日本私立学校振興・共済事業団によると、2011年度には、私立大学572校の39%にあたる223校が定員割れを起こし、2009年度決算では、約4割の226校で赤字だったということです。これまでにも、三重中京大学の募集停止の発表、東京女学館大学の2016年閉校、そして、昨日発表された創造学園大学を運営する群馬・堀越学園への解散命令など、大学存続が予断を許さない状況であることは確かです。
これらのことは、大学で学ぶということが、社会階層的なステータスを示すものではなくなり、個人のキャリア形成と敏感に関係することへと変化し、受験する側が、厳しく大学を選択する時代になったことを示しているとも思えます。
大学の側も時代の変化に対応すべく、新しい学部・学科の新設や留学制度の充実などをもって、改革を試みています。グローバル社会を意識して国際教養的な学部学科を新設したり、次世代の強い農業ビジネスを見据えて農学部を新設したり、授業料・渡航費用を援助し留学支援制度を充実させたりと、積極的な方策を打ち出してきています。
一方、保護者の大学選択意識も強まり、ベネッセ教育研究開発センターが2011年秋に実施した調査によると、「できるだけいい大学に入れるよう、子どもに成績を上げてほしい」と答えた母親は、小3~小6で27%(2007年20%)となり、確かなキャリア形成(生きる術の獲得)につながる大学選びを望む保護者意識が鮮明(露骨)になってきているとも感じます。
このような状況の中、エデュコ生の中学受験も、将来の大学進学を考えて行わなければなりません。
個人的にいえば、生徒の多様な進学意欲にこたえられる中学・高校を好ましく思っています。たとえ、全入を保障する大学の付属校であっても、それが大学経営の安定のためだけであれば、お断りでしょう。
また、進学校であっても、学校の名を上げるためだけに、一部の成績優秀者へのトリートメントだけが目立つ学校も、感心できません。
いよいよ、次年度以降に向けた学校説明会も佳境に入りました。雰囲気はもちろんのこと、説明や資料から、各学校の具体的な様子をかぎ取り、我が子の進学する中学を検討する必要があります。
一般的な偏差値は、必ずしも、学校の善し悪しを表しているわけではありません。ましてや、立ち止りができない高校受験と異なる中学受験では、偏差値で自己評価をする必要もありません。
それぞれの学校のシステムが、「我が家の求め」にあっているか、慎重に考えて学校選択をしていきましょう。