テッカ(湯田伸一)の中学受験伴走記

私立・国立中学受験生を応援し続けて35年。
中学受験『エデュコ』を主宰するテッカ(湯田伸一)の応援メッセージ。

エデュコ・ご家庭間の「相互理解」「共通理解」の徹底を心がけます 

2015-10-25 17:39:11 | 中学受験


 個人的な話で恐縮ですが、10月19日に持病により入院しました。当初10日間の入院という診断を下されましたが、これまでの経緯や処置後の様子から、昨日(10月24日)午前中に退院することが出来、午後は授業を担当いたしました。今後も、これまで通りの勤務が可能ですので、ご安心くださいませ。

 ところで、今回の入院で、また、学ばされたこと(思い知らされたこと)がいくつもありました。学習塾講師の役割は、健気な子どもたちに理解を示しながら、更なる勇気や意欲を喚起することに他ならないと考えますが、支援される立場の心持をよくよく汲み取る必要があるといえます。数日間、もっぱら支援される立場にあったのですが、支援者との行き違いも感じさせられる場面もありました。

 例えば、24時間の点滴が3日間続いたのですが、1日目に担当していただいた看護師さんからは、点滴ペースの速さから「いじった?」「24時間つづくのだから!」と一喝されました。瞬時に、何を指摘されているかわかりませんでした。ひょっとすると、不真面目そうな人相のわたしが、点滴から早く逃れたがっていると判断したのでしょうか。
 次の面会の際に、そのような意図や所作はないことを説明し、同時に先入観による発言を諌めさせていただきました。おそらく、この看護師さんに悪意はないでしょう。いわゆるタメ口的な口調も、程よい親近感を持ってもらう為の確信的な方便と理解できますし、仕事に真剣に取り組む心意気を示す発言に違いありません。とはいえ、支援される側に行き違いを感じさせてしまっては、その熱意や工夫も報われません。
 このような現象は、学校教師や塾講師の仕事においても見られることで、「相互理解」は徹底的に図られなければいけないことを思い知らされます。たとえば、宿題の進行が頓挫しがちな子どもに対して、「やる気がない」というような、子どもの受容できない一方的な指摘をしてしまったりすることでしょう。どんな子どもでも、やる気はあるはずで、どこで悩んでいるのか、どのような壁に直面しているのか、支援する側に「子どもの現状をしっかり理解しよう」という心がけが求められるといえます。

 また、次のような行き違いもありました。24時間点滴から開放され、1日2本の点滴に変わるとき、私が、今後の点滴終了後には、点滴針を抜いてくれるように頼みました。「普通抜きませんよ。やれといわれればやりますけど」という答えが返ってきました。結論から言えば、この看護師さんにも悪意はありません。
 要領を理解しきれていない私は、点滴をしていない時間帯でもあの点滴スタンドを引きずっていなければならないものと考えていたのです。その後、理解できたのですが、実際には、そのような場合、スタンドを引きずる必要はなく、点滴針だけを維持しておけばよかったわけです。この看護師さんのご教示は、いわば、常識そのものだったわけです。
 このような行き違いを学習塾講師に当てはめれば、学習方法や受験戦略において、独断専行ではなく、受験生や保護者との「共通理解」を作り上げることが重要ということになります。
 保護者会や個別面談では、提案する学習方法の意義をしっかりとお伝えすることで、確信を持った学習が実現されることになるのでしょう。

 最後に、一番学ばされたこと・思い知らされたことがあります。おっとりとした若い男性看護師でした。「針を打つ場所はここでいいですか」「痛くないですか」「あ、念のために確認してきます」という物言いをする、まだ、いわば駆け出しともいえる方でした。「バリバリ仕事をする感」を示さないタイプでしたが、「一生懸命さ、健気さ」がしっかり見て取れる方で、その技量はこれから大いに発達するものとして、特に、信頼が置ける方とお見受けしました。
 それで、こちらから、その方の持つ看護師という「職業観」について質問したりしたのですが、なるほど、看護師であるお母様の影響を受け、信念を持ってこの職業を選んだとのことでした。 とはいえ、自身の職業適性や看護師像についての検討は尽きることがないようで、その方の持つ「謙虚さ」が、とても印象的でした。
 翻って、このような意識・姿勢をわが身に当てはめれば、「エデュコの信じる学習方法」も、常に検証し続けなければならず、「不易流行」を旨に謙虚に学び続けること、皆様からのご意見や悩みに対して丁寧に耳を傾けることで、皆さんからの信頼をいただけるに違いないことなどを考えさせられました。

 「相互理解」「共通理解」の形成、「謙虚さ」を当たり前の3か条として、エデュコへの信頼維持に努めたいと思います。
 体調は万全です。
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3・4・5・6年生 エデュコ流「手を使う学習」を徹底しよう

2015-10-13 19:29:39 | 中学受験


 9月17日の読売新聞オンライン等で、「学校で生徒1人あたりのパソコン設置台数を増やした国ほど、成績が下落傾向にあることが、15日に発表された経済協力開発機構(OECD)の調査でわかった」という報道がされました。
 念のために、本指摘の元と見られる報告書“Studennt,Computers and Learninng Making the Connection"をかじり読みしてみました。
 なるほど、例えば、本報告の序文に、OECD教育技能局長アンドレアス・シュライヒャー(Andreas Schleicher)氏による次のような印象的な指摘がありました。

And even where computers are used in the classroom, their impact on student performance is mixed at best. Students who use computers moderately at school tend to have somewhat better learning outcomes than students who use computers rarely. But students who use computers very frequently at school do a lot worse in most learning outcomes, even after accounting for social background and student demographics.

 私の拙い英語力で訳せば、「教室におけるコンピューター使用において、生徒たちの成績に与えるその影響は、良し悪し様々としか言えない。学校で適度にコンピューターを利用している生徒たちの成績は、ほとんど利用しない生徒たちより、やや良い傾向にある。しかしながら、学校で頻繁にコンピューターを使う生徒たちの成績は、社会的背景や生徒の人口統計学的属性を考慮してみても、ほとんどの学習結果において、かなり悪いものである」とあるようです。
 
 この指摘に関して勝手な意見を言えば、「むべなるかな」です。実践者の端くれとして、日常思うことは、「わかるとできるは違う」ということであり、一つ一つの問題解決は、学習者自身が、自覚的に行わなければ、確かな知識・スキルの獲得につながるものではないと考えています。
 エデュコの信条と言える「手を使った学習」・「ノートを作業の道具とする学習」を再確認させられるものです。けっして、楽な学習方法などあるわけがありません。自分の納得ペースで、しっかり、「わかる」はもとより「できる」を増やしていきましょう。
 また、受験直前の6年生の中には、いわゆる「あんちょこ」で乗りきろうとする気持ちが沸き起こる頃です。しっかりとした自分のペースで、文脈のある理解を得て、確かな受験準備になるよう心がけましょう。エデュコ流「手を使う学習」を徹底してください。

 念のために言えば、前出のアンドレアス・シュライヒャー氏の指摘は、パソコンの利用を全否定するものではなく、その利用は今日の子どもたちの学習に不可欠としても、ソフトウェアに頼る以前に、教育学的見地での改善を十分なものにする必要があるというもののようです。
 次の印象的な件は、子どもの学習支援にかかわるすべての大人が自覚すべきかもしれません。
“Technology can amplify great teaching but great technology cannot replace poor teaching”
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