テッカ(湯田伸一)の中学受験伴走記

私立・国立中学受験生を応援し続けて35年。
中学受験『エデュコ』を主宰するテッカ(湯田伸一)の応援メッセージ。

5・4・3年生 「反転授業」は「エデュコ学習の極意」です 

2013-09-28 09:43:41 | 中学受験


 佐賀県武雄市の教育委員会が、小中学生全員にタブレット端末を配り、「反転授業」に取り組むという新聞報道がありました(朝日新聞2013年9月24日等)。
 「反転授業」とは、“子どもたちが、まず、自宅で授業動画を視聴して基礎的な知識を習得し、学校の授業では、自宅で分からなかったところや応用発展的な課題に取り組む”授業を指すようです。
 この学習法は、アメリカで先行実践されており、肯定的な評価に限って言えば(否定的な評価もあります)、「教師の満足度が高い」「生徒の成績向上が見られる」「学習習慣が改善された」というような報告がされているようで、日本国内でも、個々の教師レベルで実践報告があり、やはり、「家庭学習が楽しくなり、学習が習慣化した」という指摘が見られます。
 なるほど、ICT技術の進歩で、学習のスタイルが変化しつつあるのを感じさせられます。

 ところで、この「反転学習」の内容・狙いを確認したエデュコ生・保護者の方々は、「あれ!」と感じられるでしょう。タブレット端末を「予習シリーズ」に置き換えれば、エデュコが創立(1992年)以来、提案し続けてきた学習スタイルに、ぴったり重なるものです。まさに「エデュコ学習の極意」と言っていいでしょう。
 つまり、確かな説明力のある「教材」があることで、基礎的な項目は自学スタイルで習得可能なはずであり、授業では、自学自習で陥りそうな誤解を整理したり、さらに発展的な取り組み方を考える時間を確保するという発想です。このような流れになれば、子どもたちも自己肯定感を持てるようになり、客観的に見ても、「勉強が上手になる」可能性が大きく高まります。
 ICT技術の進歩で、このような学習が可能になったと見ることもできますが、もとより、詳細な解説のついた「予習シリーズ」は、非常に説明能力の高い教材であり、「動画」ではないものの、自学スタイルで「基礎的な知識」「基本的な解法モデル」を習得できるものといえるでしょう。

 ただし、この学習方法の一般化には、大きな課題も指摘されているようです。
 まず、教師(講師)の指導力です。極端ないい方をすれば、「教科書を教える」授業ではなくなり、「教科書を手掛かりにして発展的な指導をする」授業になるわけで、教師(講師)には,幅広い臨機応変な対応力が要求されることになります。
 エデュコの講師陣が全員専任講師である理由も、ここにあります。これまで、私がスタッフに対して言い続けていることは、「教えることが目的ではない。子どもの学力向上を支援するいい指導者になろう」ということであり、「より効率的な水路を用意し、子どものつまずきを修正し、意欲的な子どもを育てる」強力な縁の下の力持ちを目指すものです。
 次に課題としてあげられるのは、いわゆる自学自習意欲の個人差、家庭環境(保護者の協力)です。エデュコでは、「1週間家庭学習計画」を管理し、保護者の方々にも自宅学習の確認を「定点観測」的に行って頂くようお願いしています。エデュコの授業前日には、子どもの作業を確認し、「頑張っているね」などの肯定的な言葉がけを続けてください。エデュコスタッフによる、授業前の家庭学習確認の目的の一つとも共通します。

 最後に、エデュコ流「反転授業」を実践する際の留意点を再確認すると、次の2点を挙げることができます。強く意識してください。
 第一に、「予習シリーズ」の説明・解法モデル・問題解説は、丁寧に理解することを心がけてください。計算式だけで済ますのでなく、解法図なども正確に確認し、自分の解答技能として取り込んでください。
 第二に、決して「分からないことを分かったことにする」ことなく、常に、自分の解答技法を修正する意識を持ってください。つまり、授業前の家庭学習確認の時間では、講師に対して、「これが分からない…、あと、これも…」と言い続け、授業に対するリクエストをたくさん出してください。「これが…、これも…」と言える子どもこそ、真剣に学習しているこどもです。
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5年生 図形問題を解く「型」を身につける時です

2013-09-21 17:59:14 | 中学受験

 エデュコ5年生も今週から、「合同」「相似」の問題に取り組んでいます。「図形問題が苦手」と思い込んでいる方も少なくないのですが、図形問題は「経験(慣れ)」や「手がけ方」で得意分野へと変えられる性質のものと言えるでしょう。

 図形問題を手掛ける際、もっとも留意すべき点として、「なるべく正確で緻密な図形を描いて考える」ことがあげられます。
 特に、正方形・長方形・平行四辺形・正三角形・二等辺三角形などにかかわる問題は、ほとんどが、「等角」「平行」「等辺」を根拠にして解きあげるものと言っていいでしょう。
 これらの要素については、いわゆる定義(知識)として、知らない子どもはいないはずです。にもかかわらず、正答に結び付けられないのはなぜか。それは、「料理レシピ」を暗記しても、実際に「調理」しない限り作れるようにはならないのと似ている気がします。

 たとえば、「図のABCDは長方形です」という条件が示された場合、その図に、内角が「90°」であることや、四辺それぞれに「平行」「等辺」であることなどが示されているわけではありません。これらの条件を自らの手で書き入れることで「気づきの連鎖」が発生し、正解へどんどん近づくこととなります。図形問題の「出来・不出来」は、これらの作業の緻密さと相関するでしょう。図形問題は、「指示されてはいるものの、書かれてはいない事柄を、自分で整理する作業問題」だということもできます。

 具体的には、「等辺」や「等角」の確定による合同な図形の発見、「平行」線でできる「同位角」や「錯角」による相似な図形の発見などが、これらの作業に当てはまります。長さが示されていればその長さを、示されていなければ、授業でマスターした等辺記号を図中に書き込み、角度が示されていればその角度を、示されていなければ、これまた授業でマスターした等角記号などを図中に書き込みます。これらの作業を「解答の型」として、しっかり作り上げていきましょう。

 その「型」を擁して経験を積み上げていけば、きっと「図形は得意」と言えるようになります。特に、「予習シリーズ5年下」では、総合回を除く、全15回中5回が図形問題になっています。図形問題に強くなる流儀を徹底的に考える期間です。「大きくて」「正確な図」をはっきり書いて取り組んでみましょう(要領を得ない段階では、定規・コンパスを用いた作図が、図形感覚を高めてくれます)。
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6年生 答案練習会の意義と判定の捉え方

2013-09-11 21:14:01 | 中学受験


エデュコ21期生(6年生)の答案練習会が始まりました。答案練習会の意義と合格可能性の判定等について確認しておきましょう。

1:答案練習会の意義
 これまでのエデュコ学習は、拙速な「受験術」の獲得を忌避し、自己達成感のある学習方法の習得を追い求めるものだったといえます。中学入学以降、連綿と続けられる学習の基盤づくりを目指したものだったということもできます。
それに対して、今後毎週続けられる答案練習会は、いよいよ、「合格点を取る受験術」の獲得を狙いにするものです。これには、二つの心がけが必要です。
 一つ目は、「どの様な問題」を「どのような要領」で答えれば、「自分の実力に見合った点数を確保」できるか、常に意識して問題に向かうことです。言い換えると、実力以上の点数は望まないとしても、実力はきっちり反映させる解答要領を身に付けるということになります。そのためには、正解にできる問題の「型」の見分け、試験時間内での時間配分の「型」、計算過程の「型」、選択肢問題の解答の「型」などを念頭に置いて、自分らしい「型」を完成させることを目標にしてください。
 二つ目は、答案練習会を手掛かりとして、「志望校の合格点獲得」のために、「もっと学習しなければならないことがらは何か」を知り、実力の向上を図っていくことです。ただただ、できていない問題に闇雲に取り組むのでなく、「どのような分野(ことがら)を克服すれば合格点に届くようになるか」を念頭に置くことです。入試までに残された時間において、「強化することがらの優先順位」をつけてください。もっと言えば、どんなに研究しても、本番で正解できそうもない問題などは、無視するくらいの度胸が必要ということにもなります。

2:答案練習会の判定の捉え方
 答案練習会で使用する問題は、エデュコ創立時から積み重ねてきたものであり、得点分布ごとに示される合格可能性も、過年度生の得点記録と合格先をすり合わせた信頼度の高いものです(但し、毎年各コースで1~2セットの更新差し替えを行っています)。
 そして、答案練習会の結果表に示される、過年度生の合格得点は、ほぼ同じ週(同時期)において示された得点であり、現時点での到達度としてとらえる必要があります。「そのうち、この合格ラインに届けば…」というような楽観は、的外れといってよいでしょう。
答案練習会の判定に対しては、より現実的な受け止め方をし、危機感を持って実力向上を図りましょう。

3:個人面談
 これからの個人面談は、前述の活動を具体的に支援する目的のものになります。ですから、面談の際には、「答案練習会の問題用紙と答案」・「合不合判定テストの問題と答案」・「過去問の問題と答案」を持参することをお勧めいたします。これらを持参することによって、「克服できる課題」をより鮮明に確認することができます。
 また、「ただただ、行きたいだけの志望校」とは別に、現実性を帯びる次善の「受験校」についても、「校風との相性」・「問題との相性」などについて確認しなければなりません。本人に告げる必要はないとしても、見守る側(保護者・塾講師)の準備として、しっかり時間をかけて検討を重ねておきましょう。
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