思惟石

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【読書メモ】2015年11月 ①『楡家の人びと(上)』

2021-12-07 13:16:16 | 【読書メモ】2015年
<読書メモ 2015年11月 ①>
カッコ内は、2021年現在の補足コメントです。


『楡家の人びと(上)』北杜夫
「楡」という漢字が読めなくて、なんとなく「ヤン?」と思い、
魯迅の「故郷」のヤンおばさんを連想して、
中国のお話しかな〜などと勝手に思い込んでいた。
ちがった〜!
そもそも北杜夫の父が斉藤茂吉って、知らなかった。へえー。
変わり者で有名な祖父と、父と、その一族を題材にした小説。
でもだいぶフィクションも入っている模様。
つらつらと、ダメ一族が描かれていて、おもしろい。
しかし上巻しかなかった…。下巻はどこいったのだ。

(北杜夫の祖父がモデルである精神科医・楡喜一郎を中心に描く、
 一族の物語。
 上巻だけでもめちゃくちゃおもしろいです。
 未だに下巻を入手してないだけだけど笑
 『楡家の人びと』は、トーマス・マン『ブッデンブローグ家の人々』
 の影響で書かれたことでも有名。
 “家の人々”系なら『チボー家の人々』もあるけど
 個人的には『百年の孤独』が好きです)
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魯迅『阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊)』

2018-11-15 17:11:09 | 日記
おもむろに魯迅を読みなおしました。

といっても読んだことがあったのは、
多分、遠い昔に国語の教科書に載っていた
『故郷』だけだったと思う。
(ヤンおばさんの印象だけが残ってるけど)

竹内 好による翻訳の、岩波文庫版。
改版ですが、それでも1981年の出版。
日本における中国文化の浸透も浅かったのかな、
注釈がめちゃくちゃ多くて、ものすごく丁寧です。
丁寧すぎて、「え…、うん」みたいなことも多少あります。

新訳をがんばっている光文社古典新訳文庫からは、
藤井 省三による新訳が2009年に出ています。
こちらも評判が良いみたいで、あとで読み比べておきたいです。

魯迅の代表作でもある表題作を始めとした初期短編集。
と言っても、多作な人ではないので、
魯迅を読むイコールこの短編集、という人が多いのではなかろうか。
(あ、でも光文社の藤井版『酒楼にて/非攻』は気になる。
 おもしろそうです)

『阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊)』は、
なんというか近代中国の悲しさ虚しさ非力さみたいなものが
文章の端々から匂い立っていて、
なんとも言い難い切ない気分にさせられます。

それはイヤな気分というわけではなくて、
ちょっと、自分の人生とか、
自分ではどうにもできない所属する社会とか
を振り返って、考えさせられるというか。

それはさておき、『故郷』は良い。圧倒的に良い。
国語の教科書で読んだときは、
こんなに良い小説だとは思えなかった。若かったもんな…。
ていうか10代にはわからないでしょ。なんで学生に読ませるのよ。
いや、名作だからですけどね。反語。

主人公と閏土(ルント−)の関係性。その次世代の関係性。
そして締めの文章。すごく良いです。

「思うに希望とは、
もともとあるものともいえぬし、
ないものともいえない。
それは地上の道のようなものである。
もともと地上には道はない。
歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。」


作者は自序にもあるように「寂寞」という言葉をよく使うけれど、
ついでに編集の指示もあったというけれど、
それでも希望の方を向こうとする姿勢がある人だと思う。

大人になって読み返して良かったです。
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ヤンおばさんって、知ってますか?

2015-11-25 13:05:10 | 日記
ヤンおばさんって知ってますか?

豆腐屋小町と呼ばれた容姿も今は見る影なく衰え、
纏足された足で驚くほど速く走るおばさんです。

と、私の記憶(ぽんこつ)の中の情報で説明すると
テケテケとかその類のホラーっぽいな。

私が子どものころの国語の教科書に載っていた
魯迅の「故郷」に出てくるおばさんです。
教科書で読んだ文学作品って、
びっくりするくらい記憶に残ってないのですが、
作者の名前が中国名で印象的だったことと
ヤンおばさんのキャラが強烈だったことから
未だに覚えているんですよね。

文学的に衝撃を受けたわけではないところは
申し訳ない。

なにしろ他の要素は一切覚えていない。
グーグル先生に「ルントウ」を教えてもらいましたが、
うーん、いたっけ?誰だっけ?なんだっけ?と。

というか、グーグル先生によると
いまだに中学3年の教科書に載っているみたいです。
いまどきの若者もヤンおばさんに驚愕するのでしょうか。

ついでに中学国語の掲載文学作品をざっと見たけど、
自分で自分に惚れ直すくらいまったく覚えてません。
義務教育時代から安定のポンコツだったんだな、私。
まあ、石器時代並に遠い昔なので、
ほとんど改訂されていると思うけど。
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