思惟石

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池井戸潤『下町ロケット』働くって大変です

2018-03-01 16:42:06 | 日記
第145回(2011年上半期)直木三十五賞受賞。

池井戸作品は、『空飛ぶタイヤ』『シャイロックのこどもたち』
『銀行仕置き人』『最終退行』『株価暴落』と読んで、
銀行員って大変だなあ…というのと、
ピンチ山盛りで、さらに追いピンチ!ってくらい
ピンチのターンが辛いなあ…という印象が。

『下町ロケット』も、出だしっからピンチ大盛りです。
会社員を10年以上やっている私としては、
他人事じゃない辛さ…。
読んでて辛い…。
かと思いきや、意外とテンポが良いのね。
『空飛ぶタイヤ』は、結構、前半のピンチターンが重くて
辛かったのです。
今作は、辛いことも、腹立つことも多いけど、
読む辛さは特に無いというか。
様々な人間模様やビジネス模様が面白く展開します。

さらに、池井戸作品ならではで、登場人物は多いのですが、
純粋な悪役ってのは実はそんなに多くなくて、
それぞれが自分の仕事へのプライドや、
大事にする部分を持っていたりして。

総じて、働くってことはとても大変だし、
それでも働くってことは自信を持って良いことだし、
働く自分というものに向き合うことは
生きる上でとても大事なことだと思わせてくれます。

個人的には、佃工業にイジワル査定をしてやろう、と
息巻いてやってきた帝国重工の査定スタッフが良かったです。
結論として、
「良いものを悪いという評価はできない。
 なぜなら正しい査定をしないと自分の評価に関わるから」
というのは、とても正しい姿勢だと思いました。
自分の仕事への矜持、大事ですよね。
会社に評価されることが全てだとは思わないけど、
能力を評価され、正しい対価としてのお給料を
もらうことって、本当に大事だと思います。

池井戸潤って、ホント、
なんでこんなに会社員の心の襞をくすぐるんだろう。
いや、会社員じゃなくても面白く読むと思うんですが。
私の中のサラリーマンな部分が、ガッツリ掴まれて
離してもらえないというか。

あと、銀行員は大変そうだなって、毎回思う。
よほど苦労なさったのか。
コメント
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