さようなら僕たちの奇妙な国際生活

2010-03-03 16:12:38 | Weblog
 今となっては半ば古典的な名曲"Born Slippy Nuxx"を掛けるとなんだかものすごいことになってしまった。こんなに盛り上がるとは思っていなかったので、僕は久しぶりに触るDJソフトの中を急いで探し回り、場のテンションを維持出来そうな曲をいくつかピックアップした。もう一曲くらいは世界中の誰もが知っている完璧なダンスミュージックを掛けようと思い"One More Time"を出してきて適当な部分でループを作る。それからベースを削って、Born Slippyが終盤になったところから音を被せていく。Born SlippyからOne More Timeで作ったループにゆっくりとクロスフェードさせ、それに合わせてカットしていたOne More Timeのベースを戻していく。完全に音楽が移行してからもループで僅かにひっぱり、タイミングを測ってループからブレークする。そして一回目の「ワンモアタイム」が鳴ったとき、空気が弾け跳んだ。今日DJして良かった、本当に。

 昨日2月27日は随分前から予定されていた外国人寮(僕は今ここに住んでいて来月に出て行く)のお別れパーティーで、名目上はドイツ人Nと韓国人C、管理人Oさんのお別れ会だったけれど、実際のところ、みんなもうこうして今のメンバーで集まることはないだろうと分かっていたはずだ。だから、ある意味では全員の全員に対するお別れ会だった。

 開始予定時刻は7時。場所は寮のラウンジ。
 6時を回って、スピーカーなんかを部屋から運ぶと、ラウンジに併設のキッチンでフランス人を中心に食事の準備が進められているのに出会す。いちいちオシャレな料理ばかりでフルーツのカットなんかにもこだわっているので見ていてテンションが上がって来る。

 彼らはあまり手を抜かない。
 僕はここに1年間住んだ。半年で大勢の人が入れ替わるので、去年の春に一緒に生活し始めた友達の多くが夏の終りに去って、秋のはじまりに新しい人々がやって来て友達になった。僕は去って行った友達のことが恋しくて、新しい人々とは少し距離を取っていた。そんなに簡単にすぐに誰にでも馴染むというわけにはいかない。
 でも、気がつくと僕たちはまたそれなりのチームになっていた。親和性がとても高くて、例えば以前は疎遠だった韓国グループも今度はいつも一緒だ。最初に感じた違和感がなくなって、仲良くなったなと思ったらまたお別れ会だ。

 興奮のピークが過ぎて、元の立食パーティーの雰囲気に戻すため、ほんの少しだけ落ち着いた曲に変える。ベタにseptemberのBMmix、そろそろ特にダンスが好きじゃないとか恥ずかしいとかいう人は踊るのを止めて行く。やっぱり音を抑えて行く時間帯だ。もともとはBGM程度のものしか掛けないつもりだったし、趣旨はダンスじゃないので、そのままher space holidayに、それから緩めのロングミックスCDにつないで、僕はテレビ台とテレビとスケートボードで作った即席のブースから出た。

 色々な人と話しながら、ここでこんなに大勢でパーティーをするのはざっと1年ぶりだなと思う。音楽を掛けるのも。あの時は新しく入寮した人の為に開いたパーティーで、今度はお別れの為だ。間にもいくつか小さなパーティーはしたけれど、こんなに力はいれてなかった。
 1年。

 警備員さんに怒られながら後片付けをして、半分くらいのメンバーでメトロへ行った。僕たちは結構な人数だったので、入り口で「団体割引ないの?」とみんなが言い始めた。僕はないのは知っているけれど一応エントランスにいたTさんに聞いた。ラテンナイトだったせいか、スペイン人のCが「私たち全員スペイン人です、安くして下さい」と大嘘をつき始めて、僕は失笑し、そして結局安くしてもらった。ありがとうメトロ、やっぱり素敵な所だ。
 そうしてエントランスでお金を払っているとMちゃんが中から出てきた。ものすごく懐かしい。
 中へ入るとフードの出店があって、誰かと思えばラティーノのKさんだった。ラティーノへも近々行こう。

 比較的早い時間に切り上げて、エトワで少し休んでから雨の中寮へ戻る。新しいワンサイクルを告げる春の雨だ。

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