「ウォリス家の殺人」★★★☆
D・M・ディヴァイン著、創元推理文庫
「人気作家が殺人事件を起こした?
複雑な人間関係と
最近ではあまり感じられない格調高いというか、
古典的なミステリーを読んだような気分になる」
旅行に出掛かるときは、新刊で絶対読みたいものと
ブックオフで良さげなものを取り混ぜて
移動中も律儀に運んでいる、
読み終えるとそのホテルに置いてくる。
引き出しにそっと置いて来たつもりが、
チェックアウトの時に「忘れてましたよ」と
戻ってくることがあるけれど、
今まで何十冊と置いて来た本は
今はどこにあるのか、そう考えるだけで
楽しい。
この本はミステリーのベストテンのいくつかに
挙げられていて、かなり期待して読んだ、
すぐに気がついたのは、
現代的な作風じゃないということ。
これは後で分かるが、この作品が作者の遺作で
1981年の作品、
でも描かれる人間模様は時の経過を感じさせない。
こういうのって面白くて、
勝手に新刊は現代風と思い込んで読み始めるわけで
ここで展開する物語は
クリスティーとまでは行かないが
少し前の硬い文章なので
最初は戸惑うことになる。
作家と大学の教授とその周囲の人々、
何かを生み出す作業で名声を獲得した人物と
幼馴染で大学教授の主人公は
その人気作家に親密な情を
ほとんど抱いていない。
ミステリーなので殺人事件と
それに続く事件が起こるが、
どこか一歩引いたところから
中を覗いているようなもどかしさを感じる、
臨場感というか、今起こっている生々しさが
もうひとつ感じられないのだ。
それでもこんな風に登場人物をしっかり
書いてくれていると、
「あーわかるな」という部分もいくつもあり、
ミステリーというより、それを生み出してしまう
人間の心のほうに重点があるように感じた。
斬新な発想やトリックは無いが、
他人の才能をどうして羨んでしまう心、
それが人間関係をどこかで踏みとどまらせ
幼いころから一緒に暮らしながら
心を通わせることが無いのは
寂しいことだけれど、なんか分かるな。
「自分はこうありたい」
誰しもそう思う、でも何かがそれを踏み越えさせなかったり、
その達成を阻害したり
そうそううまくいかないのが人間なのかもしれない。
★100点満点で70点★
soramove
★参考になったらココもクリック!←ランキング上昇ボタン
どちらかというと、最近のサイコキラー物が好きなので
こういうちょっと古い作風は苦手だ、でも面白かった。
★映画ランキングはこちら
D・M・ディヴァイン著、創元推理文庫
「人気作家が殺人事件を起こした?
複雑な人間関係と
最近ではあまり感じられない格調高いというか、
古典的なミステリーを読んだような気分になる」
旅行に出掛かるときは、新刊で絶対読みたいものと
ブックオフで良さげなものを取り混ぜて
移動中も律儀に運んでいる、
読み終えるとそのホテルに置いてくる。
引き出しにそっと置いて来たつもりが、
チェックアウトの時に「忘れてましたよ」と
戻ってくることがあるけれど、
今まで何十冊と置いて来た本は
今はどこにあるのか、そう考えるだけで
楽しい。
この本はミステリーのベストテンのいくつかに
挙げられていて、かなり期待して読んだ、
すぐに気がついたのは、
現代的な作風じゃないということ。
これは後で分かるが、この作品が作者の遺作で
1981年の作品、
でも描かれる人間模様は時の経過を感じさせない。
こういうのって面白くて、
勝手に新刊は現代風と思い込んで読み始めるわけで
ここで展開する物語は
クリスティーとまでは行かないが
少し前の硬い文章なので
最初は戸惑うことになる。
作家と大学の教授とその周囲の人々、
何かを生み出す作業で名声を獲得した人物と
幼馴染で大学教授の主人公は
その人気作家に親密な情を
ほとんど抱いていない。
ミステリーなので殺人事件と
それに続く事件が起こるが、
どこか一歩引いたところから
中を覗いているようなもどかしさを感じる、
臨場感というか、今起こっている生々しさが
もうひとつ感じられないのだ。
それでもこんな風に登場人物をしっかり
書いてくれていると、
「あーわかるな」という部分もいくつもあり、
ミステリーというより、それを生み出してしまう
人間の心のほうに重点があるように感じた。
斬新な発想やトリックは無いが、
他人の才能をどうして羨んでしまう心、
それが人間関係をどこかで踏みとどまらせ
幼いころから一緒に暮らしながら
心を通わせることが無いのは
寂しいことだけれど、なんか分かるな。
「自分はこうありたい」
誰しもそう思う、でも何かがそれを踏み越えさせなかったり、
その達成を阻害したり
そうそううまくいかないのが人間なのかもしれない。
★100点満点で70点★
soramove
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どちらかというと、最近のサイコキラー物が好きなので
こういうちょっと古い作風は苦手だ、でも面白かった。
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