しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

きまぐれフレンドシップpart1 星新一著 集英社文庫

2014-03-30 | 評論エッセイ等

まだ熱があったので軽いものを…ということで本書を手に取りました。


前にPart2を読み気になっていたので昨年末実家から持ち帰ったもの。
昭和60年10月初版で買っています。
当時15歳、新品を買った記憶があります。
多分私の中で最後に新品で買った星新一作品です。

星新一氏には大変失礼な話のですが....中一終わりくらいから星新一を卒業しつつありましたので「久々」「懐かしい」という気分で本書を購入した記憶があります。

「星新一卒業体験」かなり多数の日本の小説好きの方が同じような体験しているのではないでしょうか?
今から思えばいかに自分が生意気だったのかわかるんですけれどもねぇ。

この前近所の方が小六の息子さんを連れてうちにいらっしゃったとき、息子さんが大人同士の会話に飽きたのか文庫本を読みはじめました。
私が「何読んでるの?」と聞くと...星新一「ご依頼の件」とのこと。
私が小学生の頃にはまだ文庫で出ていなかったショート・ショート集です。
「おじさんも星新一いっぱい読んだよー」と思わず声が高くなりそのお子さんには引かれましたが...(笑)

いまだに星新一の読者は誕生しているんですねぇ(うちの小五の息子はマンガしか読まない)スゴイ。

星新一の本って累計でどれくらい売れているんだろう?と調べたらwikipediaのベストセラーの項が引っかかってきました。
作家別累計ベスト10が載っていて星新一は2008年現在で新潮文庫のみで3000万部以上で9位。
なお10位が夏目漱石で新潮文庫で2700万部以上。
ちなみに8位は三浦綾子4000万部以上。
夏目漱石を超えた作家が9人しかいなくて間違いなくその一人は「星新一」
まだまだ増えていきそうですし考えてみればスゴイ。

内容(裏表紙記載)
生まれ育った本郷のこと、師と仰ぐ大下宇陀児氏のこと、学生時代の友人宮坂作平、打王業の城昌幸、小松左京、筒井康隆・・・・・・円盤研究会で知り合い、同人誌「宇宙塵」を作ることになった柴野拓美、矢野徹・・・少年時代から出会った人々やその作品について語る好エッセイ。解説・峯島正行

本の解説やら人物紹介をまとめたエッセイ集なんですが、いかにも星新一的視点で書かれていて楽しめました。(当たり前ですが)
この「視点」特徴としては、誰かがいったこととか世評で判断するのでなく、とにかくまずは「自分なりの視点」から評価して検討していること。
氏のショート・ショートなども「視点」があり、慣れてくると素直な結末でなくひねった結末の方が「ありがち」に感じられてくる。

エッセイ集では「意外性」に重きを置いているわけではないんでしょうがとにかく「自分なりの視点」で物事をみることを非常に新鮮に感じられます。
その「自分なりの視点」が結果として世間の評価と同じになったりもするのですがとにかく「自分」で考えるということが徹底されている。
このような見方を読書体験の初期で刷り込まれて影響を受けた人は日本国内に多くいるんじゃないでしょうか?
よく読むとそれなりに「毒」のある文章ですし、その毒がいずれ発症して日本は大変なことに...(ショート・ショート風・笑)


ということで私も不十分とは思っていますが物事や小説などをできるだけ「自分なりの視点」で評価したいなぁと考えているます。
星新一の影響がありそうです。

この本で激賞されている「黄土の奔流」などは影響を受けて読んだ記憶があります。
当時は「すばらしい作品」と感じましたが、5年前くらいに読み返した時は「ちょっと古いなぁ」と感じました。
日本の冒険小説もずいぶん進歩してきているので時代の流れには勝てなかったんでしょうね。
そんなこんな「星新一が書いているから絶対正しい」わけではないですすが、たとえどう書いてあっても「自分なりの視点」で物事をみるのが正しい星ファンな気がします。
ということで本書が読書の参考として今でも通用するかは???ですがなつかしい星新一的「視点」が楽しめました。

といいながら本書を読むといろいろ読みたい本が出てきます。
筆頭は星新一がショート・ショート作家としてやっていくきっかけの一つとなったと本書で書いている「怪奇製造人」(1993年国書刊行会で復刊)、また城昌幸の作品を星新一が選んだ「怪奇の創造」(1982年)「城昌幸」の存在を知らなかったので是非読んでみたくなりました。
矢野徹「カムイの剣」も久々読みたくなったりましたが...がっかりしたら悲しいので躊躇しています。
南条範夫「わが恋せし淀君」、今読んだら微妙そうな気がしますが...星新一の紹介を読んでいるととても読みたくなる。
河野典生も読んだことがないので「殺意という名の家畜」読みたくなりました。
河野典生...一時は星新一よりメジャーだったような気がしますが...今では思い切りマイナーな気がする、時の流れは...。

あとは筒井康隆・小松左京作品も久々読みたくなりました。

でも1番読みたくなったのは最相葉月の「星新一-1001話つくった人」で、筒井康隆の文学賞受賞式で星新一が乱れたところだけ読みたかったのですが...。
結局後半部分全部読んでしまい、熱があるのに睡眠時間が大幅短縮されました。
この本危険です、昔初めて読んだ時もちょっとだけ読むつもりが徹夜になった...。
そのうちキチンと再読して記事書きたいところです。

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