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読書と旅行と柴犬のブログ
目標は留学生に日商簿記3級合格を!
ヤプログから引っ越してきました。

「肝心の子供」106ページで語る親子3代記

2009-07-24 00:09:13 | 読書の時間
「肝心の子供」★★★☆
磯崎憲一郎著、2007/11/30初版

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第141回芥川賞は磯崎憲一郎の「 終の住処」が受賞した、
この作家の作品はまだ読んだことがないので
さっそくネット書店「bk1」で注文し、二日後には3冊到着、
さっそく1作目から読み始めた。

「本の書き出しが
『ブッダにはラーフラ、束縛という名前の息子がいた・・・』、
何の予備知識も無しに読み始めたので
ブッダの名が突然出てきて、
これはブッダの過ごしたインドのお話かくらいの
気持ちで読み進めていった」



各ページに11行、行間はもう一行入りそうに余裕があり、
ページの上下の余白もかなり、
ものの1時間もかからず読み終えた。


内容自体はブッダとその息子ラーフラ、
さらにその息子のティッサ・メッテイヤの三代を描いた話。

どこまでが歴史的な事実なのか分からないが、
読み終えて感じたのは、
無駄のない強い文章でラストまで一気に
物語は途切れることなく、
どこかで一息つくのを許さないような勢いがあった。

何か並々ならない才能をもって、
書きたい主体の物語を余分な肉をそぎ落として
「あらすじ」だけで書ききったような感じだ、
書きすぎず、でも語りたいモノは
揺ぎ無いように思えた


ブッダの時代なんて、想像するしかない、
ブッダは貴族のお坊ちゃんだったくらいしか
知識はないが、
お金の為に生きなくて良かっただけ
思索に時間を費やし、その教えを広めていったのだろう、
そしてその子供、またその子供に
直接的であれ、または間接的であれ
命はとぎれることなく繋がっている。

その命の繋がりのどこかで
誰かが「初めての」何かを経験して
そしてまたそれは延々と続いていくのか。


一日おいて読み返して
この感想を書き始めた、
この小説は映像にするのは難しいだろうな、
ここには語られない行間の想いみたいなものが
たった106ページでは語られない広がりで
表されているから、
映像をそれを見せなければならず、
小説世界を視覚的に限定するのは
この小説に限ってはできそうもないなと感じた。

さて、ラストにこの小説が好きかどうかと聞かれたら
答えるだろう、「特に好きじゃない」と。
才能溢れそれを抑制する理性的な側面も見せてくれるが、
心を揺さぶられるものは無かったな。
でもしばらくこの作者の作品に浸ってみる。


★100点満点で75点


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「肝心の子供」「眼と太陽」「世紀の発見」三冊が届いて、作者の一作目から読み始めた。


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「サンシャイン・クリーニング」うまくいかないことなんてうまくいくことより多いのだ

2009-07-23 00:09:20 | ミニシアター系映画
「サンシャイン・クリーニング」★★★☆
エイミー・アダムス 、エミリー・ブラント 主演
クリスティン・ジェフズ 監督、2008年、93分



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「高校時代はチアリーダーだった主人公は、
憧れの存在だったが、今や生活に追われ、
恋愛にも行き詰まり、ため息をつく日々、
一発逆転を狙って始めたビジネスは
血しぶきアリの事件現場のクリーニング業だった。」



主人公はハウスクリーニングのバイトをし、
不動産取引の資格を取るため学校へ行くと言いながら
不倫関係を続けている、
どうやら彼女の考える人生設計は
高校時代の憧れの同級生と結婚することらしい。

でもその相手は別の同級生と結婚している、
彼女は学校へも行かず、
結婚と言う一発逆転を夢見ているが
その考えはどうやら実現しなさそうだ、

もし自分に足りないものを感じたら、
若しくは強烈にやりたいことが見つかったら
その目標に近づくために
地味で面倒な「過程」を抜かす訳にはいかない。



そんな当たり前な部分を見ない振りして
でも誰からも幸せに見られたいとか
成功しているように見られたいとか
その弱さは分かるけど、
彼女は小学生の子持ちでもあり、
そんな彼女のこれまでが冒頭の20分くらいで
パーッとわかってしまい、脚本のよさが際立っている。


人生一発逆転なんてないだろうけど、
やはり一歩前に進まないとという
当たり前の結論にホッとする、
消せないものは無い、
やり直しだって出来る、
でもそれには必要な「過程」を積み上げることが
重要なのだ。



主人公の妹役は「プラダを着た悪魔」でも
良い味出してた役者で、
今回も主人公とは違った
リアルな頑張ってる人を演じている。

思ったようにいかないことは多い、
でも諦めたくないな、
なんとかやってるうちにもしかしたら
何か見えてくるかもしれないし、
そう信じていたいからね。

「なりたい自分」になりたいと誰もが願う、
過程をズルする弱さを持ち合わせているのも
人間だ、その愛おしい姿を
この映画に見た、それだけで収穫だ。


大絶賛というほどの映画じゃないけど、
人間はなんとかもがきながら前に進むものという
本質的なところを突いていて印象深い映画だった。


★100点満点で70点


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「魔法にかけられて」ではおとぎの国のお姫様だったけど、
このまさに現実的な役も違和感無く見せきってくれた。


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「MW -ムウ-」手塚修治虫の生み出したダークヒーローとは?

2009-07-21 00:09:46 | 邦画
「MW -ムウ-」★★★
玉木宏 、山田孝之 主演
岩本仁志 監督、2009年、129分




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手塚治虫、最大の問題作を実写映画化!


「16年前、ある島の島民全員が死亡する事件が発生。
生き残った2人の少年は、その後
1人は、神の道に救いを求め、教会の神父に。
そしてもう1人は、自分の壮大な計画を胸に
計画のためなら人殺しもいとわない人間に成長していた」



政府の計画で抹殺された同じ島の仲間の
無念さを胸にその秘密を暴露することが
主人公の計画かと思いながら見ていくが、
それにしても、こんな殺人も平気で行う
ダークヒーローは珍しい、
見てるほうも感情移入が難しいことは確かだ。


「秘密景気MWムウ」の存在を探りつつも
主人公の本当の狙いが
その実態を暴露することでは無いことが
だんだん分かってくるころ
ストーリーが急展開し、
そのあたりから急に映画を客観的に見始めた、
二重構造のストーリーながら
隠された主題に共感できなくて
醒めてしまった。


せっかく映画として表現するなら
かつて受けた迫害の苦しさや
そこから何故今のようなことを考えたのか
そのあたりの明快な説明と言うか
見せ方こそが「核」となるべきなのに、
そのただひとつの大切な部分がが良く出来ていないので
急な展開がどれも薄っぺらに
感じてしまうのだ。

またダークヒーローとしての主人公を演じる
玉木宏の感情のこもらないセリフまわしが
ものすごく気になった、

そういう演出かもしれないが
ここまで無機質な感じだと、
「しっかり仕事しろよ!」って気になってくる。

せっかくの手塚治虫原作の素材なら
もっと練ったストーリー展開と脚本が必要だった、
これでは劇画タッチの2時間特番って感じだ。
残念。

★100点満点で45点


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山田孝之もただ言われたことを演じてるってだけで
まったく活かされていないと感じた。

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「ごくせん THE MOVIE」これで見納め?ヤンクミの雄姿だ

2009-07-19 00:09:38 | 邦画
「ごくせん THE MOVIE」★★★★オススメ
仲間由紀恵、亀梨和也、生瀬勝久、高木雄也、三浦春馬主演
佐藤東弥監督、2009年、118分




                              ★映画のブログ★
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先週7/11公開で週末2日間全国で40万人動員、
興収5億弱を稼いで首位発進の作品。


「人気ドラマ「ごくせん」の7年間の集大成にして
最終作となる劇場版。
ドラマは見たこと無いけど、会員1.000円デーに
どんなもんか行って見た、
これが結構うまく出来てて満足」



ヤンクミこと山口久美子も教師となって7年、
新しいクラスには手を焼いているが、
そこへ元教え子の小田切が
教育実習生として現れる。

教え子のひとりが警察に追われる事件に巻き込まれ、
体を張って教え子を守るヤンクミの雄姿に
かつての教え子は変わらない彼女を再認識し、
新しい生徒達は本当に自分達のことを考える
先生がいるのだと確認する。

新しい生徒達の存在はいまひとつながら、
次々と現れるかつての教え子が豪華、
ラストということで全部惜しまず出しちゃえと、
映画にするほどの事件らしい事件も無く
ヤンクミ・ダイジェストと言う感じの映画となっている。



「困ったらいつでも来いよ」と言うヤンクミの言葉は、
大人になると挨拶みたいなものだと分かる、

だからって訪ねていくわけもなく、
言った方だって来るとは思っていない、社交辞令。

でもこのヤンクミの言葉は、彼女の言ったことそのもの、
本気で言っている。
そんなことあるわけ無いよと思いつつも
ヤンクミだったら・・・と。

こんなのドラマの中だけだと分かってても、
本当はこうありたいとも思う。
とまあ結構感動までして満足な映画だった。

今回がラストといっているが、きっと帰ってくるだろうな。


★100点満点で75点


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ドラマは見たことが無かったが、人気シリーズの
訳が分かったような気がした。

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「誇りと復讐(上・下)」読みやすいけど深みは感じられない

2009-07-17 00:43:53 | 読書の時間
「誇りと復讐(上・下)」★★★
ジェフリー・アーチャー著


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「主人公は親友とその妹、彼女は婚約者でもあるが、
3人でパブで楽しく飲んでいたが
他の客の心無い言葉に怒り、
店の外で殴りあうが、親友がナイフで刺され
死んでしまう、さらに自分自身がその犯人として裁かれ
20年の刑を言い渡されてしまう」



ジェフリー・アーチャーの本はたぶん
全て読んでいる、傑作と言えるものもあれば
並みの出来のものも、
今回の新作も読みやすいし
展開も興味深いが、
傑作には程遠い出来。

自身の刑務所生活を反映して
その様子は違和感は無い、
でも展開があまりに出来すぎな感じで
「ありえないよ」と思ってしまうと
面白さが半減する。

しかし陪審員の裁判って怖いと思う、
方や弁護士や有名な俳優の主張と
取り立てて言うこと無い普通の人とでは
人は見比べてどう判断するだろうか。


印象やそういった場に慣れているかどうかで
その人の一生が左右されてしまうのは怖い、
しかもその判断が普段は人を裁くことから
程遠い場所で過ごしている一般人が行うというのだから、
これからの日本の陪審員制度も
少し準備段階もしくは学校での教育など
まだ必要な部分があるんじゃないかな。

この本は作者の幅広い人生経験が
随所に反映されている、
交渉の仕方や投資の判断、
上流階級の作法、
イギリスという国の歴史は
日本の価値観ではまったく物差しが違っているように感じる。


随所に面白く展開を期待して読み進める工夫があるが、
やはり「核」となる一点がどうしても
偶然にしては出来すぎで
もっと何か無かったかなと思うが、
全体としては手堅く、
次の新作も期待したい。

★100点満点で65点


soramove
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作者自身の人生も波乱万丈、転んでもただでは起きない感じも好感が持てる。

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