soramove

読書と旅行と柴犬のブログ
目標は留学生に日商簿記3級合格を!
ヤプログから引っ越してきました。

「ウォリス家の殺人」古典的なミステリーをどう感じるか

2009-03-25 21:09:06 | 読書の時間
「ウォリス家の殺人」★★★☆
D・M・ディヴァイン著、創元推理文庫




「人気作家が殺人事件を起こした?
複雑な人間関係と
最近ではあまり感じられない格調高いというか、
古典的なミステリーを読んだような気分になる」



旅行に出掛かるときは、新刊で絶対読みたいものと
ブックオフで良さげなものを取り混ぜて
移動中も律儀に運んでいる、
読み終えるとそのホテルに置いてくる。

引き出しにそっと置いて来たつもりが、
チェックアウトの時に「忘れてましたよ」と
戻ってくることがあるけれど、
今まで何十冊と置いて来た本は
今はどこにあるのか、そう考えるだけで
楽しい。

この本はミステリーのベストテンのいくつかに
挙げられていて、かなり期待して読んだ、
すぐに気がついたのは、
現代的な作風じゃないということ。

これは後で分かるが、この作品が作者の遺作で
1981年の作品、
でも描かれる人間模様は時の経過を感じさせない。



こういうのって面白くて、
勝手に新刊は現代風と思い込んで読み始めるわけで
ここで展開する物語は
クリスティーとまでは行かないが
少し前の硬い文章なので
最初は戸惑うことになる。

作家と大学の教授とその周囲の人々、
何かを生み出す作業で名声を獲得した人物と
幼馴染で大学教授の主人公は
その人気作家に親密な情を
ほとんど抱いていない。

ミステリーなので殺人事件と
それに続く事件が起こるが、
どこか一歩引いたところから
中を覗いているようなもどかしさを感じる、
臨場感というか、今起こっている生々しさが
もうひとつ感じられないのだ。

それでもこんな風に登場人物をしっかり
書いてくれていると、
「あーわかるな」という部分もいくつもあり、
ミステリーというより、それを生み出してしまう
人間の心のほうに重点があるように感じた。

斬新な発想やトリックは無いが、
他人の才能をどうして羨んでしまう心、
それが人間関係をどこかで踏みとどまらせ
幼いころから一緒に暮らしながら
心を通わせることが無いのは
寂しいことだけれど、なんか分かるな。


「自分はこうありたい」
誰しもそう思う、でも何かがそれを踏み越えさせなかったり、
その達成を阻害したり
そうそううまくいかないのが人間なのかもしれない。

★100点満点で70点

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どちらかというと、最近のサイコキラー物が好きなので
こういうちょっと古い作風は苦手だ、でも面白かった。

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マニラのチャイナタウンを歩く

2009-03-24 00:09:14 | 旅のつれづれ
ホテルはマニラ湾に近いマラテ地区なので
チャイナタウンへはLRTという高架鉄道で3駅、
降りると、これぞ庶民の街という
ゴチャゴチャっとした雰囲気、
薄暗い路地のあたりもビッシリ小さな露天が並んでる。


こういうところを歩くのも面白いが、
変わったものを見つけても
「欲しい」まではなかなか、
でも最近は金額を聞くと日本の100円ショップのほうが
よっぽど安いこともあって、
この経済のバランスは
若しかしたら日本の方がおかしいのかもしれない、
などとふと感じる。


教会が目に付く、
しかも結構立派な建物で
キリストの使徒なのだろうか、
建物からせり出すように街を見下ろしている。

この付近にニュースでよく耳にした
マラカニアン宮殿があるということで
目指したが、結局たどり着けなかった。

実は方向音痴でとんでもない方向へ
行くことが多く、今回も同じようなことを
していたが、
なにせ暑く、だからといってすぐに
冷房のあるカフェがあるわけでもなく
結局あきらめ、中央郵便局などを見て回った。

道の向こうに古い城壁のようなものが見えて、
それがイントラムロスだとは
なんとなく情報からわかったが、
中に入ってみて思ったより広くて
これまた暑さに後悔することになった。

スペインが16世紀にこの地を統治した時の
根拠地としての城塞都市、
今はその中に普通に小さな町があり、
外側にはのどかにゴルフ場まで、
当時の人が見たら驚くだろう。

1時間近く歩いて、ホテルの近くの
ロビンソンデパートでほっと一息、
お土産にしたいものはまだ見つからない。

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とにかく交通量がハンパじゃなく、道路の向こう側に行くのを
あきらめたりしている。

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ただいま春の旅行中!フィリピンは35度

2009-03-22 21:20:58 | 旅のつれづれ
マニラへ入る深夜便を予約するメールを送ったら
「危険なので日中に到着する便を勧めます」と回答が来た。

「そんな、こっちはインドだって行ってるんだよ」と
思いつつも、初めての国、代理店の勧め通り夕方の便で
マニラに入った。

空港を出るとムッツとした空気に包まれる
「これ、これ」
顔がにやける。

タクシーのカードを見せる集団を掻き分けて
メータータクシーの列に並ぶ、
最近はどこでも明朗会計の交通手段が選べるのが良い。

もちろん初めてカンボジアに行ったときのように、
群がる市内までのバイクタクシーを勧める人の中から
「良い人そうに見える」人を選んで値段を交渉するのも
たまにはいいけれど。

ロハス通りはマニラ湾沿いを走る大通り、
暗くて分からないが左手に海、
右手は大きなホテルが連なっている。

ホテルまでは30分もかからない、
500円くらいで到着、金額の面倒もないのがいい。

さっそく市内のフィリピン料理の店に入る、
写真で選べるが、写真では味までは分からない、
カレカレという料理を注文、
カレーなのかと思ったら、ほとんど味はピーナッツバターで
魚や野菜を煮込んだものだった。

味は微妙でした。

旅も7日経過、あと少しリゾートホテルで
持ち込んだ推理小説を読む予定。

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治安が悪いと評判ですが、そうでもないと思います。

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「オーストラリア」大味な大作、自分大好きレディ大活躍

2009-03-15 18:34:35 | 大作映画ハリウッド系
「オーストラリア」★★★☆
ニコール・キッドマン 、ヒュー・ジャックマン 主演
バズ・ラーマン 監督、2008年、165分、オーストラリア




「第二次世界大戦直前のオーストラリアに、
イギリス人貴族の主人公がやって来た、
オーストラリアの近代史と恋愛をも描いた
欲張りなところが大味に感じる。」



車の移動でも北部ダーウィンから2日くらいかかる、
辺鄙な土地で夫の意思を継いで
領地と仕事を守り抜く女性の
大河ロマンといった内容。

平気で使用人に指図しながらも、
アボリジニの子供には寛容だったり、
とにかく自分の感情で行動する主人公、
悪い人ではないけど、
だからってどこから見ても平等とも言いがたい。


この映画は「家族の絆」を描きたかったのか、
自分の血を分けた家族というのでなく、
周囲に暮らす人たちと
助け合いながら、なんとかやって
家や家族を守る主人公を見てると、
人間本来の本能を垣間見ることになる。

とにかく自分の両手を広げた範囲の
人達は大切であり、それを脅かすものは
単純に「悪」と割り切れる
鈍感さと強さをどう見るか。

60年位前の近代史に沿いながら
喪失から始まり、子供を守り
仕事を守り恋愛を勝ち取るという
内容的にはありがちなテーマだった。

アボリジニの不思議な感覚や
オーストラリアの壮大な風景は見所、
地平線なんて
なかなか見ることもなく過ごす自分達には、
何処までも赤く染める夕日や
果てしなく続く砂漠の「死」をイメージする景色も
どれもこれも実感したいものだった。

これだけ周囲では様々なことが起こるのに、
ラストのハッピーエンドは
都合が良すぎて感動できない、

もう今更「風と共に去りぬ」でも無いんだから、
そのあたりの出来すぎのストーリーは
何とかならなかったのか。

最近は邦画とミニシアター系映画が多かったので
久々の大作でロケの規模ひとつとっても、
その壮大さが心地良い、
やはり映画はTVでは出来ない
こんな贅沢な映像を見せてくれないと。


★100点満点で70点

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アボリジニの持つ不思議な力を時々挿入していたが、
もうひとつ描ききれて居なかった。

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「ホノカア ボーイ」人生のちょっと一休みはこんな場所で

2009-03-14 00:09:57 | 邦画
「ホノカア ボーイ」★★★☆
岡田将生 、倍賞千恵子 、長谷川潤、
喜味こいし 、正司照恵 、松坂慶子 出演
真田敦 監督、2008年、120分




「大学を休学した主人公は、
ひょんなことからハワイの北、
ホノカアの映画館で映写技師として
働き始めた、
そのゆるい、ゆるい生活」



「カモメ食堂」あたりの、なんだかちょっと幸せという、
ゆるい雰囲気の映画が好きなら
この映画も楽しめる。
でも、映画的な「何か」が起こることを期待すると
そんなものはこの映画には出てこない。

日本での様々なことを全部休止して
自分のことを誰も知らない場所で
ゆったり過ごせたら・・・などと
誰でも考えたことがあるはず。

別に何かから逃げるとか、
現状に相当な不満があるわけででもないのに
誰にも知られないように
「はぁーっ」っと長く大きなため息をつくみたいに。


イメージのハワイの強烈な太陽でなく、
優しい日差しと、それほど人が多くなく、
なにより小さいけれど映画館がある。

最高だ。

そしてそれでも人はやはり
誰かと触れあいたくなるのかな。
そして思う、
自分だったら何処で何をしたいだろうかと。

映画の主人公は徹底して
主体的な行動をしない、
ただ人と人との間を吹き抜ける風みたいに
ゆるくゆるくその場所での時間を過ごしてる、

見ながら思う、
こんな何でも無い日々が
とても大切なことを分かるから、
そんな陽だまりのような瞬間が
大切に思える。


何か煮詰まったりしたときなら
この映画は優しく癒してくれそう、
自分にはそんな癒しはあまり必要ないけど、
こんな暖かい優しい映画も
たまには良いものだと思った。


★100点満点で70点

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好きな映画ばっかり上映する映画館を経営
できたら良いだろうな。

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