晴耕雨読 in 神鍋高原

~ものづくり・工場改善の本の紹介を中心に~

経営の本棚 「経営者に贈る5つの質問」 P.F.ドラッカー

2016年09月18日 | 経営の本棚(2)

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第305回記事(2016年9月19日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
 経営の本棚 「経営者に贈る5つの質問」 P.F.ドラッカー
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最近、ドラッカー先生の本を読んでいるのですが、やはりなかなか理解できずにいます。
そんな中で、この本は以下の5つの質問について書かれたもので、すごくわかりやすい。
とにかく単純な質問ほど回答しにくいのですが、現在の自分の状況での質問と考えると、一読の価値ありです。

1.われわれのミッションは何か?
2.われわれの顧客はだれか?
3.顧客にとっての価値は何か?
4.われわれにとっての成果は何か?
5.われわれの計画は何か?



                                             井上 直久

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経営の本棚(25) 「ドラッカーの教えどおり、経営してきました」 酒巻 久

2016年08月21日 | 経営の本棚(2)

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第301回記事(2016年8月22日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
 経営の本棚(25) 「ドラッカーの教えどおり、経営してきました」 酒巻 久
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今回はドラッカー思想関係の本の紹介になります。
ドラッカー先生は「マネジメントの発明者」「マネジメントの神様」などと言われていますが、
私がドラッガー思想にどっぷりと浸かるのは初めてで、
調べながら、勉強しながら、解説本を比較しながら紹介文を書いています。

とっても参考になりますので、みなさんも一読ください。

◆この本の一番の価値は、
多くのドラッガー思想の紹介本がある中で、著者が「はじめに」の3pでも述べているように(※)、ドラッカー思想を実際に実践した記録である点です。しかも、素晴らしい結果を残されています。
(※) 数多あるドラッガー解説本に本書を加える意味があるとしたならば、それは、ドラッガーの思想を実際の仕事、経営の中で実践してきた記録であるという、その一点だと思う。

◆著者の酒巻久先生は、
キャノン入社の初任給で、ドラッガーの「経営の適格者」を購入されて、それ以降ドラッカリアンになられ、特に経営の面からはキャノン電子の社長になられてからドラッカー思想を活用されて、就任当時は約1%ほどの経常利益率のキャノン電子を、約6年で経常利益率約13%に向上されました。これからもドラッガー思想と酒巻先生の手腕のすごさがわかります。

◆本の目次は、
 第一章 利益の出し方
 第二章 自ら動く社員をつくるマネジメント
 第三章 変化を捉える企業戦略
となっています。本を読んでみると、ドラッカー思想とキャノン電子での実践事例が交互に出てくるかたちになっています。実践事例はわかりやすいのですが、ドラッカー思想は正直わかりにくい(というよりも、たいへん深淵である)というのが本音です。ドラッカー思想と実践事例をつなぎながら、各章のポイントを個人的にまとめてみました。

◆第一章 「利益の出し方」のポイント
サブタイトルは「経営者が、赤字を黒字に転換するためにすべきこと」となっています。では、経営者がまず最初に何をするべきか?
ドラッカー先生は、
 「体系的廃棄を行いなさい」
と言っておられます。
ある程度歴史のある会社ならば、沢山のムダがたまっているのではないでしょうか。いや必ずあるはずです。ムダな仕事やムダな時間を削減することで赤字を黒字にすることが可能です。
酒巻先生は、
 まず必要としなくなった子会社を整理し(21p)、
 TSS1/2(タイムアンドスペースセービングという時間と空間等を1/2にする改善活動)
を行うことで、6年で経常利益率を約13%まで延ばされました。徹底的にムダをあぶり出し、そのムダを改善することを酒巻先生は「会社のアカスリ」と呼ばれています。

次に経営者は何をするべきか?43pに次のような参考になる記載があります。
 「ムダの根本は、利益に貢献できない、働きのよくない従業員ともいえる。」
つまり、社員の働き方を変えるようにすればよいことになります。そのためには、事業の目的を具体的な目標に置き換える必要があります。
ドラッカー先生は、
「事業の定義は、目標に具体化しなければならない。そのままでは、いかによくできた定義であっても、優れた洞察、よき意図、よき警告に過ぎない」(44p。マネジメント エッセンシャル版より)と言われています。
酒巻先生は、
TSS1/2ですべてのものを半分にしなさいという、具体的な目標を提示して、改善をすすめられました。また、繊維メーカの経営改善では、A4用紙3枚にわたって書かれていた目標を、「3行」に書き直してもらいました。(A4用紙3枚にもわたる目標では、従業員が読まないし、何を優先すべきかわからないですよね。)

◆第二章 「自ら動く社員をつくるマネジメント」のポイント
サブタイトルは、「マネージャーが社員の自主性を引き出すためにすべきこと」となっています。つまり、マネジャーがすべきことが書かれています。
まず、タイトル中の「マネジメント」について確認しましょう。マネジャーといえば「管理」する人というイメージが日本では強いので、マネジメントとは管理することとの誤解がありますが、
ドラッガー先生の
 マネジメントの定義は、「組織に成果をあげさせるもの」
となっています。つまり、「管理」よりも
 マネジメントの目的は、「個々人の能力を引き出すこと」
と考えた方がよいということになります。
この点では、酒巻先生は
「部下をお客様と思わないといけない」(115p)と書かれています。

そのお客様と思うべき部下が自主的に動くためには、
 ①社員の強みを知り(、強みが発揮しやすい仕事を与え)(118p)
 ②仕事の目的・目標を明示し(126p)
 ③達成可能な適切な目標を設定して、仕事の達成感を味わってもらい(132p)
 ④必要により、質問による自主性を養生する(136p)
などが必要と記載されています。

マネジャーの役割は、部下の仕事の進み具合を適宜チェックして、結果がでるまでフォローすることであり、その役割を正しく遂行するためには、「部下の観察」が極めて大切であると書かれています。朝イチ、午後イチ、帰り際の部下の観察がが大切である。特に、帰り際の部下の背中には本音が現れることが多いとのことです。参考にしたいですね。

◆第三章 「変化を捉える企業戦略」のポイント
この章のサブタイトルは、「ドラッカーが教えるイノベーションの意味」となっています。
イノベーションについては、シュンぺータ先生のイノベーションのイメージが強く、ドラッカー先生のイノベーションは誤解されている部分が多いようで、その誤解を解くところから説明を始めないといけないので、この章のポイントの説明は省略させていただきます。

                                       井上 直久(記)

データ
〇著者 : 酒巻久
〇出版社 : 朝日新聞出版
〇出版年 : 2011年
〇ページ数 : 226p
〇価格 : 1300円+税(当時)
〇表紙 :

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経営の本棚(24) 「上杉鷹山 リーダーの要諦」 佃律志

2016年07月17日 | 経営の本棚(2)

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第297回記事(2016年7月18日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
 経営の本棚(24) 「上杉鷹山 リーダーの要諦」 佃律志
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今回ご紹介する本は、佃律志(つくだりつし)先生の書かれた、「上杉鷹山 リーダーの要諦」(日経ビジネス人文庫)です。
約20年前くらいでしょうか、「上杉鷹山」公がブームとなり、沢山の本が出版され、私も2~3冊読んだ記憶があります。
しかし、この本が他の本(小説が多い)と違うのは、
 ①上杉鷹山公の行った改革を現代の(中小)企業の経営にどのように活かしていけばいいか、対比しながら書かれており、
 ②豊富な(中小)企業のコンサルタント経験からのアドバイスがある、
点です。
特に、現場の人の”モチベーション”をどのようにアップし維持するかの点で大変参考になると思います。
ぜひ読んでいただきたい、お勧めの一冊です。(私は、たいへん歴史好きという点もあり、1週間で3回も通読してしまいました。)

上杉鷹山公をご存じない方もおられるかもしれませんので、まずそのご紹介を簡単にして、
その後にこの本のポイントを数点ご紹介します。

上杉鷹山公は、江戸時代中期の人で、山形県の米沢市にあった米沢藩の第9代藩主です。
米沢藩は、かつては120万石の収入があったのですが、関ヶ原の戦いに敗れ30万石に減額されます。その後、後継者を決めていないために、15万石まで減額されます。
ところが、武士の数は減らしていません。
現代の企業経営でいえば、売上が1/8になったのに、リストラを実施していない会社と同じです。
そのため、藩の財政は大赤字で、借金の利子の返済ができないので、商人からの新規の借り入れもできません。
赤字の会社が、借金とその利子が返せないので、銀行から新規の融資をしてもらえない、泥沼状態です。
上杉鷹山公はそんな状態の米沢藩の藩主になり、改革をされ成功に導かれた方です。

「為せば成る為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」(262p)
この言葉は有名ですので、ご存知の方も多いと思います。しかし、私には精神論のように聞こえてこの本を読むまでは嫌いな言葉の一つでした。
しかし、208pの図表7-2「鷹山の改革は動機付けと効率化の繰り返し」を見ていただくとわかるのですが、
 ①人のマネジメント(動機付け)
 ②仕事のマネジメント(効率化)
の改善サイクルを回し続けた結果、改革に成功したのであり、改善サイクルを回し続ける気持ちを持つことが大事なことが分かつてきました。
①人のマネジメント(動機付け)については、現代では、「ハーズバーグの動機付け・衛生理論」(103p)や「マズローの欲求5段階説」(115p)や「マクレガーのY理論X理論」(160p)がありますが、そのような理論の知られていない中で、常に考えて良い方向に改善して行く案を実行されています。その案が現代の理論とも一致しているので、改革は良い方向に転がりました。
②の仕事のマネジメント(効率化)については、225pの図表8-1「財政16カ年の組立」と問題解決の手順との関係 も参考になります。とにかく、短サイクルでPDCAのサイクルを回すことがたいせつです。

PS
現代企業経営では、戦略の立案が最重要視されている(と私が勝手に思い込んでいたのでしょうか。)。
従業員の方のモチベーションをどうアップさせるかがより大切だと思い込んでしまいそうなほど、
”モチベーションアップ”の重要性を痛感させられる本でした。

                                     井上 三右衛門(記)

外観


データ
タイトル:上杉鷹山 リーダーの要諦
著者:佃律志
出版:日本経済新聞出版社
ページ数:297p
大きさ:文庫本タイプ
出版年:2016年

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