第118号(2012年10月29日(月)発行)
(次回11月5日(月)発行予定)
今日はいつもとは異なる話題になります。
10月27日(土)と28日(日)に京都市の左京区岡崎にある、「みやこめっせ」で
「京都商工会議所設立130周年 京都産業まつり 知恵産業ウイーク」があり、
映画「明日をつくった男 ~田辺朔郎と琵琶湖疏水~」 の上映会があり、
それを見ることを主目的に行ってきました。
映画の中では、「100年先の未来を見据えて、新しい未来を自分達の力で築こうととする姿」が感動的に描かれ、新しい時代を切り開こうという気概がひしひしと伝わってくる、感動の映画でした。
(今とかなり違いますね。)
この映画を見て、中小企業診断士その後の技術士の勉強を始めたころを思い出しました。勉強を始めた2000年ごろは日本がこれからどんな方向に進めばいいのか五里霧中の中にいる中で、少なくとも技術的な力を持って、日本の国に何らかの貢献が出来ればと思っていましたが、同じような思いが映画の中にも描かれていました。
田辺朔郎翁の名前をご存じない方が多いと思いますので、少し説明をします。
京都市の再興の基礎を築いた琵琶湖疏水を設計し、工事の指揮をされたエンジニアです。
明治の初期、稚拙な土木技術しかまだ日本に無かっただろう時期に、工部大学校(後に東京大学となる)を卒業したばかりの20才台で、琵琶湖疏水を苦労されて、完成されています。完成まで5年ほどかかっています。
さらに、琵琶湖疏水について説明します。
琵琶湖疏水自体は約10kmの長さで、琵琶湖から京都市をつなぐ水路です。地表に出ている部分が多いのですが、琵琶湖から山科に抜けるトンネル部分は約2.5kmあり、大変な難工事だったようです。工事は、日本発の竪坑方式を採用したそうです。また、亡くなられる方も出たようです。かつては水路や水は発電用に利用されたり、市民の水源として利用されています。
田辺朔郎翁に関心を持った理由がいくつかあります。
一つ目は、実家が南禅寺派のお寺なので、南禅寺にはよく行きました。そこで、水路閣(レンガの橋)という琵琶湖疏水の京都市側の出口やインクライン(傾斜鉄道)という船を上げ下げする装置を見るたびに、なぜこんなものがあるのだろうと以前から思いました。そのため、特に水路閣を作った人ということで興味がありました。琵琶湖疏水は、東京への遷都で衰退した京都の復興のためになんとしてもやり遂げなければいけない事業だったんですね。
二つ目は、ふるさとの但馬の出身者をいろいろと調べています。調べている中で、養父市出身の北垣国道翁がおられることがわかりました。北垣国道翁は第3代京都府知事で、琵琶湖疏水の計画の発案者だったようです。そして、北垣国道翁の娘さんが田辺朔郎の奥さんになられたようです。また、北垣国道翁は京都商工会議所の設立にも協力的だったようです。
映画を見られたい方は、11月14日(水)京都市国際交流協会イベントホールで15:00からと19:00からの2回ありますので、ご確認のうえでお出かけください。
第116号(2012年10月15日(月)発行)
(次回10月22日(月)発行予定)
この本はトヨタ生産方式などについて書いてあるのか正直よくわからないなというのが感想です。
ちなみに、本のシリーズ名、本のタイトル、本のサブタイトルは以下になります。
シリーズ名:トヨタに学びたければトヨタを忘れろ
タイトル:値引き要求・短納期に応える77の鉄則
サブタイトル:中小メーカのためのトヨタ生産方式
シリーズ名では、「トヨタを忘れろ」とあり、タイトルには「トヨタ」の文字は出てきませんが、サブタイトルではしっかり「トヨタ生産方式」とあります。
本の中を読んでいると、著者は「トヨタ生産方式の真の伝道者」から教えを受けたと書いてあるのですが、その真の伝道者の名前は書いてありませんし、なぜ書かれていないのか理由も書かれていません。
でも、まあそんなことはどうでも良いじゃないですか。とにかく値引きに、短納期に、その他のことにいろいろと苦しんでおられる中小企業に、今後の解決の糸口が他の本よりもよりストレートに見つかればとの思いで取り上げています。
ですので、取り上げたポイントは、工場改善という視点から挙げています。
他の本とは違い、頭をガーンと殴られる思いの方もおられるかもしれません。一度読んでみてください。
1.タイプ
いいとこ取り型: TOC・TQM・ISO・トヨタ生産方式のいいとこ取りをされています。その分、トヨタ生産方式を導入するというイメージは薄い。
2.内容
トヨタ生産方式の導入の進め方記載はありません。
3.読書後の感想
本の全部が参考になリますが、気に入ったところを1ヶ所紹介しておきます。
114pに以下の様なタイトルの記載があります。
「4-1 1日1時間、時間をつくり改善に使おう
この習慣が多くの発見と成果を出させる」
記載文を少し紹介しますと、「経営者は部下へ「不良を減らせ」と指示するだけでなく、自ら、不良を発生させている作業を観察し、その作業に潜んでいる不良をつくっている原因を追究していく。この姿勢が大切である。
もっともですね。
4.本の情報
タイトル:値引き要求・短納期に応える77の鉄則
出版社:日刊工業新聞社
価格:2000円
出版年:平成22年
ページ:182p
5.著者略歴
著者は、近江堅一さんと近江良和さんの2名ですが、近江堅一さんがシリーズの本を主に書かれているので、近江堅一さんの略歴を記載しておきます。
大手電気メーカにて、32年間工場管理に従事。この間、トヨタ生産方式の真の実践者より7年間(月1回)現場指導を受ける。また、TQMの指導も受ける。これらをベースに工場改善を重ねFL法(中小メーカ向けトヨタ生産方式)を確立し協力会社に適用。
6.外観