下北沢のLady Jane(2020/8/29)。
Koichi Hiroki 廣木光一 (g)
Hiroshi Yoshino 吉野弘志 (b)
達人ふたりのデュオ。配信アルバム『Alvorada』のレコ発のような形だが、アルバムは5年前の録音であり、新曲も増えている。また収録曲の演奏の雰囲気もちょっと違っていておもしろい。
割と新しい「なんやらかやら」と「二丁目の春」を経て、ノエル・ローザの「祈りのかたち」。廣木さんと青木カナさんとの新譜『Raizes』にも収録されている曲だが、吉野さんも気に入って採譜したのだという。はじめの弓弾きの音色からすでにうたになっている。廣木さんの弱い軋みの中から輝くように転がり出てくる宝石。
ジョビンの「Luiza」。廣木さんの和音はときに引いてしまうほど素晴らしいのだが(たとえば、渋谷毅さんとのデュオ『Águas De Maio 五月の雨』の「Beyond the Flames」、2分過ぎの音)、ここでは、ベースソロのあとにそれをさらりと弾いてみせた。『Alvorada』ではベースソロに入る直前であり、それが記憶にあったためにまた新鮮だった。また別の和音も最後に2回、3回目は軽く弾いてふたりで笑う。気持ちの昂りを表現する「Luiza」の演奏としてみごと。
続いて、やはりジョビンの「O Boto」(アマゾンの小イルカのことだそうだ)。高めの音域での滑空するような弓弾きが絶品であり、ピチカートに移ると廣木さんが雲のように入った。テーマに入るとふたりともノるのがまた良い。
セカンドセットはミンガスの「Orange Was the Color of Her Dress」から。息を合わせて気持ち良く進むところも、廣木さんが敢えてもたつくところもにくい。なんだったかジョビンの曲を経て、シコ・ブアルキの「O Que Sera」、そして吉野さんのために廣木さんが作った「ベーシストの孤独」。ピチカートにギターが寄り添う。
ブアルキ「Samba De Orly」、そしてアンコールはカルトーラの「Alvorada」。ベースとギターとがじつに柔らかく絡み、間合いも音楽の機微もすべてわかっているようだ。
Fuji X-E2、XF35mmF1.4
●廣木光一
HIROKI BAND@本八幡cooljojo(2020年)
廣木光一+ナスノミツル+芳垣安洋@本八幡cooljojo(2019年)
HIROKI BAND@南青山ZIMAGINE(2019年)
廣木光一+渋谷毅『Águas De Maio 五月の雨』(2018年)
廣木光一+永武幹子@cooljojo(2018年)
高田ひろ子+廣木光一@本八幡cooljojo(2017年)
安ヵ川大樹+廣木光一@本八幡Cooljojo(2016年)
吉野弘志+中牟礼貞則+廣木光一@本八幡Cooljojo(2016年)
廣木光一+渋谷毅@本八幡Cooljojo(2016年)
Cooljojo Open記念Live~HIT(廣木光一トリオ)(JazzTokyo)(2016年)
廣木光一(HIT)@本八幡cooljojo(2016年)
廣木光一『Everything Shared』(2000年)
廣木光一『Tango Improvisado』(1995年)
●吉野弘志
吉野弘志+永武幹子@アケタの店(2020年)
吉野弘志@アケタの店(2019年)
西島芳 triogy@本八幡cooljojo(2018年)
西島芳 triogy@下北沢Apollo(2018年)
吉野弘志+中牟礼貞則+廣木光一@本八幡Cooljojo(2016年)
松風鉱一トリオ@Lindenbaum(2008年)
向島ゆり子『Right Here!!』(1995-96年)
ジョセフ・ジャーマン