しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

きまぐれ星のメモ 星新一著 角川文庫

2013-07-23 | 評論エッセイ等
本書、小中学校時代に繰り返し読みました。
実家には読み過ぎでカバーが破れてぼろぼろの本がまだあるはずです。

最近復刊したのを聞いていて(日本SF作家協会50周年記念復刊らしい)、ブックオフで見かけたらどうにも欲しくなって購入、400円。
ということで本書は平成24年11月25日初版、バリバリの新刊です。
近頃第何回目かの星新一ブームだそうでその波にも乗り復刊されたようです。

当初すぐ読む気はなかったのですが、ぱらぱら読んでいたら止まらくなり読了してしまいました。

「星新一」ですが、私が小学生くらい(1970年生まれなので70年代後半-80年代初旬)に子供向けで人気のあったのは、北杜夫の「マンボウもの」やら畑正憲の「ムツゴロウ」もの、SFでは眉村卓のジュブナイル、小松左京の諸作品などがありました。

それらが今日的な意味で生き残っているか微妙な中「星新一」は新潮文庫他メジャーな文庫のラインナップでもまだかなり残っています。
まだまだ若い新しい読者を獲得してもいるようです。
考えてみればものすごく偉大な作家ですね。

私もありがちなパターンで、「星新一」よく読みました。
中1くらいまでにはそのころ文庫で出されている作品は殆ど集めていました。。
今に至るまで私のものの考え方やら読書傾向に大きな影響を与えていると思います。

これまたありがちですが星新一から日本SF(小松左京やら筒井康隆、豊田有恒)、海外SF、ミステリに行き、明治ものなどからは司馬遼太郎やらの時代物などにも行った。
私の読書傾向やらものの考え方の根本に大きな影響を与えていると思います。

でも中学も2、3年、高校・大学くらいになると大きな声で「星新一」ファンといいにくい雰因気になり、それ以来かなり離れていました。
ネットで見たらそんな人多いようですね...。
唐澤俊一氏の星新一追悼文(唐澤氏知りませんでしたがオタク文化評論家らしい)
そんなこんな離れていましたが2007年に出た、最相葉月の「星新一一00一話をつくった人」を読み改めて見直したりはしていました。
(この本は名作ですね、当時読み始めたら徹夜になってしまった)

星氏自身、晩年文学賞等いわゆる文学的評価に恵まれないで屈折していたようですね。
島田雅彦も銀座の飲み屋で星新一に「おまえは純文学だろ」と絡まれた話を語っています。
(島田氏、「星氏を尊敬」しているとセットで色々な所で語っているようです...実話なんでしょうけど、どういうものでしょうか?)
星氏の弔辞で盟友筒井康隆氏は下記のように語ったようです。

星さんの作品は多くの教科書に収録されていますが,単に子どもたちに夢をあたえたというだけではありませんでした。手塚治虫さんや藤子・F・不二雄さんに匹敵する,時にはそれ以上の,誰しもの青春時代の英雄でした。お伽噺が失われた時代,それにかわって人間の上位自我を形成する現代の民話を,日本ではたった一人,あなたが生み出し,そして書き続けたのでした。そうした作品群を,文学性の乏しいとして文壇は評価せず,文学全集にも入れませんでした。なんとなく,イソップやアンデルセンやグリムにノーベル文学賞をやらないみたいな話だなあ,と,ぼくは思ったものです。 

まぁそんなこんなあり2007年頃に「ようこそ地球さん」を再読しました。
星新一のショート・ショート、「全部素晴らしい」というわけでなく、良いものはかなりいいですが、出来不出来は割と激しいというのが冷静な評価だったりはします。
(アシモフでも出来不出来多いんだし...いわゆる駄作はないとは思いますが...。)

とにかく今も読書好き小中学生に影響を与えているだろうし、今後も影響を日本の文化に与え続けていきそう。
凄い作家だ。

と「星新一」について長くなりました。
星新一といえば「ショート・ショート」なわけですが本書のようなエッセイもなかなか面白く、よく読みました。
解説見ると本書が初エッセイ集のようです。

中身はよく読んだだけあって殆ど覚えていました。(何回読んだか思い出せないほど読んでいる)

内容は思いっきり「70年代の日本」なので、今の若者にストレートにはお勧めできませんが私くらいの年代以上には「懐かしさ」もあってお勧めです。
私が星氏の着想が基本的に好きなのもありますが...。
(最後に「○×△ですが...。」で〆る文体も星氏の影響だろうなぁ)

読んでいていろいろ懐かしかったことなど書いてみます。
当時の自分が思い出されてとても楽しい時間でした。

たびたび好きな作家として「ブラッドベリ」が挙げられています。
ここから来て「火星年代記」「華氏451度」を買ったんでしょうが読んだのは今年だ...。
しかも良さがよくわからない、う-ん。
「スレッサー」も良く出てきますがこれはいまだに読んでいない。
シェクリィの子供の分まで借金してものを買う話が何回か挙げられていますがこれは今年読んだということでニンマリ。
人間の手がまだ触れない収載
スタージョンの作品もよく例で挙げられていますがこれはなぜか読もうと思わなかったなぁ。

その他思い出深い話について

「犬山」
これを読んで犬山城・モンキーセンター・明治村に死ぬまでに一度は行きたいと思っていました。
最近やっと犬山城と、モンキーセンターには行きました。
犬山城は思いれもあったので感慨深く、文章通り景観等すばらしかったですが、モンキーセンターは...時代の波に勝てずちょっとさびれていて期待外れでした、楽しみにしていた「猿二郎コレクション」もなかったし。
あとは明治村に行っていない...死ぬまでに一回は行きたいなぁ、あと今回読んで思い出しましたが桃太郎神社。

「都市」
シマックの「都市」が挙げられていますが、これは中学生時代に読みました。
今に至るまで私の一番好きな海外SF長編の一つです。
絶版でプレミア出ているようですが実家にあると思うので是非再読したい。

「映画「審判」を見て」
カフカの「審判」ですが、これを読んで「読みたい」と思った記憶はありますがいまだに読んでいない。
カフカの長編はちょっとハードルが高い。

「クワイ」
親にここに書かれている調理法でクワイを調理してもらって食べたなぁ....。
懐かしい。

その他自分がその時感じたことが懐かしく思い出されました。
自分が成長(オヤジ化)したこともあれば、全然成長していないのもある...というのをなんとなく実感できました。

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