思惟石

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『オーバーストーリー』うーむ

2021-06-14 10:59:16 | 日記
リチャード・パワーズの『オーバーストーリー』
単行本で670ページ。
なかなかの量ですまたもや。

2019年ピュリッツァー賞受賞作。

「オーバーストーリー」は「樹冠」をあらわす英語で、
多数の登場人物の重なりあいも示唆しているらしい。

そのタイトル通り、前半は様々な人物の人生と、
それにまつわる「木」の話しが積み重なり、
中盤から登場人物の人生が交わり始めます。

前半は良い。すごく良い。

一本の栗の木と、そこに住む一族の歴史、最後のひとり。
裏庭の桑の木(マルベリー)とともに育った
中国系の少女は長じて、父親の自死と時の流れを考える。
バースデーツリーとしてカエデの木を植えられた
ちょっと変わった男の子アダムが
心理学にたどり着くまでの幼少時代。
いろんな人生と、大小あるけれど人生に関わる植物(自然)。
おもしろい。

とはいえ中盤以降がいただけない。
登場人物が出会って、
アメリカの環境保護活動につながるのだけど、
ちょっと強引というか、行動や思想が通俗的というか、
共感しにくい。

いや、自然は大事ですよ。
それは否定しようがないのだけど。
その周辺が、なんかね。残念だね。

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