山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

ギンリョウソウ(銀竜草)

2014-08-10 08:09:35 | 双子葉合弁花

徳沢から蝶ケ岳に登る長塀尾根(ながかべおね)は、取り付いてすぐコメツガ、トウヒ、シラビソなど

亜高山性針葉樹が混生する急な登りになります。

この辺りは薄暗く、湿った林下には、目立った花の咲く植物は見られませんが、そんな環境の

恩恵を受けて生きる植物の姿がみられます。

このギンリョウソウは、そういった植物の典型的なもので、明るく開けた場所では到底生きる

ことのできない生態をもっています。

分類上はイチヤクソウ科になりますが、ご覧いたいておりますように、葉緑素をはじめとする

色素がないために、根を除いては全て真っ白で、光合成は全くおこなっていません。

そのため、必要な養分は林床に落葉が積もってできた腐植土から得ています。

樹木から落葉の提供を受けて生きているので、一見、半寄生植物のようですが、落葉が

吸収可能な養分となるには菌類による分解が必要です。

このため、このギンリョウソウのような生態をもつ植物は腐生植物と呼ばれています。

しかし、自身からはほとんど何も提供せず、樹木と菌類によって保たれている森の再生機能に

ちゃっかり便乗するしたたかさ・・・

一見、弱々しくも見える奴こそ、実はもっとも強い生き方をしているような気がします。

つまらぬ見栄や外見に囚われて生きる者が、はたして本当に強い生き物と言えるのでしょうか?

それでは今日はここまで、皆様ごきげんよう 

ギンリョウソウ <イチヤクソウ科 ギンリョウソウ属>  腐生植物 

ギンリョウソウ

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ソバナ(岨菜)

2014-08-09 08:29:33 | 双子葉合弁花

これも夏の信州路で必ずといっていいほど出逢う花のひとつです。

ソバナという名前を聞くと、ここが信州ということもあって蕎麦を連想してしまいそうですが

和名は漢字で書くと「岨菜」となり、この岨というのは切り立った崖のことで、そこに生える

山菜という意味になります。若い芽は山菜として食用にされます。

茎は細い割に長く、約1㍍ほどもあり、そのため直立せず釣り竿のように斜上しますが、

そこから吊り下がる淡紫色の花には独特の涼しげな風情があります。

花の色の濃淡には地域差があるようですが、上高地周辺のものには色の淡いものが

多いようです。

ソバナ <キキョウ科 ツリガネニンジン属>  多年草 

ソバナ

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ガガブタ(鏡蓋)

2014-07-26 22:56:45 | 双子葉合弁花

溜池や沼の比較的水深の浅いところで見られる浮葉植物の一種、ガガブタです。

スイレンの様な丸い葉を浮かべていますが、分類上はミツガシワ科になります。農業用の溜池が

少なくなった最近の都市近郊ではほとんど見られなくなったようです。

ガガブタ <ミツガシワ科 アサザ属>  多年草 浮葉植物

ガガブタ

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ミゾカクシ(溝隠し)

2014-07-25 16:35:32 | 双子葉合弁花

少し風変わりな姿をした花ですが、水田の周りに咲く農業雑草のひとつ で、キキョウ科の

ミゾカクシという植物です。

水田以外のところでは、ほとんど見かけることがない植物なので、稲作が大陸から日本に

伝わったことと、この植物の存在には何らかの因果関係があるのかも知れません。

この花は、キキョウ科の合弁花類で、普通の説明なら「花冠は上部で5裂し・・・云々」

となりますが、どうもそれでは説明しきれない特殊なスタイルが、僅か1㌢ほどのこの花に

独特の存在感を持たせているようです。

ミゾカクシ <キキョウ科 ミゾカクシ属> 多年草ミゾカクシ

 

 

 

 



 

 

 


ミゾカクシ




 

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ヘクソカズラの変種

2014-07-15 22:15:25 | 双子葉合弁花

ヘクソカズラとは?

標準和名はヤイトバナ(灸花)で、サオトメバナ(早乙女花)という可愛い名前もあります。

それにも拘わらず、全体に悪臭があることからヘクソカズラ(屁糞葛)と臭いものを二つ連ねた

何とも強烈な名前をもらったことで、今ではこの名前の方が有名になった花です。

 

花の姿の可愛さから、カメラを始めた頃には身近な被写体としてよく使ったものですが、

撹乱された場所ではどこでも生えてくるような、いわゆる普通種で

この花に対する関心は少し薄らいでいました。

 

この時も、この花の前を通り過ぎるところでしたが、はて、ヘクソカズラってこんな花だったかな?

という気がして、取り敢えず撮影してみたのが1枚目と2枚目の画像。

そして3枚目は家の近くの空き地に生えていた普通のヘクソカズラです。

見比べてみると葉も花も随分ちがいますね。 

調べてみると、ヘクソカズラにも何種類かの変種があって、これは、その中のひとつ

ツツナガヤイトバナとよばれるものです。 

ツツナガヤイトバナ <アカネ科 ヘクソカズラ属> 蔓性多年草
普通のヘクソカズラの花と比べると 花冠の筒状部分が長く、裂片は明確で短く
葉は概ね長心形をしています
ツツナガヤイトバナ

 

 

 

 

 

 

 


ツツナガヤイトバナ














ヘクソカズラ <アカネ科 ヘクソカズラ属> 蔓性多年草
こちらが一般的なヘクソカズラです。葉は概ね卵形をしています
ヘクソカズラ

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メハジキ(目弾き)

2014-07-02 16:59:32 | 双子葉合弁花

メハジキは河川敷のやや肥沃な場所に生えるシソ科の2年草です。

3年程前までは城陽市域の木津川河川敷でも、そこそこの群落が見られましたが、度重なる

増水や河川改修、護岸工事の影響なのか、最近はこの花の姿を見かけることさえ稀です。

 

メハジキの名は、茎を短く切ったものを上下の瞼で挟み、目を勢いよく閉じることによって

弾き飛ばすという子供達の遊びが由来となっているそうですが、実際にどのような遊びなのか

今ひとつイメージがつかめません。

しかしながら、子供達の遊びが常に自然と向き合ったものであり、そこから独自の遊びの文化が

造られていた古き良き時代がこの国に存在したのは確かなようです。

メハジキ <シソ科 メハジキ属> 2年草

別名はヤクモソウ(益母草)で、花期を迎えた全草を乾燥したものは産後の止血などに効果のある

漢方薬として用いられる。

メハジキ

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オオフタバムグラ(大双葉葎)

2014-06-29 22:46:20 | 双子葉合弁花

アカネ科の1年草で、第2次世界大戦後、各地の海岸や河川敷などの砂地に広がった

北米原産の帰化植物です。

6~9月頃、節ごとに4花弁の小さな花を咲かせ、花の色は僅かながらピンク色を帯びています。

在来種のフタバムグラの花が2㍉程度の微小花であるのに対して本種の花は4~5㍉と大きい

ところからオオフタバムグラと名付けられたようです。

オオフタバムグラ <アカネ科 オオフタバムグラ属> 1年草 帰化植物

フタバムグラ

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フデリンドウ(筆竜胆)

2014-05-10 23:12:27 | 双子葉合弁花

京都府最南端、京都では唯一の”村”である南山城村の標高500㍍のところに童仙房という

小さな集落があります。

綺麗な茶畑や山林にかこまれた地域に小さな水田が少しある程度の山里で、特にこれといった

観光名所もありませんが、明るく開けた高原の快適なカントリウォークが楽しめるところです。

道端のこんな可愛い花や人懐っこい集落の人達に出逢えるのも山里ならでは楽しみ。

 

フデリンドウ<リンドウ科 リンドウ属>  2年草

明るい野原や山地で4~5月に見られるリンドウの仲間、草丈5~8㌢程で、花冠は

先端で5裂し、裂片 と裂片の間には副片があります。 

フデリンドウ















フデリンドウ

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ハマウツボ科の帰化植物

2014-05-06 17:54:46 | 双子葉合弁花

5年ほど前のことになりますが、木津川堤防の土手に突然セイヨウヒキヨモギが大量に

繁殖し始め、初夏の土手を黄色一色に染めました。

当時、植物愛好家の一部には植物の多様性が損なわれるのではないかと心配する人も

いたようですが、こういった新参者の帰化植物は、一時は爆発的繁殖を遂げるものの

その後、定着を果たすと減少に転じ、数の上では既存の生態系と折り合った一定のところで

落ち着くようです。

画像の1~3枚目はセイヨウヒキヨモギで、4枚目以下は最近になって少し目立ち始めた

ヒサウチソウという植物ですが、この2種は以前、花の形状からゴマノハグサ科に

分類されていましたが、何れも自ら光合成を行う一方、ヨモギ属の植物の根に寄生してそこから

養分を吸収するという半寄生植物であるところから、現在では同じ生態をもつハマウツボ科に

移行しています。

セイヨウヒキヨモギ<ハマウツボ科 セイヨウヒキヨモギ属> 1年草帰化植物 

ヨロッパ原産の帰化植物、1973年千葉県で生息が確認され、その後、主に全国の河川敷に

急速に広がった品種

セイヨウヒキヨモギ















セイヨウヒキヨモギ















セイヨウヒキヨモギ













 

ヒサウチソウ<ハマウツボ科 ヒサウチソウ属> 1年草帰化植物

地中海沿岸原産、1982年愛知県名古屋市で初めて生息が確認されました。和名は

帰化植物の研究家、久内清孝氏を記念して命名されました。

ヒサウチソウ















ヒサウチソウ















ヒサウチソウ















ヒサウチソウ

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キランソウ(金瘡小草)

2014-04-17 22:43:49 | 双子葉合弁花

キランソウは人里に近い山地の湿った地表に生えるシソ科の多年草。

和名は漢字表記で「金瘡小草」とされているものの、意味は不明とのことです。

別名をジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)といいますが、これは茎が地面を這って延び

地表を覆うことに由来しているようです。

キランソウ<シソ科 キランソウ属> 多年草

キランソウ

 

 

 

 

 

 

 

  

 

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センブリ(千振)

2013-11-01 22:14:55 | 双子葉合弁花

明るい雑木林の中、ふと足元に目を落とすと、可愛いセンブリの花が咲いていました。

この辺りでは晩秋の到来を告げるリンドウ科の2年草です。

そう言えば、今年もあと60日・・・

近頃、時の流れや社会の変化というものが矢鱈早く感じてしまうのは歳の性でしょうか?

ただ、そういったものに感覚は付いていかずとも肉体的老化現象だけは容赦なく

我が身に押し寄せてるのは確かな事実で、食事や運動など、健康面に気を配りながら

日々若さだけは見失うことなく過ごしたいものです。

ところで、このセンブリは全草を乾燥させたものが胃腸の働きを活発にする漢方薬として

使われますが、和名は「千振」で、千回振り出してもまだ苦いというのがその名の由来とか・・・

実際に噛んで試したことはありませんが、かなり苦いに違いありません。

センブリ<リンドウ科 センブリ属>   2年草

センブリ

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アケボノソウ

2013-10-16 21:19:48 | 双子葉合弁花

山林の湿り気のあるやや暗い場所に生える2年草です。

和名は「曙草」で、花冠の斑点を夜明けの星空に見立てたものだそうです。

花冠は深く5裂していて、裂片には1.5㍉ほどの黄緑色の蜜腺溝があり、蜜を求める

赤蟻が群がっていることが多いようです。

アケボノソウ<リンドウ科 センブリ属>  2年草

アケボノソウ















アケボノソウ

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ガガイモ(鏡芋)

2013-08-27 23:14:09 | 双子葉合弁花

久しぶりに降った雨がもたらしたものなのか、ここ2~3日は朝夕の過ごしやすい日が続いています。

このまま涼しさへ向かうとも思えませんが、あの37℃や38℃といったとんでもない異常高温は

どうやら峠を越したように思います。

気が付けば、農道の傍らに一斉に咲きだしたこの花・・・

今年も8月の終わりという自身の出番を決して忘れてはいなかったようです。

和名はガガイモで、漢字で書けば「鏡芋」ですが、”鏡(がが)”はスッポンの別称で、葉の形や

模様がスッポンの甲羅に似ていることによるそうです。

この草は主に、地中に延びた地下茎によって広がるようですが、名前に”芋”がつくものの

地中に芋らしきものは見られません。

花弁には顕著な毛があり、先端は5裂していて中央の溝には密が多いのか、小型の赤蟻が

潜り込んでいることが多いようです。

中央に丸く突出しているのは雌蕊で、雄蕊はその周りに密着するように付いていますが

隠れていて見えません。

ガガイモ<ガガイモ科 ガガイモ属>  蔓性多年草
































更にレンズを近付けて撮ろうとしたところ画角に入ってきたのは1頭のイチモンジセセリ・・・
思いもかけず、面白い絵が拾えました

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ホタルブクロ(蛍袋)

2013-06-27 21:48:05 | 双子葉合弁花

ホタルブクロはキキョウ科の多年草で、初夏に山間を通る道の道路脇などで普通に見られる花です。

和名は、この花の中に蛍を入れて遊んだことから名付けられたとする説が一般的ですが

身近に蛍が飛んでいて、子供達が自然の遊びの中で多くの事を学んでいた”古き良き時代”が偲ばれます。

ホタルブクロ<キキョウ科 ホタルブクロ属> 多年草 

ホタルブクロ














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同定の難しい林下に咲くタツナミソウの仲間

2013-06-16 22:16:12 | 双子葉合弁花

里山の谷筋で見かけた花ですが、紫色の花を穂状に付ける姿を、打ち寄せる波頭に見立てた

タツナミソウ(立浪草)の仲間です。

この仲間は、草地などに咲く基本種のタツナミソウは兎も角として、山の湿り気の多い谷筋や

沢沿いでみかけるものは種類も多く、どれも似たり寄ったりで、また各地に固有種もあり、中々同定が困難です。

画像のものは、葉の形や下唇の斑紋の様子、茎の毛の生え方などから一応、消去法なども加え

イガタツナミソウと判断しましたがどうでしょうか?

他ではシソバタツナミソウやホナガタツナミソウなどが候補として考えられますが難しすぎて

同定の深入りはできません。

イガタツナミソウ?<シソ科 タツナミソウ属> 多年草

































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