スミダマンのほのぼの奮戦記

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奈良の旅(その9) 中宮寺

2018-01-26 05:34:23 | 旅 ~国内

法隆寺、夢殿の隣りに、続いて大和山門跡尼寺の随一として

その伝統を伝える中宮寺がある。我国の尼寺の数は少なくないが、

創建の飛鳥時代から1300余年の永きに亘り、尼寺の法燈を

続けているのは、実に中宮寺のみである。当寺は

聖徳太子の御母穴穂部間人皇居の御願いによって

創建された。昭和38年の発掘調査により、四天王寺式配置伽藍で

あったことが確認された。法隆寺は僧寺、中宮寺は

尼寺として初めから計画されたと思われる。

その後、平安時代には寺運衰退し、宝物の主なものは

法隆寺に移され、僅かに草堂一宇を残して

薩摩半跏像のみといった状態であった。鎌倉時代に

いくらかの復興を見たものの、往時の盛大には

比すべくもありませんでした。宗派は鎌倉時代頃は

法相宗、その後真言宗泉涌寺派に属し

戦後は法隆寺を総本山とする聖徳派に合流した。

昭和43年5月、高松宮妃殿下の御発願によって現在の

本堂が落慶した。同妃殿下の御母君は有楢川宮の

最後の皇女で、当寺は有楢川宮皇女三方が門跡としていたという

浅からぬ御因縁から発願された。同妃殿下は

寺に万一の事があってはいけないと耐震耐火造を

念願され、吉田五十八氏が設計をした。

その設計コンセプトは門跡寺院らしい優雅さ、尼寺らしい

つつましさに昭和の新味を兼ね備えた御堂をつくること。

本堂を囲むように池があり、まるで置物と間違う程

全く動かない亀が多数。気持ちよさそうに甲羅干しをしてた。

更に池の廻りに黄金色の八重一重の山吹を植え、

周囲に四季折々の花木を配し、斑鳩の里に

ふさわしい女性の寺院としての雰囲気を醸し出している。

中宮寺本尊の菩薩半跏思惟像(如意輪観世音菩薩)は国宝。

東洋美術における「考える像」として有名なこの半跏思惟像は

飛鳥彫刻の最高傑作であると同時に我が国美術史上

欠かすことのできない作品である。国際美術史学者間では

この像のお顔の優しさを数少ない「古典的微笑(アルカイックスマイル)の

典型として高く評価し、エジプトのスフィンクス、

レオナルド・ダ・ヴィンチ作のモナリザと並んで

「世界の三つの微笑像)と呼ばれている。半跏の姿勢で

左の足を垂れ、右の脚を左膝の上に置き、右手を曲げて

その指先をほのかに頬に触れる優美な造形は、人間の救いを

いかにせんと思惟されるにふさわしい清純な気品をたたえている。

中宮寺は後伏見天皇八世の皇孫尊智女王(慶長7年没)が

御住職に成ってから、尼門跡斑鳩御所となった。

そんな背景から瓦にも菊の紋章がついている。

尚中宮寺でもう1つ有名な所蔵品として国宝の天寿国曼茶羅繍帳がある。