しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

都市と星 アーサー・C・クラーク 山高昭訳 ハヤカワ文庫

2013-09-12 | 海外SF
12年ローカス誌オールタイムベスト63位
SF三巨匠の一人、アーサー・C・クラークの代表作の一つ。
そういえば不勉強で今回初めて知りましたがクラークって英国人だったんんですね...市場が米国という感じだったので米国人だとばっかり思っていました。

1956年発刊、自身が活動初期の1937年に書き出し1946年脱稿、1953年に出版した「銀河帝国の崩壊」を全面的に書き直した作品とのこと。

蒲田か大森のブックオフで250円で先月購入。


新訳版も出ているようですが、ハヤカワ文庫は古い版型の方がしっくりくるのでこちらが入手できてラッキーでした。(昭和52年初版 昭和54年第5版を入手)

「ニューロマンサー」を読んで、なんだか古き良き時代のトラディショナルなSFを読みたくなり手に取りました。

クラークは中学生頃「地球幼年期の終わり」(創元で読んだ)「2001年宇宙の旅」を読んで以来ですが、当時から私の中での評価はあまりよくありませんでした。
割と最初に風呂敷を広げてしまい、結末で回収しきれていないイメージがりました。
(小松左京的??)

でもまぁ久々のクラーク、中学生の時とは自分の読み方も変わっているだろうと楽しみに読み出しました。

内容(裏表紙記載)
銀河帝国は崩壊し、地球には唯一の都市ダイアスパーが残された。そこは快適に防備された小宇宙。十億年の歳月の間に、都市の「記憶バンク」は人間の組成のパターンを使って原初の人間を再生したが、ただ一人、青年アルヴィンだけは、今までにパターン化されたどの人間とも違っていた。都市の外へ出ることを異常に恐れる人々になかで、彼だけは未知の世界への願望を持っていたのだ。壁に囲まれた、心地よいダイアスパーに安住することなく、アルヴィンはある日、かつての人類のように、空があり宇宙船が征く世界を求めて旅立った! 巨匠が華麗な想像力で描いた大宇宙叙事詩。

まず内容について、記載の内容を見ると「宇宙船が旅立ってからが本番で、スペースオペラ的内容になるのかなぁ」というイメーシで読みだしましたが、旅立つ前がメインで全体の2/3くらいという印象です。
「10億年後の地球はどうなって、どうなるのか?」というのを中心に読むのが正しい読み方な気がします。

ということで感想、
「ニューロマンサー」を読んだ直後ということ、1956年の作品ということもあり古き良き「教養小説」的な部分を強く感じました、これはこれで安心感があって読めるので私的にはまったく問題なし。
ウェルズの「タイムマシン」を思い出しました。
億年単位の時間軸といい、人類が二つの種族(?)に別れていることといい展開良く似ているような...。

ネット上での評価をいろいろ読むと「絢爛たるダイアスパー」の描写が素晴らしいというのがよく出てきますが確かにダイアスパーの描写は絵的でなんだか荘厳なイメージが頭に浮かびます。
アルヴィンが苦悩と苦労を抱えながらダイアスパーを出ていき、帰還するまではスリルと謎に満ちた展開でとても楽しく読めました。
10億年経つといろいろ変わるんだなぁーというのも描写にとても説得力があり楽しめ、いろいろ考えるところも出てきました。

ただアルヴィンが宇宙に出てからの展開は停滞気味になり、あまり作品に入っていけませんでした。
超知性体ヴァナモンドを発見するわけですが...、この存在について「謎に包まれている」としながらも都合の良いところはその記憶を借りて駆け足で歴史を説明していく....。
なんだか説得力に欠ける展開と感じました。

最後までアルヴィンが地球に残る展開にして、地球の問題やら、失われた人類の記憶やらを解決していくようにした方がよかったように感じました。

昔のイメージと一緒でクラークは後半が...、という感はありますが前半の未来世界の描写とアルヴィンの冒険とは、古き良きSFを楽しむには十分楽しい作品だと思いす。

*きれいにまとめているようですがホンネでもあります、すごい「名作」とも思いませんでしたが...。


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