私立中高の先生は、足を使った広報に懸命です。私立学校による塾への広報は、「塾対象説明会」が主ですが、多くの学校が直接、塾訪問にいらっしゃいます。このような訪問は、入試対策室の先生が行ったり、ほぼ全員の先生でシェアして行ったりと、学校によりその体制も異なるようです(もちろん、黙っていても第一志望者が多く集まるごく一部の学校は行っていません)。
冬期講習直前のある日、埼玉の西地区にある学校の先生が午後7時30分ごろお見えになりました。午後5時まで勤務し、その後資料を持って訪問されるのですから大変です。
いよいよ受験間近の頃。このような場で確認させていただくことは、学校説明会への参加者数や業者テストから推測される、学校側の受験者数の見立て、合格者数の予定、問題作成方針の変更や合格者決定過程の変更の有無などです(もちろん、学校内における生徒の気質の変化や、教職員の意識変化、学習カリキュラムの変化等も確認します)。
そのようなお話をうかがいながら、受験するこちら側は、合格ラインの動向を予測し、ここまでの受験戦略に変更の必要はないか自問自答します。首都圏の私立中学受験では、学校と塾(受験生の代理人)どちらの側とも、『選択権』と『拒否権』の双方を持って対峙し、いい緊張関係を作っているともいえます。結論を言えば、共存共栄なのですから、私立学校の先生の頑張りには、私たちも励まされます。
しかし、中には嬉しくない訪問もありました。「これだけエデュコ参りをしているのに、まだ、一人も受験させていないじゃないですか」と、声を荒げた若い学校の先生もいらっしゃいます。もしかすると、職務命令でいやいやながら塾訪問をさせられたうえに、その成果を問われ苛立っていらっしゃったのかもしれません。
「申し訳ありません」で済ませましたが、本音を言えば「そのレベルのお話しかできない学校の受験はお勧めできません」ということになります。自らの努力不足を認めるような謙虚さを持つ学校でなければ、今後の発展も期待でないでしょうし、学校内で教職員に委ねられる生徒処遇も、ずさんなものとしか思えません。
もちろん、保護者対象の説明会などでもいえることですが、たまたま説明にあたった担当者の評価をそのまま学校評価に繋げることは、慎まなければなりません。
とはいえ、謙虚さに欠けたり、自信を持って披歴できる『学校観』を伝えてこない学校を、いい学校とは思えないのです。
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