うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

いわいごと

2021年04月29日 | 畠中恵
2021年2月発行

 お気楽な、名主の跡取り麻之助と、家督を継いで名主となった清十郎。そして八丁堀見習同心の吉五郎。3人の悪友たちが繰り広げる人情物語「まんまこと」シリーズ第8弾。

こたえなし
吉五郎の縁談
八丁堀の引っ越し
名指し
えんむすび
いわいごと 計6編の短編連作

こたえなし
 富籤に当たった3人の若者。その金子で旅に出ようと約束をしていたらしいのだが、行く先が三者三様にもめ出し、その仲裁役を押し付けられた麻之助。旅先を決めればいいだけと安易に考えていたのだが、その実、3人共、それぞれに金子違った入りようがあり、もはや旅立とうとする気のある者は居なかった。
 麻之助は、縁組の話の出ている相手・花梅屋のお雪と共に、彼らの望みを叶え流べく、動くのだった。するとどうしたことか、三人三様の夢が…。

吉五郎の縁談
 吉五郎の縁談がまとまり掛け、義父の小十郎は、与力へと昇進があるのではと、噂される矢先、なんと、吉五郎の行李の中から、血まみれの鮪包丁が出てきた。この行李は、奉行所へと持参する物で、小者がずっと担いでいる。一体、いつ、どこで、誰が、どのように、中に仕込むことが出来たのか、麻之助と清十郎は、吉五郎の足取りを辿って見ると同時に、何やら吉五郎の縁談話と小十郎の昇進話に関わりがあるように思われてならないのだった。

八丁堀の引っ越し
 北町奉行所定町廻り同心の相馬小十郎が、異例の抜擢で、吟味方与力へと出世した。同心と与力では、扶持も拝領屋敷も雲泥の差である。吉五郎もさながら娘の一葉も多忙を極める中、麻之助と清十郎らは、引っ越しを買って出た。
 与力に相応しい家財一式などを持ち込むの.神田の高利貸し・丸三、札差・大倉屋であり。ひと段落着くや、この度の人事にて、前任者の退職のわけや、奉行所にはびこる商人との癒着、賄賂などへと憶測が進み…。

名指し
 亡くなった町名主・横尾家の支配町四町を誰が引き継ぐかで、集められた日本橋の北辺りに支配町を持つ町名主たち。父・宗右衛門の命で麻之助も道々したのだが、どうした訳か、横尾家に変わる町名主が晴雨式に決まるまでの間、麻之助が仮に受け持つ運びになった。
 しばらく町名主不在だった横尾家の支配町四町からは、矢継ぎ早に訴えがあり、お気楽・麻之助は大忙しとなる。

えんむすび
 麻之助の元に、一気に三つの縁組みが持ち込まれた。だが、十五、十六、十七と若く、いずれも町名主の娘である。後妻でなくても幾らでも良縁がありそうだ。案の定、ひとりは、大名家の側室に請われ、ひとりは、大名家への武家奉公を望み、ひとりは、既に決まった相手が居るらしい。
 清十郎、吉五郎、丸三の力を借りて、麻之助は真相に挑むのだった。
 そして、麻之助の縁組みは、思わぬ方向に転がり出す。

いわいごと
 和歌との婚礼が無事決まり、その打ち合わせの為に、高橋家で顔を合わせた宗右衛門と西森金吾。その大切な場に、料理屋花梅屋のお雪が、許嫁とその母を伴い、至急の話があると高橋家を訪ったのだ。
 和歌の勧めもあり、麻之助が話を聞くこととなったのだが、その内容は、お雪の持参金である沽券が失せたということだった。
 自身の祝言前に、ひと騒動となった麻之助。

主要登場人物
 高橋麻之助...神田の古町名主宗右衛門の総領息子
 八木清十郎...隣町の町名主
 相馬吉五郎...北町奉行所見習同心
 高橋宗右衛門...神田の古名主、麻之助の父親
 故・野崎寿ず...麻之助の妻、吉五郎の遠縁
 貞吉(両国の貞)...両国の顔役、物売り
 丸三...神田の高利貸し
 相馬小十郎...北町奉行所定町廻り同心、吉五郎の義父
 相馬一葉...小十郎の娘、吉五郎の許嫁
 みけ(八木家)、とら(相馬家)、ふに(高橋家)...兄弟猫
 大倉屋....札差、お由有の実父
 大倉屋冬太郎....大倉屋の総領息子
 お浜....料理屋花梅屋の隠居
 お雪....料理屋花梅屋の孫娘
 樽屋....町年寄り
 俊之助....樽屋の手代
 西森金吾….町名主
 西森和歌….金吾の娘


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