Sightsong

自縄自縛日記

Fado-mo-two@in F

2020-08-07 10:06:04 | アヴァンギャルド・ジャズ

大泉学園のin F(2020/8/6)。

Yuki Saga さがゆき (vo, g)
Keiki Midorikawa 翠川敬基 (cello)
Special Guest:
Eiichi Hayashi 林栄一 (as)

さがゆき・翠川敬基・喜多直毅のトリオが「ファド化計画」から「ファドも計画」となり、その後、さがゆき・翠川敬基のデュオで「Fado-mo-two」。この日のスペシャルゲストは林栄一、だがライヴ前に正式メンバーとして加入することが決まり、次回はトリオで「Fado-mo-three」となるそうだ。なんにしてもすごいメンバーである。

「私の中のファド」などを経て「朝日のあたる家」で聴くほうも世界に入ってきた。ギターを強くはじくことでの感情の発露、色っぽいチェロのピチカート。アルトはあまりにも強いのにこの音楽とみごとに共存している不思議。浅川マキが歌った「赤い橋」ではどこからともなく聴こえるか細い糸のような音、それはチェロの弓弾きだと気づき繊細さに驚かされる。さがさんはチェロより遅れてテーマに入る。小女性も深い心も同時にみせるさがさんの世界、その入り口は艶々と紅をさした口のようである。

締めは、高田渡が歌った「ねこのねごと」。さがさん曰く、猫派(林さんは大の猫好きで猫ひっかき病になったことも)、犬派(翠川さんは著書で犬のことばかり書いている)、それにメダカ派(さがさんはメダカを育てている)。かわいいのにドライヴする音楽。

ともかくも22時に終えなければならぬということで、セカンドセットも予定通りにはじまった。「愛の語らい」などを経て、またしても浅川マキが歌った「かもめ」。三人の時間軸が自在に伸び縮みし、また戻ってきては静かな中でさがさんの歌が聴こえる。「奇妙な人生」でのギターをやさぐれた感じで鳴らして終えるのもよかった。

そしてマキさん3曲目、「ふしあわせという名の猫」。だがこれもマキさんの世界とはイントロからして違い、すべて新鮮に感じられる。さがさんはアルトに振り、次に左を向いてチェロに振る。続く「夢は夜ひらく」では笑いながら歌うのにドスがきいている。ぶっといアルトは60億分の1のヒョードルとしか言いようのないものだが、そんなパウンドを横目に平然とギャッと妙な音で刻む翠川さんもただものではない。

●さがゆき
さがゆき+高田ひろ子@中野Sweet Rain(2019年)
広瀬淳二+さがゆき@なってるハウス(2019年)
さがゆき+高田ひろ子@川崎ぴあにしも(2018年)
さがゆき+アニル・エラスラン『Shadows』(2018年)
ファドも計画@in F
(2018年)

●翠川敬基
ロシアのうた@音や金時(2020年)
喜多直毅+翠川敬基+角正之@アトリエ第Q藝術(2019年)
ファドも計画@in F(2018年)
夢Duo『蝉時雨 Chorus of cicadas』(2017-18年)
翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F(2017年)
早川岳晴『kowloon』(2002年)
1999年、井上敬三(1999年)
翠川敬基『犬の細道』(1992年)
高柳昌行+ペーター・コヴァルト+翠川敬基『Encounter and Improvisation』(1983年)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(1981、91、98年)
富樫雅彦『かなたからの声』(1978年)
翠川敬基『完全版・緑色革命』(1976年)
富樫雅彦『風の遺した物語』(1975年) 

●林栄一
「飴玉☆爆弾」@座・高円寺(2020年)
渋大祭@川崎市東扇島東公園(2019年)
<浅川マキに逢う>ライブ&上映会@西荻窪CLOPCLOP(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年)
林栄一+小埜涼子『Beyond the Dual 2』(2014-15年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
早川岳晴『kowloon』(2002年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999-2000年)
高瀬アキ『Oriental Express』(1994年)