晴耕雨読 in 神鍋高原

~ものづくり・工場改善の本の紹介を中心に~

「倒産寸前の会社を甦らせる法」 八木宏之 / ものづくり・工場改善 事業再生

2024年03月31日 | ものづくり・工場改善 事業再生


今年は3月に入り寒い日が続き、桜の開花が遅れているようです。
4月1日の配信ということで、開花した桜の花を探してきました。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第491回(2024年4月1日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 「倒産寸前の会社を甦らせる法」 八木宏之 / ものづくり・工場改善 事業再生
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今回は「ものづくり・工場改善 事業再生」シリーズの4回目になります。
実は4冊とも2011年以前の出版の為、少し古いと思われるかもしれませんが、
事業再生はそのころからたいへん問題になっていたと考えていただいていいのではないでしょうか。
今回の本の、「倒産寸前の会社を甦らせる法」(八木宏之)はその中でも一番古い2004年で、
民事再生法などの倒産法制がちょうど変わる時期に出された本ですが、その本質的な部分は変わらないと思われます。

1.はじめに
本の正式なタイトルは「2000社を救ったプロが教える 倒産寸前の会社を甦らせる法」と書かれているように、2004年の時点で多数の会社を救済されています。その後に出版された本のタイトルでは「7000社を救ったプロの事業再生術」となっており、その数は急拡大しています。

「2000社を救ったプロが教える 倒産寸前の会社を甦らせる法」と「7000社を救ったプロの事業再生術」では共通する点もありますが、片方の本にしか書かれていないこともあり、2冊を項目について網羅的にまとめてみると、
 ・事業再生に向けて 冷静に現状を分析
 ・再生計画をたてる ゴールを明確に
 ・自宅を守る
 ・金融機関との交渉
 ・税金への対処
 ・資金調達
 ・経営者も自分自身を変革しよう
 ・めざせL字回復
となるでしょうか。ほぼこれで事業再生のポイントを網羅しているように思われます。

2.目次
いつものように、目次をまず紹介します。
 序章 中小企業を再生させるターンアラウンド・マネジメント
 第1章 まず、冷静に現状を分析しよう
 第2章 ゴールを明確にして再生計画を立てる
 第3章 債務を整理し、赤字部門を切り離す
 第4章 自宅を競売から守る方法
 第5章 経営者も自分自身を改革しよう
 第6章 不動産を守ってくれる再生基金
 第7章 資金調達の新しい流れ
 第8章 中小企業は「L字回復」をめざせ!
 第9章 再び銀行と取引できる企業となる
 終章  事業再生と敗者復活が可能な社会を実現するために
2冊の本を網羅的にまとめた項目の中で上記に無いものは、「7000社を救ったプロの事業再生術」に記載が有るものと考えていただいたら良いと思います。

3.ポイント
ポイントはいくつもあるのですが、第1章に出てくる「どんなに大きな債務でも、必ず解決できると信じよう」と、第5章に出てくる「これからの経営者に必要な五つの力」と、第8章に出てくる「「L字回復」という新しい再生概念」についてまとめてみたいと思います。
・「どんなに大きな債務でも、必ず解決できると信じよう」
 ターンアラウンド・スペシャリストはまさに”駆け込み寺”と言えます。事業者の方は、弁護士などに相談しても自己破産・倒産を勧められることが多く、それでも藁にすがる気持ちで、ターンアラウンド・スペシャリストを訪ねてこられるとのこと。「解決できない債務問題はありませんよ」と八木さんは励まされるそうですが、債務問題を解決する四つのポイントである「カネ」、「法律」、「実務的方法」、「(経営者の)心」の中で一番大切なポイントが「(経営者の)心」と言われています。債務のプレッシャーに負けず、『どんな債務でも乗り越えられないものはない』と開き直れるようになると、債務問題は半分解決したも同然とのことです。
・「これからの経営者に必要な五つの力」
 経営が悪化したのは経営者自身に至らない点があったのも事実ですが、事業再生を行いその後の経営を行っていくには、「知識」、「数字分析力」、「金融機関対策能力、「税務署対策能力」、「人間力」が必要とのことです。知識は財務と法律と不動産に分かれますが、財務については、①「試算表」をつくる、②「資金繰り表」をつくる、③そしてこれらを毎日見て、数字を見て数字になれることが大切だと書かれています。
・「「L字回復」という新しい再生概念」
 「V字回復」という言葉を聞かれたことはあっても、「L字回復」という言葉を聞かれたことは少ないのではないでしょうか。筆者の八木さんの造語です。「L」という字は、下に向けて引いた線が止まったところから横ばいになっており、業績が落ち続けていたのが止まり、止まったところから現状を維持することで、業績の落ち込みを止めて現状を維持しながら目指す再生になります。日産のゴーンさんが行った事業再生は「ビッグ・バス方式」と言われるもので、体力的に劣っている中小企業には向かないもので、中小企業には「L字回復」を勧めるとのことです。

4.データ
著者  八木宏之
出版社 日本実業出版社
出版年 2004年
ページ 238p
大きさ B5の半分
外観  

                              井上直久

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あなたの会社をお救いします ~事業再生総合病院~ 洲山 / ものづくり・工場改善 事業再生

2024年03月17日 | ものづくり・工場改善 事業再生

2024年3月10日4時4分、母が息をひきとりました。
享年95歳でした。
下記の写真は、現在祭壇に飾っているお花の写真になります。



〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇

そんなことがありまして、少し忙しくしていますので、
今回の記事は、2022年7月に掲載したいました記事が、
事業再生に関係しますので、そのコピーを貼り付けさせていただきました。

〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇


これが、今回の記事で紹介する本です。

〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇〇△◇

4月だったでしょうか。家に帰るために駅前のバス停でバス待ちをしている時に、タクシー乗り場のある異変に気が付きました。
「今まではタクシー会社2社の車が客待ちをしているのに、1社の車が全くいない。」
時間によってはありえることですが、どうもおかしい。もしかしたら。そう思い、後日、駅近くのタクシー会社さんの本社を訪れてみました。玄関には以下の張り紙が。

             告示書

その張り紙には「事実上倒産」「自己破産」の文字が。コロナ禍でどの会社も経営的に厳しい中で、悪戦苦闘されていますが、最悪の事態が発生してしまいました。このタクシー会社さんとは一時支援金・月次支援金の申請のお手伝いをさせていただき、経営状態は何となく感じていましたが・・・。

そんなことがあったものですから、今回は以下でご紹介する、「事業再生」に関する本をピックアップしました。著者の方は「事業再生」に関する経験が豊富で、本の中では事業再生についての手順・ステップが大変わかりやすく書かれていると思います。ご一読をお勧めします。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第491回(2024年3月18日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 「あなたの会社をお救いします ~事業再生総合病院~」 洲山 / 
 ものづくり・工場改善 事業再生
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はじめに
事業再生はどんな手順・ステップで進めるかについて、目次を見ていただくとわかりやすいので、まず目次を記載します。
第1章 「洲山再生総合病院」があなたのお命をお救いします!
第2章 ようこそ、洲山再生総合病院へ
    ~受付問診・初回診断
第3章 緊急止血で、「一命とりとめ」
    ~応急処置室で「とにかく止血」
第4章 社長さん、即、「入院」してください!
    ~あなたの会社を徹底ドック
第5章 内科での「総合治療」で完全治癒を目指す!
    ~効果絶大の輸血・点滴、投薬、食事療法
第6章 ヤバイ会社の手術開始
    ~外科・ICU治療室での復活劇
第7章 「おめでとうございます!」リハビリも順調に、いよいよ退院
第8章 銀行に、笑ってお金を返そう!
    ~事業再生「成功へのゴールデン・ルール」
病める会社を病人に例えて書かれていますので、ポイントとなる点を太字にして、会社の場合はどんなことをするのか説明します。
緊急止血⇨会社から社外に流出する現金(主に銀行への利子や借入金元本)の返済をやめる
徹底ドック⇨会社の状況を精査する、財務・事業DDなどを実施する
輸血・点滴⇨特に輸血は残されている資金調達方法で、資金を調達する
手術⇨不採算部門撤退やM&Aや人員削減等に相当します。

書かれている4つのポイント
書かれている内容を4つのポイントにまとめてみました。
一つ目のポイントは、緊急止血に関係することですが、倒産するのは「返せない金」「払えない金」を払おうとして、手持ちのお金が無くなるからです。返せない金を返そうとして倒産されてしまうと、銀行も迷惑なのです。その点から、銀行も相談にのってくれる(いわゆるリスケの相談にのってくれる)可能性があります(61p~64p)。(ただし、利益を出していない場合などは、危ない会社と思われるので、自分で自分の首を絞めることになることもあります。)止血方法としては、主に以下の4つがあります。①銀行への返済を止める、②リースの支払いを止める、③家賃の支払いをストップする、④社会保険・税金の納付を待ってもらう。
二つ目のポイントは、緊急止血に関係することですが、リスケをやるならバッサリです(71p)。中途半端なリスケなら、しないほうがよいということです。出血量を少なくするだけの処置では、遅かれ早かれ出血多量に至るのですから、中途半端なリスケでは、ほとんど意味がありません。棚上げする元金の額を大きくすれば、「返済を減額する」ことが、「新規融資」を受けるのと同じ効果を生みます。これがリスケの奥義になります。
三つめのポイントは、病気やけがを治すのは、実はドクターではなく、患者さん本人なのです(42p)。患者さん本人に治る気、治す気がなければ、治る病気やけがも治りません。実際、経営改善計画が作成されても、実行できなければ、治癒(健全な会社への復帰)はありませんので(238P)。必ず救われる患者さんのタイプは以下になるそうです。①踏まれても蹴られても「あきらめない」タイプ、②専門家であるドクターの意見を「素直」に聞き入れるタイプ、③「隠し事をしない」タイプ、④「実行力」のあるタイプ、⑤「判断力・決断力」のあるタイプ。これらの5つを全てかねそなえた社長さんなら、病院に来た時にはかなりの重症でも、とんとん拍子に治療が進み、完治するケースがほとんどだそうです。
四つめのポイントは、リハビリ時(経営改善計画実行時)、資金繰表を作成し、常にお金の出入りをチェックすることです。(202p)資金繰りについては、4つのポイントが202pに書かれていますので、記載します。①「利益がある=お金がある、という考えを捨てる」、②「資金繰表を作成し、常にお金の出入りをチェックする」、③月ごとの入金期日を、支払い期日より前に設定する」、④「現金決済に徹する」。ここまでやれば、まず「資金ショートはあり得ない。」そうです。

データ
著者  :洲山(希望大地会長)
出版社 :幻冬舎
出版年 :2011年
定価  :本体1100円+税
ページ数:254p
外観  :記事の先頭に写真があります。

井上 直久・・・大変参考になる本でした

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ハート型の染しぼり

2024年03月03日 | はじめに

3月2日は豊岡の実家に帰っていましたが、すごかったですね。
雪が10cmほど積もりました。寒い。


この写真を見ていただくと、春の温かさを感じていただけるのでは。

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」 
   第490回(2024年3月4日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
 ハート形の染しぼり 
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今回の記事はいつもと違った記事になります。
以前、百日紅の花の塊がハート形になっている記事を掲載しましたが、
残暑お見舞い申し上げます - 晴耕雨読 in 神鍋高原 (goo.ne.jp))
染物をしているとたまたま、ハート形の模様ができましたので、
ご紹介です。

どこにあるかわかりますか?小さいのでわかりにくいのですが、


拡大するとこのようになります。
かなりきれいにハート形になっています。


                              井上三右衛門

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