を欠く場合がある。
③条件をコントロールする立場の人がデータをとる時、条件を修正した後の良くなったデータを書く場合がある。
④転記が多い場合、間違った内容になったりすることがある。
⑤測定が面倒な場所では、測定していないのに記録されていることがある。
(以下⑥~⑧は省略)
このウソを見破ることが問題解決の第一歩です。

私も測定データの解釈で散々苦労してきましたし、騙されもしました。痛い目にもあいました。その結果、測定データに騙されるな、測定データが常に正確なわけではないということを考慮しながらデータを眺めています。そうしていたら、測定データ自体が語り掛けてくれるように思える場合があります。もう少し具体的に書きます。
色々な測定したデータを眺めてみて、全体的な方向性・大体の傾向は想定できるが、どうしてもその方向性・傾向を邪魔をする測定データが出てきて、最終的な結論である不具合の原因が導き出せない場合が多くあります。本当にこの点で苦労をします。理由はデータのばらつきというべきか、むしろノイズというべきでしょうか。しかし、測定データ全体をじっくりと眺めていたら、バラツキやノイズはありますが測定データ自体が「方向性はこっちだよ、原因はこれだよ。」と自ら語り掛けてくれるように思えることがあります。そのため、これらの結論を出す邪魔をするデータは、バラツキ・ノイズによるものと考えて何割かは意識的に捨てるようにしています。これを測定データの操作とは言わないで下さいね、測定データの操作をしているのでなく、測定データを素直に見てその指し示す方向性の結論を出しているだけですから。他の人にわかりやすく説明する為に、見せる測定データは多い場合には1/3の測定データを廃棄・削除して(場合によってはデータを追加して)全体的な方向性・傾向ををまとめるようにしています。

測定データとの対話が大切だと思います。

データ
著 者 :佃 律志
タイトル:品質管理がわかる本
出版社 :日本能率協会マネジメントセンター
出版年 :2007年(改訂版)
ページ数:245p
定価  :本体1400円+税(当時)
外観  :

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「EBARA CENTER STREET」 の玄さん

2017年12月03日 | 玄さん

もうだいぶ前の11月22日になるのですが、たまたまTVを見ていたら、
本ブログの記事の「経営の一言」でお名前を紹介している、斎藤隆夫先生のことが放送されていましたので紹介させていただきます。
放送があったのは、MBSテレビの20:00からの「1番だけが知っている魂震えるスゴイ日本人」という番組で、各分野の1番の人がスゴイ日本人を詳細する番組です。歴史学者として1番の磯田道史さん(映画の「武士の家計簿」の原作者として特に有名)が、命がけで太平洋戦争に反対された人として斎藤先生を紹介されていました。磯田さんは斎藤先生の書かれた古文書(むしろ色紙に書かれた漢詩のイメージ)をたまたま入手し、読み調べるうちにその背景がわかり、思わず涙が出てきそうになったとのこと。その理由は、日本全体が太平洋戦争に突き進む昭和15年、国会で「聖戦などといってもそれは空虚な偽善である」と斎藤先生は発言され、発言は議事録から抹消されたうえで国会議員を除名されてしまいました。国会を去るに当たり、斎藤先生が自分の思いを漢詩にまとめられたものを見て、命がけで戦争に反対されたことに、磯田さんが涙されたわけです。その漢詩を現代語に略したものが、下記の写真の右側です。
まさに命がけの演説だったわけです。



余りにも長くなりましたので、意味の解説は後日にします。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第359回記事(2017年12月4日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 「EBARA CENTER STREET」 の玄さん
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いつもどおりの定番の「玄さん」の写真です。

JR江原駅前の通りで撮影しました。



でも、玄さんの元気のよさに比較して、ストリーとトに人影が全くなかった点が不安になります。

                                   神鍋屋 三右衛門

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